2013年12月10日火曜日

アテンザは日本車の新たなアイコン!

  京都・滋賀にドライブに行ってきました。遠くまで旅すると同じ日本でもいろいろな事が少しずつ違っているのに気がつく年齢になってきたなとしみじみ感じます(まあ勘違いもあるでしょうが)。都道府県ごとに好まれるクルマもだいぶ違っているようです。軽自動車とミニバンとプリ&アクと輸入車が多いと言ってしまえばそれまでなんですが、それ以外の「こだわりを見せるクルマ」部門においては、関東と関西では大きく異なります。

  関東のトレンドは完全に86/BRZだと思います。東京MSの駐車場にもやたらと多くの86を見かけました。なぜ関東の人が86を好むのかはまったくもって不明です。交通機関が発達した地域ほどクルマに対して趣味的なものを求めるのでしょうか。関東と大きく括りましたが、私の活動エリアは東京西部を中心に埼玉西部と神奈川西部です。それぞれ東部よりクルマの所有率が高まりクルマが今も一定のステータスを持っている地域です。東京西部はさらに北部と南部に分かれ、北部は埼玉の影響が強くスバルブルーのWRXが多く目に付きます。一方南部は神奈川西部の影響からシルビアが多い気がします。

  そんな東京北西部と南西部どちらにも急激に増加しているのが86/BRZです。今では2車線道路で並列している姿もざらに見かけます。スポーツカーが道に溢れていた時代が20年くらい前にもあったようですが、ここ数年の傾向でははっきりレアな存在でした。そこからわずか1年あまりで日本の景色に溶け込んでいる「適応力」はなかなかのものがあるように感じます。

  一方で京都を中心とした地域を土日に渡って走りましたが、こちらでは86はあまり見かけませんでした。日曜日の昼に滋賀県の栗東ICから名神に乗ろうとしたら一番右の車線を20~30台のポルシェやフェラーリが次々と疾駆していき追い越し車線を完全にジャックしているのを見かけました。関東ではなかなか見ない光景で、日本のクルマ文化の中心は完全に関西なんだなと改めて感じました。そしてこんな一団が毎週末に高速を我がもの顏で走っているわけですから、86を買ってもちょっと引け目を感じてしまうのかもしれません。

  京都の街中にも東京で見かけるのと同程度にポルシェなどが散見されますが、東京の景色とまるで違うのが、マツダ・アテンザの存在感です。東京では1台も見かけたことがない「ブルーリフレックスマイカ」という絶妙な色使いのクルマがよく走っています。東京には似合わない変な色ですが、京都の景色には不思議とマッチしています。京都リーガロイヤルホテルのロビーで30分ほど人を待っていたのですが、まるでメルセデスかレクサスの上級モデルのようなオーラで正面玄関前に現れました。

  ちょうどホテルを出るタイミングでしたので近くで見ました。アイドリングのディーゼル音もメルセデスやBMWのような下品で不快なトラックを連想させるものではなく、色・形・音と外部に与える印象においては、どんな高級車よりも考えて作られている「逸品」なんだなと改めて感じました。ホンダの新型アコードも同じようなコンセプトを追求していて、技術的にも新しいものを使って「上質なクルマ」へと進化していますが、残念ながらアテンザほど迫真の世界観は表現できていないです。そして日産の新型ティアナに至ってはもはやスカイラインの引き立て役でしかなく、日産から近い将来日本に本格導入されるであろうインフィニティブランドへ顧客を追い込む「戦略車」にしか感じません。

  これまで新型アテンザに対してネガティブな印象を持ってきましたが、中型のスポーティセダンから「おもてなし」「和の心」の大型セダンへと着実に脱皮するという意味では、とても高いレベルでそれを実現しているクルマだと、伝統の古都京都に来て実感しました。日本カーオブザイヤーの選考委員はクルマの基本性能ばかりに注目してアテンザに票を入れなかったと思うのですが、このクルマの社会的な価値を考えると、ゴルフ、フィット、Sクラス、V40といった全体にチャラチャラしたクルマよりも、やや感覚的ではありますが深淵で堅実な世界観へと踏み込んだ素晴らしさは、やはり無視すべきではなかったように思います。服装や時計などの持ち物にこだわる人にはもってこいのクルマじゃないでしょうか。


  

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