2013年12月31日火曜日

トヨタ86とメルセデスCLA・・・。

  暮れも差し迫ってお正月直前モードになったようで、東京西部の街中を走るクルマが様変わりしてきました。メルセデスが相次いで発売したAクラスとCLAクラスがやたらと多く感じます。私のクルマセンサーにはミニバン、SUV、軽、プリウス、アクア、インサイトなどはトラックやバスと同じ扱いで全く引っかからないので、普段は街中の9割のクルマには関知していないのですが、12月30日はその割合が7割くらいまで下がった印象でした。

  東京の人はクルマに関心が薄いのは確かなのですが、1300万人以上の母集団ですから少数派のクルマ愛好家が休みの日にコこぞとばかりに繰り出せば、道路はなかなか華やかになります。100円ショップから出てくるボクスターなんてのもお茶目なオッサンが普段着で乗ってればなぜか許せてしまいます。きっと「外国製品」がとってもお好きなんでしょうね。

  前々から気がついていたことなのですが、マクドナルドのドライブスルーには高級セダンが結構並びますが、スターバックスのドライブスルーにはミニバンやSUVが多かったりします。単純にお年寄りはマクドナルドが大好きというだけなのですが、まあイメージとは逆のクルマが集まってしまうようです。

  さて本題ですが、やはり日本人はとても慈愛の精神に富んでいて、恩を受けたら必ず返そうという懐の深さを年の瀬にまざまざと感じました。トヨタ86が欧州でも大反響を持って迎えられました。マジメに作った日本車がキチンと受け入れられたことは、これまで日本メーカーが築いて来た信頼の賜物なんでしょうけど、日本人として密かに世界に対して持っていた不信感が薄れると同時にとても喜ばしいことだと思います。

  クルマが売れないご時世にあえて日本車を歓迎してくれた欧州メーカーのボス的存在のメルセデスは、86とは全く別のアプローチながら同じような目的で使えるCLAを「86へのレスポンス」かどうかは分かりませんが、導入してきました。ベースグレードならば価格帯もほぼ同じで、これにマツダのアテンザもほぼ同じ価格で発売されていますから、この3台が目下のところよく売れているようです。

  86とアテンザのパッケージはどのクラスのクルマと比べてもかなり説得力があり、トヨタとマツダがそれぞれに魂を込めて作った感じが伝わってくるスピリッチュアルさも魅力です。それにくらべてメルセデスとはいえブランド最底辺のAクラスと共通設計でありながら、どこか貴族趣味を感じさせる滑稽さが鼻に付くCLAは、恥ずかしながら偏狭な私の心には当初は全く響きませんでした。

  まあ今でも響いているわけではないのですが、実際に初老の男性が笑顔でCLAを運転している姿を見て、「86を認めてくれたのだから、我々もCLAを受け入れようではないか!」といった博愛でリベラルな戦前の日本人的世界観が頭にふと浮かび清々しい気持ちになりました。もちろん笑顔に深みがある好々爺が乗ってこそのCLAであり、私などの未熟者が乗るのはやはり憚られるクルマだとは思いますが・・・。


2013年12月27日金曜日

スバル・レヴォーグは何にロックオンしているか?

 消費税8%が目前に迫り、空前の新車発売ラッシュの様相を示しています。当初は自動車取得税廃止で帳尻を合わせるなんて言われていましたが、10%になるまで見送りだそうです。そもそもクラウンマジェスタといったどこがエコなのか分からないようなクルマにも免税が適用されているのが実情で、取得税自体にはそもそもあまり意味がなくなっているというのもあるのでしょうか? どう考えてもフィアット500なんかエコな感じがしますけど適用外です。その一方でエコではない大衆メーカーのBMWは主要ラインナップほぼ全てが免税・減税です。もちろん真の高級車ランドローバー、ジャガー、ポルシェなどは全ラインナップ適用外。

  とりあえず高級車を買う人は2年待ったほうがお得になりそうですけど、実際にはそんなこと考えて買う人は少ないのかも。それ以外の大衆ブランドは4月の前までの滑り込み需要が最大のチャンスで、ここを逃すようだと致命的です。そして4月を過ぎればマクドナルドのように次々と店舗が閉鎖していくブランドも出てくるでしょうか・・・。

  スバルもこの最大のチャンスに期待の新型車レヴォーグをギリギリ間に合わせてきました。レガシィTWの後継モデルなのでどうやら半年ほど前倒しでの登場に努力の痕が伺えます。しかし目下のところ北米向け輸出が絶好調でレガシィ生産ラインはフル稼働状態で、余剰生産能力を使い切っている状況です。こうなってくると売上が落ち着いてきている86/BRZの生産効率の悪さがちょっと恨めしところでしょうか。

  よって購入予定者は1月4日の予約開始に合わせてスバルに殺到しない限り、消費税増税分の約10万円程度の負担増になります。どうせ8%になったらその分値引きするんでしょ?それ前提の価格設定になっているんでしょ?という見方もあるでしょうが、受注が好調ならば本体値引はなく、ディーラーオプション10万円くらいのキャンペーンになるでしょう。ちなみにスバルのアイサイトはディーラーオプションではなく、本体価格に組み込まれています。

  いよいよレヴォーグの価格が発表され、1.6Lターボと2.0Lターボの価格が公表されました。税抜きで247万円〜でレガシィTWとほぼ同じになっています。とりあえず特別なお値打ち感はなく、クルマの魅力で売っていかなければいけない価格帯と言えます。現行のレガシィは全く魅力が打ち出せずに日本市場では見事な惨敗を続け、アイサイトが登場したモデル末期の方がむしろ好調だったという黒歴史を刻みました。

  価格設定を見る限りはアテンザワゴン(252万円〜)に対抗意識がメラメラのようです。ワゴンという共通点以外はNA&FWDのアテンザとターボ&AWDのレヴォーグとキャラクターが見事に分かれていて、どちらに分があるのか興味深いです。現行アテンザワゴンは3代目にして過去最高のデザインとの評判が高いです。セダンよりもワゴンの方がドイツ車に対して優位な立場といってもいいかも。スバルとしてはこの強敵に対して、価格とターボやAWDの魅力で十分に勝てると考えているようですが・・・。

  アテンザに対してやや古典的なデザインが特徴と言われているレヴォーグには、おそらくアテンザ以外にロックオンしたライバルが存在しています。それがレヴォーグより一足早く発売を開始した新型ゴルフ・ヴァリアントです。スバルはトヨタ陣営の世界戦略の一員として、最大のライバルであるVWグループを最も意識したクルマ作りをトヨタに指示されているはずです。レヴォーグはゴルフのような質実剛健をアピールするデザインを始め、ゴルフヴォアリアントと比較するとほぼ互角の価格帯での展開に持ち込んだ上で、クルマの中身で堂々と勝負しようという姿勢が見られます。果たしてゴルフWGとレヴォーグの真っ向からの戦いはどちらの勝利となるのでしょうか?


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2013年12月20日金曜日

350psにパワーアップした「トヨタ86」はどっかにないかな?

  先日、実家に帰った時にプレミオを手に入れて上機嫌な母親が、仲の良い昔からの友人の旦那さんがロータスを買ったと言っていた。クルマには全く詳しくない母親は、ロータスはメルセデスやBMWのような高級車メーカーだと思っていたらしく、ロータスってどうなの?って訊いてくるので、トヨタのエンジン積んだ軽くて2人乗りの小型のスポーツカーを作るメーカーだよと教えてあげた。

  母親は2人乗りという点に驚きをみせ、4人乗りのクルマで今度ドライブに行こうねとか言っていたらしい。それならばエリーゼとかいうプレミオと同じエンジン積んでいる入門モデルではなく、エヴォーラっていうちょっと高級な方だろうか。それでも女性にしては大柄な部類に入る母親が後部座席に乗るにはさすがに狭過ぎるだろうに・・・。

  4座という利便性がウケて見事に売り切れたと聞いていたエヴォーラですが、60過ぎたオッサンに愛されていたようですね。確かに事あるごとにセダンの重量が嵩む現状を嘆いている立場として、4座でV6搭載で車重が1300kg台のクルマは夢のようなスペックです。より現実的な価格でクルマを選ぶなら中古のRX-8がありますし、900万円以上出せるならばGT-Rを買えばいい気もするので、なかなか気がつきにくい存在です。そもそも4座でロータスには目が行かない・・・。

  トヨタ86に3.5Lのクラウンアスリートのエンジンを載せたクルマが900万円。並行輸入なら800万円を切るくらいで購入可能なのだそうです。なかなか悩ましい価格設定ですね。トヨタも近々スープラだかソアラだかの復活を予定しているそうですが、マジェスタ用の3.5L+HVをミッドシップに積んだスポーツクーペだったらやはり900万円になっちゃいそうですね。これじゃまったく売れないでしょうから、カムリの直4+HVで600万円ですかね。これではミッドシップの意味がないな・・・。

  トヨタ86/スバルBRZはご丁寧にもそのままスバルの水平6気筒へ容易に換装できるようですが、FRなので単純にエンジンパワーを上げてもその分重量が増えるので、せっかくのハンドリング性能が低下するのは容易に想像できます。まあ落とし所が難しい問題ですね。

 

2013年12月18日水曜日

トヨタ86ってやはり凄いらしい・・・

  レクサスRCのデザインはいろいろとイメージを掻き立ててくれます。新型レクサスISもそうですが、レクサスの最新のクルマは親近感を持ちやすいです。2005年の日本でのブランド立ち上げ以降、ラインナップは増え続けていて、生涯レクサス宣言してもいいほどのバラエティに富んだ陣容になってきました。しかしいずれの初号機も・・・やや保守的というか、そのまんまじゃないかと・・・。トヨタブランドに人一倍愛着があるならば良いのかもしれませんが。

  導入時は賛否両論ありましたが、スピンドルグリルはほぼ完璧に成功したと思います。少なくともLS・GS・ISの3台に関してはレクサス車としてのオリジナリティを確立できたのではないでしょうか。トヨタ風味のデザインが良かったのにというコンサバな意見もあるようですが、トヨタブランドは今後も健在でさらなる魅力的なモデルの追加に全力を注ぐという前向きな意思表明だと思うべきでしょう。

  そもそもレクサスは少数派であることが価値であり、レクサスが日本車の標準になっては絶対にマズいのです。レクサス愛好家にとっても一般ユーザーにとってもそれが幸せな環境です。よってレクサスを所有している人に出会ったら、とりあえず「かっこいいですね」と心を込めて伝えるべきです。間違っても欠点など挙げ連ねてはいけません。

  レクサスは日本のマスコミなどにはやや過小評価されていますが、世界的にも非常に影響力のあるブランドであることは間違いありません。レクサスの成長の前に危機感を感じる代表的な高級車ブランドである独メルセデスは、ラインナップの大幅な見直し&拡大に加えて、今後はさらなるクオリティの向上(回復?)を目指して改革を行っています。日本でもすでに新型Sクラス(W222)や新たに追加されたハッチバックのスポーツモデル・A45AMGが、レクサスを遥かに超える水準の価格設定にも関わらず、好調に受注を伸ばしているようです。

  レクサスよりも高級なブランドのスポーツカーなんてため息しか出ないかもしれないですが、クルマの基本性能となると見方も全く変わってきます。イギリスの権威あるモーター誌がハンドリングに定評があるモデルを10台集めて比較するという企画では意外な結果が出ていました。なんとトヨタ86のハンドリングは、A45AMG、ジャガーFタイプ、ポルシェケイマンSといった日本で今、脚光を浴びている輸入スポーツ3台よりも上位にランクインしていました。

  AWDのA45AMGがFRの86に負けるのは想像できますが、断トツの最下位でフォード・フィエスタ(マツダデミオの兄弟車)にも負けるというショッキングな結果です。パワーに足がついていかず、コーナーを攻めると内輪が接地しなくなりハンドリング性能が大きく低下するのだとか・・・怖いな。Fタイプは車重がネックだと思いますが、ケイマンSが86に負けるのは意外ですね・・・。

  まあレクサスも素晴らしいですが、トヨタブランドもまだまだ捨てたもんじゃないですよ! 86を上回ったクルマはポルシェ911GT3と12気筒のフェラーリベルリネッタとアストンマーティンヴァンテージSの両雄。そしてサーキット専用モデルのラディカルRXCでした。あくまでサーキットでの極限コーナリングでの話ですけどね・・・。しかも10台の中で最高にに楽しいのは審査員全員一致で86なんだそうです。これって凄くないですか?


2013年12月12日木曜日

ト◯タのセダンには「芯」がない・・・

  なんだかんだ言ってもセダンが好きですね。なぜかというと4隅に十分余裕を持ってタイヤを配置できるので、安定感がありクルマの味付けの幅が大きく広がるからです。SUVやミニバン、コンパクトカーと違い、フロントやリアのオーバーハングの上に人が乗ることはないので、とことん踏ん張れるクルマを作ることができます。それでいてスポーツカーのように「羽交い締め」にされることもないです。

  しかし現代のセダンはそういった特徴を忘れ、いくらでも作り込めるはずの「走り」をスポイルしていたりする。某メーカーなどは、なんでそんなエンジンのレスポンスで、そんな甘いブレーキで、そんな鈍いハンドリング・・・どれもユルユルに設定するのだろうか?とあれこれ疑問に思ってしまうほどです。

  「ミニバンやコンパクトカーと共通設定のCPUを使っているせいです」というのが、バレバレのようなクルマ作りです。こんなクルマに仕上げるくらいならセダンなんて軽々しく作らないでほしいくらいですね。SUVかバスを運転しているかのようなハンドリングは切り始めてから、軽く2テンポは遅く曲り始める(マツダと比べると)。アクセルもブレーキも利き始めまでにやはり2テンポは違うでしょうか・・・。

  ハンドルにもブレーキにもアクセルにも泥が詰まったような乗り味。このクルマを国産車の基準にしてドイツ車と比較する輩が多いようです。プロ・アマ問わずまあ言いたい放題なわけですよ。それでもクラ◯ンは売れます。一番ハンドリングも加速も制動も悪いハイブリッドから売れていきます。もはやセダンじゃなくてよいのでは? アルファードかエスティマのハイブリッドにでも乗っておけばいいんじゃないですかね。

  クラ◯ンの開発者が言っていました。どれだけ本気なのかわからないですが、VWゴルフに負けないような乗り味にしたいのだと。凍結路面での安定感で負けているのだそうです。本気かよ・・・、それならばさっさとFRをやめることじゃないですかね。なんでトヨタほどの巨大メーカーがこんなに能天気な発言を許しているのだろうか。

  そもそもV8エンジン積むためのFRのはずなのに、もはや何がなんだか分からなくなっているのでしょうか? どう作っても一定数は売れてしまうという進化の余地がない環境も災いしてか、とくにコストギリギリのハイブリッドの遮音が著しく悪いという噂です。売れるのは確実だから遮音材を削ってしまおうという露骨なやり方ですね。気に入らないならレクサス買ってくださいと言わんばかりの態度・・・。

  やはりトヨタブランドがより魅力的にならないと、レクサスのイメージはなかなか上がらないと思います。トヨタブランドにあれこれケチが付くだけでなく、フラッグシップモデルが全世界で販売している大衆車に負けているという事実を自ら公表してしまうというポリシーのなさ、もっとコストが使えればがいつも口癖になっているトヨタの開発者を横目に、自らコスト削減策を次々と打ち出してGT-Rを作ってしまった水野さんはやはり眩しいですね。

  やはり何百万円もお金を払って買うものですから、開発者が自信を持って「これが最高なんです!」と言ってくれるクルマを買いたいと思うのが、まともな心情なんじゃないでしょうか。「日本を走るのにそんな性能は要らない」なんてのは買う側のセリフであって開発者が口にするべきではないです。どう考えても不必要な機械式腕時計が高価格で売れるという事実をしっかり見据えない限り、このブランドはどんどんダメになっていくでしょう。 最近のト◯タ開発者のコメントの揚げ足を取ってみました・・・。

  

2013年12月10日火曜日

アテンザは日本車の新たなアイコン!

  京都・滋賀にドライブに行ってきました。遠くまで旅すると同じ日本でもいろいろな事が少しずつ違っているのに気がつく年齢になってきたなとしみじみ感じます(まあ勘違いもあるでしょうが)。都道府県ごとに好まれるクルマもだいぶ違っているようです。軽自動車とミニバンとプリ&アクと輸入車が多いと言ってしまえばそれまでなんですが、それ以外の「こだわりを見せるクルマ」部門においては、関東と関西では大きく異なります。

  関東のトレンドは完全に86/BRZだと思います。東京MSの駐車場にもやたらと多くの86を見かけました。なぜ関東の人が86を好むのかはまったくもって不明です。交通機関が発達した地域ほどクルマに対して趣味的なものを求めるのでしょうか。関東と大きく括りましたが、私の活動エリアは東京西部を中心に埼玉西部と神奈川西部です。それぞれ東部よりクルマの所有率が高まりクルマが今も一定のステータスを持っている地域です。東京西部はさらに北部と南部に分かれ、北部は埼玉の影響が強くスバルブルーのWRXが多く目に付きます。一方南部は神奈川西部の影響からシルビアが多い気がします。

  そんな東京北西部と南西部どちらにも急激に増加しているのが86/BRZです。今では2車線道路で並列している姿もざらに見かけます。スポーツカーが道に溢れていた時代が20年くらい前にもあったようですが、ここ数年の傾向でははっきりレアな存在でした。そこからわずか1年あまりで日本の景色に溶け込んでいる「適応力」はなかなかのものがあるように感じます。

  一方で京都を中心とした地域を土日に渡って走りましたが、こちらでは86はあまり見かけませんでした。日曜日の昼に滋賀県の栗東ICから名神に乗ろうとしたら一番右の車線を20~30台のポルシェやフェラーリが次々と疾駆していき追い越し車線を完全にジャックしているのを見かけました。関東ではなかなか見ない光景で、日本のクルマ文化の中心は完全に関西なんだなと改めて感じました。そしてこんな一団が毎週末に高速を我がもの顏で走っているわけですから、86を買ってもちょっと引け目を感じてしまうのかもしれません。

  京都の街中にも東京で見かけるのと同程度にポルシェなどが散見されますが、東京の景色とまるで違うのが、マツダ・アテンザの存在感です。東京では1台も見かけたことがない「ブルーリフレックスマイカ」という絶妙な色使いのクルマがよく走っています。東京には似合わない変な色ですが、京都の景色には不思議とマッチしています。京都リーガロイヤルホテルのロビーで30分ほど人を待っていたのですが、まるでメルセデスかレクサスの上級モデルのようなオーラで正面玄関前に現れました。

  ちょうどホテルを出るタイミングでしたので近くで見ました。アイドリングのディーゼル音もメルセデスやBMWのような下品で不快なトラックを連想させるものではなく、色・形・音と外部に与える印象においては、どんな高級車よりも考えて作られている「逸品」なんだなと改めて感じました。ホンダの新型アコードも同じようなコンセプトを追求していて、技術的にも新しいものを使って「上質なクルマ」へと進化していますが、残念ながらアテンザほど迫真の世界観は表現できていないです。そして日産の新型ティアナに至ってはもはやスカイラインの引き立て役でしかなく、日産から近い将来日本に本格導入されるであろうインフィニティブランドへ顧客を追い込む「戦略車」にしか感じません。

  これまで新型アテンザに対してネガティブな印象を持ってきましたが、中型のスポーティセダンから「おもてなし」「和の心」の大型セダンへと着実に脱皮するという意味では、とても高いレベルでそれを実現しているクルマだと、伝統の古都京都に来て実感しました。日本カーオブザイヤーの選考委員はクルマの基本性能ばかりに注目してアテンザに票を入れなかったと思うのですが、このクルマの社会的な価値を考えると、ゴルフ、フィット、Sクラス、V40といった全体にチャラチャラしたクルマよりも、やや感覚的ではありますが深淵で堅実な世界観へと踏み込んだ素晴らしさは、やはり無視すべきではなかったように思います。服装や時計などの持ち物にこだわる人にはもってこいのクルマじゃないでしょうか。


  

2013年12月5日木曜日

アコードとティアナ 米2万ドル車を高級車として売る手口・・・

  今年発売されたホンダアコードHVは北米ですでに3万ドルで発売されているモデルを、本国であるはずの日本に後から投入するという形になりました。日本価格は365万円〜でまるでドイツ車の北米と日本での価格を見ているような違和感を少なからず感じます。北米価格が安いのはアコードが現地生産モデルなので納得できますが、日本向けは国内生産であまりやる気のない価格設定ということのようです。

  国内で全量を生産しているフーガやスカイラインは北米ではインフィニティ・チャンネルということもあり、北米よりも日本の価格が安く設定されています。一方でアテンザやレガシィに関しては輸出モデルでも、現地生産を前提に北米価格が設定されているので日本の方が高くなっています。

  日本メーカーのセダンの価格は今後もある程度は流動的なものになるようですが、北米での価格と比較してもかなり高価な設定が続く傾向にあるようです。そんななか発売が決定してクルマも公開されている新型ティアナ(アルティマ)は、日産が現在値踏みをして日本での価格を決めようとしているようです。通常ならばおおよその価格の情報も伝わってくるはずですが、今回はかなり難航が予想されます。一体どれくらいに収まるのでしょうか?

  新型ティアナはまだ北米では発表されておらず、日本で発売するハイブリッドは北米でもまだ設定されていません。カムリ、アコードに加えてフュージョン、ソナタといったライバル車にはことごとく設定されている中で最後発になります。日産は最近北米での不当廉売疑惑が挙がるほど、やや硬直気味の北米シェアを押し上げようとしていますが、一般的にはインフィニティはジャーマン3・レクサス・アキュラよりも、日産ブランドはトヨタやホンダよりも高価な設定にする傾向があります。

  日本での価格も強気で、おそらくカムリHVやアコードHVよりも高い設定を考えているようですが、ブランド内の地位の関係で450万円程度と言われるスカイラインHVよりはハッキリ(100万円程度)安くする必要があります。つまりアコードHV(365万円)<ティアナHV<スカイラインHV(450万円)の範囲での設定が難しくなっているようです。北米価格はガソリン車が22000ドルなのでHVは30000ドルでOKでしょうけど・・・。

  そして日産にとっての悩みの種になりそうなのが、300万円でも日本では売れそうにない、冴えないエクステリアです。日産は「人生最高の時間を・・・」なんてコピーを掲げていますが、そういうクルマにはまったく見えませんし、デザイン上のこだわりであるとか所有する喜びを見出せそうなポイントが皆無です。やや古くさいですが、まだ初代ティアナの方が圧倒的に高級感があるくらいです・・・。もしこのクルマが日本で売れるとしたら、北米価格を下回る278万円〜くらいの革命的な価格設定が必要じゃないかとすらおもいますが、いかがでしょうか?

 ↓本当は国内投入の予定はなかったが、スカイラインを売る為のダミー設定!という噂も・・・

2013年12月4日水曜日

レクサスRCには隠し球はないのか?

  噂によるとレクサスの首脳部がなかなか騒がしいことになっているようです。レクサスISの登場で完全にドイツプレミアムを追い詰めたはずですが、完全にドイツ車のフィールドで戦ってしまったので、国内市場ではそれほどインパクトが無かったといってもいいかもしれません。そもそも「車体剛性」とかドイツのクルマ用語で日本車をディスってきたバカメディアにトヨタや日産の開発者がぶち切れて、ユーザーを置き去りにしたままドイツ基準のクルマを作ってしまったことって実際はとても不幸なことだと思います・・・。

  日産はともかく、トヨタ(レクサス)にはドイツを意識する必要なんてないほどに、素晴らしいクルマ作りの哲学があったわけですから、ドイツ車を無理に捕える必要があったのかどうか疑問です。高級車が目指す方向性を見失ってしまっていて、ドイツ車に追随することが安易ではあるけどブレイクスルーに必要だったならば、まあ仕方がないことかもしれませんが・・・。しかしトヨタがメルセデスやBMWを意識している以上に、この2社はトヨタの動向を凝視してそのノウハウを必死で盗もうとしています。

  ドイツ車も高級セダンの新たなる展開を模索する時期にさしかかっているのですが、どうやらメルセデスもBMWもトヨタがかつて作った「アルテッツァ」をイメージしたような軽快な中型セダンへと、主力のCクラスや3シリーズを作り変えてくるようです。車体剛性でレクサスISやインフィニティQ50と争っていても利するものはなく、クルマもどんどんつまらなくなっていきます。結局は正しかったのはトヨタだったと言わんばかりの驚きの変身を次のFMCでは見せるようです。

  そして高性能セダンのMシリーズやAMGなどが目指す先もどうやら、かつての日本車のコンセプトで、ずばり「スカイラインGT-R」と「アリストターボ」です。いまでもこの頃のセダンが最高に官能的だったと多くの日本のファンも言っていますが、それほどのクルマはやはりドイツでも十分に通用するのです。2000年頃には世界でもっともセクシーなスポーツセダンを作っていた日本メーカーですが、バカなジャーナリストに揚げ足を取られて、自らを見失いました。当時はNSXやRX-7など世界最高水準のクルマが日本車に集中していたため、そこまで際立った魅力を発揮できなかったようです。

  トヨタも日産も血迷ったかのようにドイツ車のコピーへと走りだしました。いろいろな見方があると思いますが、アリストの持つ切れ味をゼロクラウンに落とし込んでしまったあたりで、ある意味でのマンネリ気質になっていたのかもしれません。それでもなお、BMWやメルセデスが対等なブランドレベルの提携を結ぶほどに、トヨタや日産の高級車は日本人の思っている以上に海外で評価されているわけです。

  日産はGT-Rで自らを取り戻したようですが、トヨタはまだまだ迷走が続いています。かつてアルテッツァやアリストを作ったころの自信をレクサスRCにぶつけて、再びドイツメーカーを唖然とさせるような「魅惑」のGTカーを作ってほしいと思います。

  

2013年12月2日月曜日

F30アルピナB3が青梅街道でその実力を見せた!

  東京モーターショーなどもあって、ここ2週ばかりの週末は普段とは違って逆の都心へ出掛けました。いつも一緒に峠を走るMR-Sやロードスターなどのスポーツカーは、全く見られずミニバンやクラウン、セルシオ、BMW、ボルボなどつまんないクルマばかりでウンザリでした・・・。ミニバンはともかく高級セダンやワゴンを売りにしているはずのクルマがダラダラと走っているのを見ると、なんだか複雑な思いがします。

  そういうクルマに乗っている人はプリウスみたいなエコカーを少なからずバカにしてんだろうな・・・。でも端から見ていて走りはプリウスと大差ないですよ。BMWやボルボなんて車内は狭苦しいだろうし、外観は暑苦しいし、ドライバーの下手さもプリウスと同次元なので、周囲から見れば「ほぼ」同じクルマです。

  そんなことを思いながら、青梅街道を家路に向かって走っていると、エメラルドに輝くシックな車体がやや混雑した流れに乗ってゆったりと走っていました。ほかのクルマがブレーキランプをピカピカさせる中で絶妙にタイミングを測っているそのクルマのドライバーは微動をだにせずに追従していきます。車体はもちろん3シリーズですが、やはり運転している人が3シリーズとは全然違ってムダな動きをしません。

  わざわざ1000万円以上払って新車で現行アルピナB3を買う人は、走りも洗練されているようですね。南アフリカ製3シリーズのオーナーはホンダ車オーナーみたいにチャカチャカとムダな車線変更を繰り返し、そのぎこちなさゆえにクルマが不必要に低い性能に見えてしまったりすることが多いです。一体このアルピナB3で同じことをするとどうなるのか?には興味があったのですが、筋金入りのBMWファンはさすがでそんな日本のターボ・スポーツカーのように走らせたりは決してしません。

  BMWはスバルや三菱とは根本的に違うわけで、レーンチェンジでの軽快な挙動では絶対にランエボには勝てません。しかしこのアルピナB3ならば、3シリーズの貧弱なトランスミッションから専用のものへ換装してありますので、凄い動きをするのではないか? しかし60kg・m超の最大トルクで立ち上がっても0-100km/hがやっと5秒を切る程度だそうなので、日本のAWDには逆立ちしても適わないレベルかなという気もします。

  期待して後ろを追従していると、こちらの願いが通じたのか、前が開けたところでスムーズに1台パスして突抜けました。運転が想像以上に上手いのかもしれませんが、加速から2度のレーンチェンジをこなして定速走行に落ち着くまでの流れがしなやかです。ハイパワーモデルってもっとカクカク&バタバタと動くんじゃないの?と思いきや、横の入力やその反動を完全に足腰(高性能サス)で吸収しています。これが1000万円のDセグセダンの実力か・・・いや〜ため息ものでしたね・・・。ほしいな・・・。