2014年5月21日水曜日

セダンよりもスポーツカーを買え!という圧迫感がちょっとうっとおしい・・・

  クルマ好きたるもの、幾多の車種を吟味して自分自信を最も良く「投影」できるものを選ぶべきだと信じてきましたが、新規車種で発売されるのは高齢者向けのスポーツカーばかりですね。トヨタ86、ジャガーFタイプ、プジョーRCZ-R、VWゴルフR・・・そして今度はアウディTT。どれもこれも引退世代が楽しんで乗るためのクルマだなと思います。

  ホンダCR-Zという数年前に話題になったスポーツカーを例にとると解りやすいのですが、高齢者向けのクルマに見られる特徴として、デザインの幾つかの部分に「隙」が目に付く点が挙げられます。上記の車種もぐるりと360度見渡すと「ここがちょっと気に入らないな」というところがあります。価格こそバラバラですけどもそれぞれ300万円、600万円、1000万円といったそれなりの価格が付いたクルマですから、もっと頑張れ!なんて上から目線な感想すら浮かんできます(アウディTTはこれには当てはまらないかも)。

  世界の製造業の頂点といえる巨大自動車メーカーがなぜ「もっと頑張れ!」と思われるようなデザインのクルマを発売するのか? 私のようなド素人が感じるくらいですから、たくさんの担当者がいて10人を超える執行役員が査定すれば、当然に同じ感想を持つ人がいるはずです。それでもスポーツカーですからそれほど売れないことを覚悟でなぜ製品化に漕ぎ着けるのか? せっかくのスポーツカーなのだからもっと完璧を目指せばいいのに・・・。

  ちょっとバカバカしい話かもしれませんが、これほどまでにエコが叫ばれている現代に敢えてスポーツカーを作るという行為そのものが、極めてニッチなビジネスであり、最初からスポーツカー黄金期のノスタルジーに浸る引退世代をターゲットにマーケティングが行われているのは間違いないです。そして引退世代にしても大きく分けてお金を「持っている派」と「持っていない派」の2つに分かれるなかで、当然ながら「持っている派」をスキャニングして製品企画が進められるでしょう。

  それでは「持っている派」というのはどういう人々なのか?一般的に現役時代の40年余りを真面目に仕事に捧げてきた人々だと思うのです。バブルの狂乱に踊らされて高級輸入車を乗り継いだりなどせずに、本田静六を読んで清廉な生活を楽しみつつ蓄財に努めた人々です。そういう層というのはマツダRX-7FD3Sのような全く隙の無いデザインのクルマが必ずしも好きではないようです。むしろちょっと「隙」がある方が可愛げがあっていい。これまで高い人間力で長い人生を生き抜いてくると、人やモノの見方は洗練されてくるはずです。そういう人々の前では、誰にでも良さが解る最近のマツダのようなデザインは大して意味を成さないのかもしれません。

  まあそれはさておき、自動車雑誌を開けると最初から最後まで全長4400mm程度のスポーツカーやスポーティな輸入車がずらりと並んでいます。もはや欧州では全長4800mmサイズのプライベートカーなんて、BMW6やマセラティ・グラントゥーリズモのような1000万円を軽く超えていくようなクルマしかないみたいなので、北米価格(例えばBMW6が約750万円)並みに日本価格も値下げしてくれないと全く商売にならなくなっているようです。

  なんとか手が届きそうな1000万円以下のクルマは判を押したように「小型(スモールカー)」ばかり・・・。「BMW M235i」「メルセデスA45AMG」「アウディS3」「ダイハツコペン」「ホンダS660」それぞれに個性があるのでしょうけど、資金計画を立てて買うぞ!という気にさせてはくれません。5年とか10年とか乗り続ける自信がどうしても持てないです。「プジョ−RCZ-R」なんていくらゴリ押ししてもそのジャンルはご覧のように「大渋滞」ですから、よっぽどの変わり者くらいしか買わないでしょう。それならばいっそのこと「プジョー508-R」なるモデルを500万円台で出したらどうですか?これだったら現役世代も10年乗れそうな気分になるのですけど・・・。


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