2014年6月13日金曜日

スバル・新型レガシィB4は「世界一の〇〇なセダン」

  「売れ過ぎちゃって困る」とか本気で言ってそうな最近のスバル。アテンザが「世界一美しいセダン」、レクサスISが「ボディ剛性世界一」、アコードが「燃費世界一」、スカイラインが「ベースモデルで世界最速」とこれでもか!と、大暴れしている新型の日本車D/Eセグセダンの流れに乗って「何かやれ!」と言いたい気分ですが、とりあえず新型レガシィB4にはそういう芸は用意されていないようです。まあ「世界一」とかいわれてもだから何?って感じではありますが・・・。

  もはやドイツ車も韓国車もフランス車もアメリカ車も、日本メーカーの凶暴なまでのストイックさに唖然とするしかないわけですが、アテンザ以外の3台がどうしたことか?日本では予想外に評価されていないです。それどころかあちこちから批判すら聞こえてくる始末です。確かに従来の同クラスの日本車セダンと比べて高性能の分だけ、ちょっと価格が高めに設定されています。レクサスISとスカイラインHVは乗り出しで500万円を確実に超えますし、こうなってくるとなかなか安易に検討できる人は多くないでしょうし、「費用対効果」でシビアにクルマの価値を測るとしたら、日本で乗るには「余分な性能」だらけとも言えます。いくらクルマが良くてもこれではとても幸せになれない!と言いたい気持ちも分らなくもないです。

  しかしそこはアテンザも含めて「世界一」のクルマ達ですから、誰でも気軽に購入できる価格に収まるはずもないわけで、その意味では「やり過ぎ」ということになるのでしょうが、これまで散々に「ドイツ車に負けてる!」と叩かれてきたわけですし、メーカーの気持ちも痛いほど良く分りますし、セダン好きとしては可能ならば4台全てを買ってあげたい気分です。作る側も日本で一番優秀な人々がやっているわけですから、批判が来る事もすべて想定内なわけで、誰もが分っていることでしょうが「日本人に乗ってもらおうと思って作っているわけではない!」という本音を隠し持っているはずです。

  今よりも若者の賃金が高く、将来への不安を口にする人も少なかった時代に、171万円でマークⅡが売られていたわけです。そんな「激甘」な時代を過ごした人々から見れば、今の状況はとても受け入れられるものではないでしょうし、新型スカイラインを袋叩きに遭うのは仕方のないことだと思います。だからといって日本人を甘やかす必要もないですし、「世界一」に乗りたい人は仕事を頑張るなり、節約するなりして買えばいいわけで、まあ目くじらを立てるのは野暮だと思います。

  間もなく登場すると言われるスバルB4ですが、先代でやや後手を踏んだデザインを改善した以外はこれといった大きな変化はなさそうです。ボディサイズはライバル車なみに拡大されました。また水平対抗エンジンの特性上、車高が下げられないという弱点を抱えていて1500mmを超えるようで他車と比べてもやや腰高で、伸びやかさに欠けるスタイルになりそうです。それでも先代と比べて全長も伸ばされていますからバランスは確実に良くなっています。

  公開されているフロントフェイスに関しては、先行するレヴォーグがややメルセデスAやCLAに近い「サイバー・デザイン」にまとめられているのに対し、フォーマルサルーンとしての格調を重んじたものになっていて「小型でスポーティ」というブランドイメージから、やや離れた趣があります。それでいてどこかのプレミアムブランドに似るということもなく、スバルのオリジナルな造形に好感が持てます。強いて挙げれば、日本ではあまり馴染みがないですが、GMグループの豪州メーカー・ホールデンが手掛けるコモドアというラージセダンに造形の雰囲気が似ています。

  コモドアは一昨年に日本でも正規代理店が指定され、西日本方面に小さなインポーターができたと聞きましたが、まず走っているのをみたことがないですね。このコモドアはセルシオやレクサスLSの初期形をイメージした和風?なデザインで、なかなか日本人の心に刺さるんですよね。ただしサイズもレクサスLSと同じですが・・・。GMグループはこれをベース車にしてアメリカでは「シボレーSS」を、イギリスでは「ボクスホールVXR8」という400ps超というなんともゴージャスなクルマを作っています。シボレーSSは北米で450万円で買える!ってのはちょっと驚きです。

  「ジャガー」や「ミニ」といった日本人も親しみやすいデザインが特徴の島国イギリスで、セルシオ似のコモドアを改造したVXR8が大成功し、欧州GM(オペル)のスポーツチューンが熟成された成果がGMグループの本国アメリカへと持ち帰られ、そのままシボレーの最上位のスポーティサルーン「SS」として置かれました。そして旧メルセデスEクラスベースの「クライスラー300C SRT-8」とV8エンジンのラージセダンという枠で覇を競うという展開はなかなかスリリングです。「W210」vs「30系」が今も北米で現行モデルで行われていいるわけです(F30はデザインだけですが)。

  ちょっと横道それましたが、要するに新型レガシィB4はもしかしたら、日本車ファンの心の奥底に眠っているセルシオや、まだまだデザインが上品な時代のクラウンを連想させる、なんとも「古典的」でありながら「ブリリアント」なデザインのセダンとして、予想外に愛されるのではないか?と思うわけです。先代と同じターボなのか?それともフラット6が復活するのか?それともフラット6ターボという「怒濤の展開」なのか?といろいろ期待できる部分もあるのですが、この落ち着いたデザインは最近の「セダン祭り」でどこかに忘れてしまっていた、「日本車セダンのイディア」を思い出させてくれる重要な一台になりそうです。

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