2015年6月24日水曜日

ジャガーXE が冷め切ったDセグセダン市場を・・・の続き

  前回に引き続きまだ見ぬ「ジャガーXE」の素晴らしさを完全に想像して書いてみるという、なかなかシュールな内容でいきたいと思います。といっても薄々はお気づきかもしれないですが、各メーカーの現行Dセグセダンのどこが「冷めている」のかについて解き明かすのが裏テーマとなっています。ここ数年でグルーバルでの戦闘力を一段と増したと言われる日本車のDセグですが、結局のところ国内では本体価格の高騰がネックになって、2015年に突入しても相変わらず国内のセダンの販売が不調のままです。スカイラインやアテンザはそこそこ健闘していて、輸入車ユーザーを上手く取り込んでいるという意見もありますが、この2台に関してはサイズを拡大して接近したEセグ市場からの乗り換えユーザーを上手く吸い上げたというのが正直なところです。

  ちなみに現在のEセグは悲惨なまでの「超氷河期」で、Eクラス、5シリーズ、A6、GS、フーガとどれも突破口を見出せないままにモデルサイクルが終焉する時(FMCの時)を待っています。現行モデルが揃って元気が無い理由は、やはりやみくもなダウンサイジングによって、商品価値をことごとく破壊されてしまったことが大きいようです。ドイツ勢はどれも2L直4ガソリンターボの非力さと騒音で、高級車としての本質が大きく揺らいでますし、GSやフーガのベースモデルは国内専用のV6の2.5Lという「化石エンジン」です。どちらもまもなく直4ターボへの置き換えが進むようですが、現行の2.5Lの6気筒エンジンなんて、トヨタ、日産以外では中国メーカーしか使ってないです。この可もなく不可もなくといったつまらないエンジンのクルマが、乗り出しで軽く600万円を超えるわけですから、「なんで売れないの?」とメーカーが嘆くのは少々ナンセンスです。

  ベースエンジンがダメなら、上級モデルにすればいいわけですが、ドイツ勢だと6気筒搭載は乗り出し価格がおよそ900万円。GSとフーガなら700万円になります。これではポルシェ・ボクスター(700万円~)に予約が殺到する理由がなんとなくわかりますよね。ある程度立派に見えるセダンを買ってやろうと、意気込んで見積もってみたらとんでもない金額になって、どうせだったら思いっきり走れるスポーツカー買って楽しもう!ってなることもあるでしょう。さらにEセグは馬力さえ与えれば「直線番長」にはなれるでしょうけど、どうやっても機敏にはならないハンドリングには大きなマイナスイメージがあり、そのおかげで一気にスポーツカー(ボクスター)への情熱が駆り立てられそうですね。

  しかしDセグはというと、スポーツカーの頂点と言えるポルシェ911を撃ち落とすかのように、颯爽と登場した歴史を持つプリンス「スカイラインGT」が輩出されたスポーツセダンの王道セグメントです。確かにスカイラインはこのセグメント内では異端的存在ですが、BMW3シリーズをお手本にしていろいろなブランドから機動力を高めたモデルが発売されていて独自の進化を遂げてきました。しかし気がつけばどのブランドのモデルも、コンセプトの狙いはいつのまにか「Eセグ互換仕様」になってしまっています。その中でもいろいろなタイプがあるのですが、どれもこれももはや「Dセグ」ではない!と憤慨し、一抹の淋しさを感じる今日この頃です。

  まずスカイラインですが、「350GT」というハイブリッド車に関しては、Eセグ高性能車並みの直線番長っぷり(0-100km/hが5.6秒はスゴい)で、本体価格450万円ですから実に価値ある1台ではあると思います。そしてスカイラインの名に相応しい「ステアバイワイア」の実用化も十分に評価できます。しかし問題はそこから先で、まずクルマのキャラに合わない内装がお仕着せられていて、いかにも「プレミアムカーですよ!」という合理化意識が先走っています。そして当たり前のようにランフラットタイヤ装着がされ、ドライバーズカーという本質を放棄し、治安が悪い地域でのセキュリティーカーへと目線を変えた設計にスカイラインという車名はやはり違和感が・・・。やはり世間で巻き起こった批判の通り、日本のユーザーが不在のままコンセプトが完遂してしまった感は否めません。

  そしてアテンザは・・・というと、現行モデルになってから残念なことにCセグであるアクセラの「ストレッチ版」の設計になってしまいました。Cセグのシャシーを伸ばしてEセグの代替需要を満たしてしまうあたりが、マツダの上手いところではあるのですが・・・。そもそも安定志向のハンドリングを持つクルマが揃うEセグ市場に、ストレッチ版のアクセラみたいなクルマを潜りこませれば、「アテンザのハンドリングはこのクラスにはクイック過ぎる!」なんて感想が複数の有名ライターから出てくるのも当然のことです。

  しかしアクセラ譲りのストラットでは超一流のリニアなハンドリングとはいかず、さらに言えば初代・二代目のアテンザが世界を驚愕させたあのリニアなハンドリングからはいくらか「退化」してしまっています。もちろんハンドリングばかりがクルマの価値ではありません。そこで改めてこのGJアテンザの売りは何なのか?・・・「デザイン」「ディーゼル」「MT」・・・この辺を上手く組み合わせて理解してくれ!ってところでしょうか。ユーザーへ丸投げですか? マツダは頑張っていると思いますけど、現行アテンザの「部分最適化」主義はどうも気になります。やはり「アテンザ」と名乗るのであれば、大きくまとまった世界感と常に「世界最高」を意識させるクルマであってほしいです
(前述のスカイラインには気概を感じますが・・・)。

  レクサスISはどうか? 失礼を承知で言わせてもらうと、「最高の材料があるのにシェフが凡人か小者・・・」全体としては悪くはないですし、相対的に見ても随所に優れた点が見られますけど、各部の設計から乗り味に至るまで決定的にオリジナリティが無いです。なんかに似てる!と気がついてしまったらもうダメですね。期待して乗っても残念ながら「独特の世界観」なんてものは何も見えてきません。まずドアを開けたときの質感からしてF30系3シリーズの雰囲気がプンプンします。これで「お〜ビーエムじゃん!」って喜んでくれる福野礼一朗さんみたいなオッサンキャラならいいでしょうけど、私は「レクサスって何なんだよ・・・」とテンションがガタ落ちでした。

  それでもレクサスが自ら「頑張りました!」と胸を張るだけあって、シャシーとそれに据え付けられているインパネフレームやシートなどのガッチリ感は、最近のドイツ車には感じられないくらいに立派なもので、これだけでも十分に価値はあります!がしかし・・・このガッチリしたシャシーから連想してしまうのが、今度はスカイラインです。もっと「柔」なイメージがレクサスにはあったのですけど、今度のISは石畳みたいな舗装路を走らせたら、突如として歴代スカイラインの乗り心地が甦ります・・・なんじゃこりゃ?

  最後にレガシィB4ですが、このクルマはデビューの最初からやらかしてしまいました。アメリカで先行して公開されたのですが、プレス発表会でやたらと派手な演出のあとに登場してきた実車を見たメディアの人々が、あまりの華の無さにポカンとしちゃってました。21世紀にもなってアメリカ人にバカにされるデザインはキツいです。日本車の恥さらしです!そんなクルマに400万円も払えるか?スバルは思いっきり反省しろ!絶好調すぎて生産能力が限界を迎えているスバルだそうで、北米市場でここ数年での成長は目覚ましく3年前までダブルスコアを付けられていたVW/アウディを見事に逆転しました。しかし気がつけばアメリカにまだまだ地盤が無いはずのマツダのアテンザにレガシィB4があっさり負けてる!どうやらマジでアメリカ人はレガシィがダサい!と判断したようですね・・・。このブランドはDセグセダンに関してはド素人!プライドがない! ・・・とまあ厳しく言ってみましたけど、それでもドイツ車のDセグ買うくらいならレガシィB4にしておきます。

  400万円のクルマの水準から見れば不満はあるけど、やはりスバルのフラッグシップセダンだけあって、各部の作り込みは申し分がありません。田舎のお袋さんを乗せるのには、いろいろと「ちょうど良い」クルマになってます。1500mmを超える車高はややシルエットを悪化させますが、後席の乗り込みやすさは◎ですし、リアシートヒーターが標準装備。地味だけど堅実なデザインは、「清潔感」の裏返しですし。親孝行のクルマにはいいと思います。自慢のAWDを発揮して、雪深い温泉宿にでも連れていってあげましょう。ただし400万円と聞くとお袋さんも困惑するかもしれないですが・・・。

  さてこんな調子でDセグ全部を血祭りに挙げて行きたいと思います。次回はドイツ車を語り尽くされたステレオタイプな表現で、改めてコケにしていきたいと思います。


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↓Dセグ特集!渡辺敏史さんがアテンザ・スカイライン・IS・レガシィをバッサリ!
だけど異論あり!

  

  

  

2 件のコメント:

  1. いつも充実した内容(記事)ありがとうございます。ことこと。レガシィB4は税込価格で標準車286万2000円、リミテッド307万8000円するので、400万円もしないと思います。せいぜい乗り出し、340万円、360万円(値引き含む)で帰るのではないかと思います。アテンザよりははるかにリーズナブル[装備、コスパ等]と思うのですが。ただし、アメリカのレガシィには、車を後退させる際に、後部を通ろうとする車を感知する装備ついているが、日本車には、省略されています。400j万円はアメリカでの値段かもしれませんが。

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    1. コメントありがとうございます。

      確かにオプションを極力減らせば350万円くらいですね。ハーマンカードンとかいうオーディオ入れたら400万円だな〜くらいのイメージで書きましたよ。

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