2013年7月2日火曜日

妥協なき完成度。インプレッサG4とは全く別モノ。 「スバル・レガシィB4」

  はじめに・・・本ブログ記事では、
「入門車」⇒2~2.5LのNAのDセグセダン 
「中級車」⇒3.0~3.7LのNA/ターボのD/Eセグセダン 
「上級車」⇒V8以上のエンジンを搭載した高級モデル
と独自の(勝手な)クラス分けを用いています。ご了承ください。


  スバルの業績が回復し、今や日本で一番勢いがあるブランドと言ってもいいほど好調だ。北米でもスバルは日産とともに直近で好業績を修めていて、早くもアメリカからの「警告」ともとれる警戒論がメディアを賑わせている。VWのクルマを絶賛するだけで何も文句を言わない日本市場とはだいぶスタンスが違うようだ。現地生産比率が高い日産に対してスバルは輸出が多いので、今後さらに激しいバッシングを受けるかもしれない。

  アメリカの論理というのは、時にかなりヘンなものがあり、ある商品が定期的に輸入されている場合に、その生産国でその産業が「過度」に保護されていることが証明されれば、即座に「セーフガード」を発動する習慣がある。トヨタやホンダにも昔から厳しい現地生産基準量を要求してきていたりと、かなり神経を尖らしてきている。もしスバルの輸出量がアメリカ産業にとって無視できない基準に達した場合に、「とんでも」な言いがかりもありうる。

  例えばトヨタは日本政府が定める「エコカー減税」と「補助金」の恩恵を一番受けて来たメーカーである。そのトヨタが数年前からスバルと業務提携と資本関係に突入していて、具体的な協業として、トヨタ86/スバルBRZを共同開発していることは広く知られている。つまり日本政府から実質的に多額の支援を受けているトヨタが、スバルにカネを出して新しいクルマを開発させたわけだ。これによってスバルは新型エンジンとして従来の「EJ型」に代わる新しい「FA型」と「FB型」のエンジンを開発している。見方によってはトヨタがアメリカとの現地生産の協定の抜け穴として、スバルを支援しているともとれるが・・・。

  スバルの規模のメーカーでは通常は排気量ごとに1種類のエンジンを複数の車種で使い回すことが多い。しかし今回スバルはなんと2Lのエンジンに関しては2種類用意することができた。とてもじゃないがスバル単独ではできない芸当だ。これはスバルにとっては商品開発を最適化する上で最重要な方針だったようで、実行の為にこれまでは多少「軽蔑の念」すらあったであろうトヨタと手を組む事に同意したようだ。

  この2種類のエンジン(FA20型とFB20型)を使ってそれぞれ作られたのが、「トルク&燃費」重視のFB20型エンジンを搭載する新型インプレッサ2Lモデルと、「スポーツレスポンス」重視のFA20型エンジンを搭載するBRZだ。どちらもスバルの狙い通り国内外で好調なセールスを記録している。この2Lエンジンを併用する体制は顧客ニーズに上手く合致している。同規模のBMWやマツダが「燃費&トルク」重視の新型2Lエンジンへ大半のモデルを切り替えているので、スバルのパワーユニットに関する優位は今後も続いていくだろう。

  スバルの強みは、FB20型搭載の2Lのインプレッサが強豪ひしめくCセグライバルに「総合性能」で睨みを利かせておいて、さらに「差別化」された3つのエンジングレードを持っていることだ。1つは先ほどのBRZであり、繰り返しになるが「レスポンス」に優れたスポーツモデルだ。2つ目は2.5LのFB25型を搭載したNAのレガシィだ。FB25型は従来のスバルらしいショートストロークエンジンで、ロングストロークエンジン(FB20型)のインプレッサよりも高級感のある乗り味を目指して作られている。

  3つ目はレガシィとフォレスターのターボモデルに使用されるFA20型をターボ化したDITエンジンだ。このエンジンはBRZの「スポーツレスポンス」に加えて、ターボによる幅広い回転域でのトルクが得られる。ドイツ車の直4ターボはロングストロークなので、それらよりもレスポンスに優れていて、ゴルフGTIなどの2Lターボとはモノが違う。それと同時にスバルが従来から作っているWRX STIに使われている「尖った」スポーツ仕様ではなく、ある程度燃費も確保されていて、あくまで乗用車の一般ユーズに合ったターボエンジンだ(WRX STIにはまだ投入されていない)。

  現行のレガシィは「FB25」と「FA20DIT」の2種類のエンジンが使われていてどちらも高級セダンにふさわしい実力を兼ね備えている(FB25DITモデルは生産終了らしい)。インプレッサG4が発売した当初は、内外装のクオリティがレガシィB4とほとんど同じだったことから、評論家筋が盛んにインプレッサをもて囃し、人気に火が付いたようだが、実際にはドライブフィールは全くの別物で、価格に見合った差別化が施されている。フラッグシップセダンにふさわしい乗り味という意味では、話題の新型アテンザ(2.5L直4のPY-VPRエンジンが???)よりもレガシィの方が優れているという見方もできる。

  レガシィをインプやアテンザと比較するレビューが多かったりするが、結論としてはレガシィがクルマの基本性能では数段上であり、同時にもっともスポーティな設定になっている。もちろん燃費を重視すればインプやアテンザの方が上回る。まあデザインについては、間違いなくアテンザなので、レガシィのデザインが許容できるかという問題がありますが・・・。


0 件のコメント:

コメントを投稿