2013年6月29日土曜日

レクサスの安売りは見苦しい限りだが・・・、それでもいいクルマ 「レクサスGS」

    はじめに・・・本ブログ記事では、
「入門車」⇒2~2.5LのNAのDセグセダン 
「中級車」⇒3.0~3.7LのNA/ターボのD/Eセグセダン 
「上級車」⇒V8以上のエンジンを搭載した高級モデル
と独自の(勝手な)クラス分けを用いています。ご了承ください。


  好き勝手にブログを書いているただのクルマ好きと違って、新型車の企画・設計を行う開発者にとってその仕事とは「石橋を叩いて渡る」ようなものなのだろう。2代目レクサスGSが発売されるに際して、ブランド内でその存在意義がやや霞みつつあるこのクルマは、本体価格が510万円まで下げられた2.5Lモデルが新たに追加された。

  このクルマは元々はトヨタが世界に誇る俊足スポーツセダン「アリスト・ターボ」の後継モデルとして登場したが、NAの3.5Lのみという設定もあり、アリストの成功をそのまま引き継ぐことが出来なかった。クラウンとのパワーユニットの差別化(3L直6ターボ)で俄に成功したアリストの良い点をあっさり捨て、クラウンアスリートの3.5Lモデルと共通のパワートレーンで価格はワンランク上のV8のマジェスタ並みとあっては、アリストの乗り換えはこの2つのモデルへと流れていくのも自然だったように思う。さらに極めつけは、トヨタの役員がGSではなくアリストターボでスピード違反の取締を受ける事態が発生し、世間にレクサスGSは「身内」も乗らないほどの冴えないクルマというイメージが強くなってしまった。

  この「緊急事態」を受けて、トヨタはクラウン用の新型シャシー開発資源(14代は新型シャシーの予定だったのだが・・・)をレクサスGSに投入してテコ入れを図った。しかしここでも「余計な事」を積み重ねてしまい、そのFMCもやや不発に終わった。余計なこととは、1つはレクサスが新たに設定した「新型グリル」の初の設定車種になったことだ。このインパクトが「ありすぎる」グリルによって、せっかくの新型シャシー投入よりもデザインばかりが独り歩きしてしまった。

  もう1つは、冒頭に言及したように販売量を確保するために2.5Lモデルを追加したことだ。3.5LのNAモデルのセダンは、中古車市場での不人気ぶりがとても目立つ。現在では新車と3年落ち中古の価格差は2倍以上にも広がっていて、ただでさえ少ない新車販売をさらに押し下げてしまっている(中古車がお買い得すぎる)。新車にこだわるユーザーにとっても下取り価格の下落幅まで考えると、1000万円クラスの輸入車に乗るのと負担が変わらないケースもあり、かなり敬遠されてしまうようだ(MBやジャガーの方がむしろお得)。トヨタよりもさらに販売数が少ない日産やホンダは、すでに3.5LのNAのみのグレード設定は今後は成立しないと考えているようで、FMCではことごとく低燃費なパワーユニットを使ったグレードを前面に出している。

  この流れにからレクサスGSも2.5Lモデルを設定することは一見とても自然に思えるので、評論家筋もこのことについて面立って批判する人はほとんどいないように思う。しかしレクサスGSは先代からすでにハイブリッドが設定されていて、ほぼ2.5LのNAと同じくらいの燃費は達成されているので、燃費だけが理由の2.5Lモデルを設定する必然性はハッキリ言ってなかった。結局はその真意は価格の圧縮になるようだ。レクサスの言い分としては、ライバルの「Eクラス」や「5シリーズ」に直4ターボがあるのだから、2.5LのV6NAを設定しても違和感はないといったところだろうが・・・。

  しかしレクサスはまだまだメルセデスやBMWと比べてプレミアムブランドとしての歴史が浅い。例えばアリストに乗っていて、レクサス立ち上げに際して、値上げを受け入れて先代のレクサスGSに乗り換えた人にとってみたら、どういう気持ちがするだろうか? 700万円近く払って先代GSを購入したが、新型GSは2.5Lが中心になりお金に余裕のある高齢者や中高年が乗り回す「普通のクルマ」に成り下がり、しかも先代GSの下取りは5年落ちで確実に100万円を切るレベルだ・・・。新車購入はあくまで自己責任だが、ここまで酷い仕打ちを受けたら二度とレクサスなんて購入したいと思わないだろう。

  レクサスGSと同じように2.5Lモデルの投入で日産フーガも一気に不人気車種になった。やはり3.5Lモデルを買いたいというユーザーにとっては、2.5Lモデルは忌み嫌う「凡庸」なグレードのイメージが強い。やはり2.5Lは「入門車」であり、3.5Lは「中級車」なのだ。2.5Lを導入してしまったら、GSやフーガはもはや300万円で買えるアテンザやレガシィと同じ「入門車」にでしかない、600〜700万円出して乗りたいクルマとは到底思えなくなってしまう・・・。



  

  

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