2013年6月17日月曜日

トヨタが作った入門車 カムリHV

  はじめに・・・本ブログ記事では、
「入門車」⇒2~2.5LのNAのDセグセダン 
「中級車」⇒3.0~3.7LのNA/ターボのD/Eセグセダン 
「上級車」⇒V8以上のエンジンを搭載した高級モデル
と独自の(勝手な)クラス分けを用いています。ご了承ください。
 


 

  トヨタが「若者のクルマ離れ」を抑止するために、150万円で買えるスポーツカーを開発していると盛んに報じられています。別にそんなもの作らなくても、今年FMCを迎える北米版のカローラをそのまま持ってくれば、みんな満足して買ってくれるのではという気もします。トヨタがなんでそれをしないのかは、ハッキリは分かりませんが、恐らく「カッコいいカローラ」を出すと、若者ではなくてお年寄りが一気に群がってしまってしまって、トヨタの利益を押し下げてしまうことを危惧しているようです。

  じゃあなぜアメリカでなら発売できるのか? それは完全にトヨタの北米販売ではカローラより「カムリ」がたくさん売れるからだと思います。2011年に現行のカムリがハイブリッド仕様のみとなって日本に導入されたとき、トヨタブランドの大衆車のイメージを変えるほどの(違和感を感じるほどの)完成度の高さでした。当然ながら評論家は面食らったように絶賛の嵐で、ちょっととしたブームを巻き起こしていました。それももう遥か昔の話で、現在のトヨタの「押し」はクラウンやレクサスISにシフトしてしまっています。今思えば、2年前のカムリHVの投入は「日本のクルマ文化」を変えるほどのポテンシャルがあったのではという気がします(見事にそのチャンスを逃しました・・・)。

  当時、私は国産で新車(Dセグセダン)の購入を考えていたので、このクルマについてもいろいろと調べました。その結果「トヨタが大して値引きをしない」くらいしかネガティブな要素がなく、堂々の第2候補になっていました。トヨタのミドルサイズセダンは他にもいくつかありますが、マークXはクラウンゆずりのシャシーを使っているとはいえ、アピールできるポイントが見当たらない(クルマとしての魅力が乏しい)し、プレミオではスペック面で入門車にもならない(論外)と感じました。その中でカムリHVはマークXの2.5Lの「なんちゃってV6」エンジンを軽く上回る「加速性能」と「燃費性能」を持っていて、さらにスタイリングもいいし、居住性も高い。その段階で入門車としてのマークX(2.5LのNA)は消えてしまいます。

  日本よりもディーラーのしがらみがなく(?)、ユーザーの年齢層も低いアメリカで各国のライバルを押しのけて売れているトヨタ車なのだから、クルマとしての実力は世界トップレベルです(韓国COTY受賞という快挙もありました)。当然ながら様々な面で国内専用のマークXよりも合理的で優れているクルマになります。日本ではなぜかマイナーですが、北米では韓国車やドイツ車を寄せ付けない強さを誇っています。

  トヨタはもっとこのカムリHVを日本の若者にしっかり売る努力をしたらいいと思います。アメリカでも韓国でも絶賛されている、これだけの「いいクルマ」が日本ではマイナーな存在に留まっているから、結局のところトヨタ車の良さが伝わらないし、レクサスやクラウンの購買層の土壌も育たない気がします。私自身も最終的にはマツダのアテンザに軍配を挙げましたが、国産の2番手のクルマとしては「レガシィ」や「アコード」よりむしろ「カムリ」い強い魅力を感じていました。

  ただもう発売から2年が経過してしまい、日本市場にHV専用モデルとして売るというコンセプトは、ライバルの新型「アコード」や次期「ティアナ」にも完全にパクられています。さらに新型アテンザがディーゼルターボで大きく燃費を伸ばしたことで、このクラスの主役を奪いつつあります(シェアを考えるとマツダ車がトヨタ車に勝つのはよっぽどのことです)。このクラスの国産セダンの「突然変異」は国内市場の不人気というのもありますが、このカムリHVが「引き金を引いた」格好になっています(トヨタとしては珍しく先駆けましたが・・・)。

  もしかしたら、この状況はトヨタが望んだ展開なのかもしれません。2年前に発売してみたら予想外の大反響を呼び、そこで初めてカムリに使っている「直42.5LのHV」というシステムが「カネになる」ということを迅速に嗅ぎ分けて、プロモーションをトーンダウンさせた(?)。そしてクラウンとレクサスISの次期モデルの主力ユニットとして投入を決めたようです。ある程度のステータスを求める年配のトヨタユーザーにとってはカムリHVは「いいクルマだけど、もうちょっと高級に仕上げてほしい」という要望があったらしいです・・・。そこでトヨタは高齢者向けへの展開を第一に考えてしまったのでしょうか? 結局はバブル時代を忘れられない高年齢層の価値観が日本のクルマ文化の健全な発展の障害になっている気がします。

  アクアは北米価格と日本価格がほぼ同じ(日本の方が安い)に設定されていますが、カムリHVは50万円以上も日本の方が高く設定されています(だから日本ではアクアが売れるのは当然です)。トヨタにはぜひ、この傑作車「カムリHV」を北米価格で日本でも発売してほしいと心から思います。カムリHVが250万円〜になれば、「クルマ離れ」に対して強烈な特効薬になるはずなのですが・・・・。


↓「加速&燃費&スタイル&居住性」でマークXを一蹴。北米ベストセラーはさすがです。




  

  

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