2014年2月26日水曜日

日本車メーカーは性格が悪くないですか?

  日本メーカーの開発者というのはよっぽどストレスが溜まる仕事のようですね。直接会ってあれこれ聞いたわけではないのですけど、いろいろと考えていることがえげつないと思うことがあります。特に日産とスバルは自分達の技術への絶対的な自信がみなぎっているようで、他のメーカーへの敬意に欠けているように感じるのですよね。とくにトヨタ車への蔑視的な感情を「間接的な表現」で込めているのをよく感じます。まあ私の邪推というケースもあるでしょうけど。

  ただスバルや日産にみられるクルマの作り方は「絶対的」自信とは裏腹に、常に「相対的」優位に固執してるだけじゃないかと思うのです。国内外のメーカーを見渡してもスバルや日産はクルマ作りへの執念は他を完全に凌駕しています。別にGT-RだからWRX STIだからというのではなくて、例えばセレナのような完全なるファミリーカーでさえ凄いんです。最終的にステップワゴンやノア/ヴォクシーを退けてしまうだけ「相対的」優位を持ってるんですよね。まあ良く走るそうですよ。

  最近では日産もスバルも完全にグローバルがメインになっているので、国内のライバルはとりあえず無視で、海外メーカーに対してその毒牙を向けています。ルノー日産は中国や北米というよりは不況の欧州でかなり健闘しています。イギリスやフランスそして周辺の欧州諸国では軒並みトップシェアで、フランス車にとっては鬼門のドイツでもオペルやBMWを超えるか?というほどの伸びを見せています。フランスの国営企業と言ってもいいルノーが日産と合体してドイツで大暴れというフランスの国威発動的なシナリオが20年前に描かれていたのかもしれませんが、その通りの展開になっています。第三次世界大戦?

  クルマ好きのドイツ人を納得させる日産のやたらとスポーティと評判な1.2Lターボがその原動力。VW、オペル、PSAの1.2Lターボとの違いを見せつけ、フォードの1.1Lエコブーストの好敵手として高い評価を得ているようです。欧州版のジュークやデュアリスもこのエンジンで走っています。そして新たにVWのラス=ボスといえるゴルフを狙ってこのエンジンでCセグハッチバックの投入が発表されてます(アルメーラ)。

  ただでさえ縮小が止まらない欧州市場。ドイツですら10年で新車販売が4割減っている危機的状況なのに、フランス国営企業を隠れ蓑に人の迷惑も考えずに大暴れする日産。この人達にとってはこの状況こそが最高に「燃える」のでしょうか? 結果的にVWに大打撃を与え、仇敵トヨタの世界一をアシストすることになっている皮肉な状況ですが・・・。日産が暗躍してトヨタが世界一になっても、一般の人は「トヨタが凄いな」「それにくらべて日産は・・・」なんてイメージなんですよね。

  トヨタグループ入りしたスバルはいよいよ日本最強の高性能車メーカーとして、新たな門出を迎えましたが、まだなにもしてない段階なのに日本と北米で大ブレークしてしまいました。トヨタと一緒に86作りましたけど、世界的にはトヨタ&サイオンのクルマとして知られてるので、実質的に何もしてません。日本では絶不調だった現行レガシィB4がライバルのFMC&値上げにより割安感から人気が再燃。まさに「塞翁が馬」といった感じです。

  スバルの新しいターゲットはどうやらドイツプレミアム御三家。国内向けに作ったレヴォーグに積まれているエンジンが1.6Lと2.0Lのターボの2種類で、どちらにも「殺意」がみなぎっています・・・「BMWとメルセデスを獲る」。大きな自動車グループに属さないBMWとメルセデスはかなり際どいM&Aや技術提携を繰り返してそのハンデを補ってきました。クライスラーとギクシャクした関係だったり、日本国内で問題を起こして弱っていた三菱を喰ったり、英ローバーを買収&解体したり、となかなかえげつないマネーゲームを得意とするドイツメーカー(VWも含む)。

  かつてともにAWDターボスポーツで競い合ったライバルの三菱を某ドイツメーカーにつぶされて、いよいよスバルの義侠心に火が付いたのか? そして「復讐レヴォーグ」が完成しましたが、その出来は欧州車としては超一流のレベルにあると思います。欧州でブレイクスルーを起こしたオペル・インシグニアをあらゆる面で上回る超絶的なポテンシャルを感じます。それなのに「国内専用」とは・・・一体なぜ? 当然のように欧州と北米のスバル販売会社から導入の催促が来ているそうですが・・・。

  レヴォーグを初めて見た時に、ボディカラーのせいもあったでしょうが、どこか「冷徹」な印象を受けたんですよね。とくにデザインで媚びようとしていない。なのにスバルの力の入れようは不自然すぎるほどでした。このクルマにはどんな隠し玉があるのかと、多くの人はあれこれ想像したと思いますけど、何のことはない「アルマゲドン」なんですね。日本からBMWとメルセデスの4気筒を完全に「駆逐」する!という壮大なストーリーの幕開けというならば、スバルがいろいろ勿体ぶった大仕掛けをするのもよく分かります。ドイツ車の「大量虐殺」なんて・・・どこかスバルには「犯罪者臭」がするんですよね。失礼!



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2014年2月19日水曜日

新型スカイラインの登場で日本車は柱を失った!?

  日産がいよいよスカイラインのFMCを日本でも行うのですが、新型モデルは従来のV36の2.5Lモデルと並行で販売され、その名も「スカイラインハイブリッド」。雑誌によっては車名が「NEWスカイライン」になるらしい。せっかくの技術革新満載の1台なのだから、とびきりの名称でも考えて商標登録してくると思いきや、なんとも投げやり感が漂う平凡な名称には少々がっかりしました。

  日産のサイトにはさぞかしド派手に演出されているだろうと思って覗いたのですが、最初に出て来るのがなんとデイズ・ルークス。軽自動車の商戦は税金や消費税の問題でやや複雑な情勢なので急を要するのはよくわかるが、軽自動車の後からスカイラインが登場しても全く高級車としての凄さが伝わってきません。「日本のプレミアムをおどろかそうか」という今回の宣伝文句は実に「当意即妙」だと思うのですが、まったく目を惹かない真横からのシルエット写真に添付されていると、とても「おどろかす」ような気合はみられません。

  ここにきて日産もホンダもいろいろと問題に直面しているようですが、レクサスというプレミアムブランドの分離はとても重要なことだったのがわかります。アキュラは過去に日本での展開を本格的に検討したようですが、失礼ですが日本のどこに旗艦店を作ろうがアキュラやインフィニティの売上では到底、販売店としての一人立ちは無理に思えます。赤坂や世田谷にショールームを作っても普通にプレミアムセダンやプレミアムSUVだけを売るのではまったく見通しが立ちません。唯一これらの店にお客が来るとするならば、GT-RやNSXの後継車をこれらのブランドから発売するくらいの話題性が必要です。

  軽自動車が並ぶ販売店に、ベースグレードでも500万円近くするクルマを買うという人が入ってくるでしょうか? 確かに入りやすいという人もいるかもしれませんが、同時に入りにくいもしくは絶対に行きたくないという人も同じくらいいるでしょう。なにせ日本の消費を担っている人々の多くは「輸入車じゃなければクルマじゃない」と思っているような人々も多いわけです。日産はGT-Rの発売時にハイパフォーマンスセンターを設置しましたが、これに指定されているからといって、中型モデル以上の高級車専門にシフトしたディーラーというわけではありません。外観上も一般のディーラーと全くかわりません。店先に100万円台のメルセデスやBMWを並べた中古車屋のほうが遥かに高級に見えるくらいです。

  日産のディーラーへの苦言が続いていまいましたが、これまでのスカイラインのグローバルモデルが全てハイブリッドに置き換わったというFMCにもとても残念な思いがします。V36スカイラインの3.7Lモデルは長らく日本の中型セダンのボスキャラとして君臨してきました。BMW3やメルセデスCは日本で人気を博していますが、この2台をよりも日本車の方が優れていると証明できる、もっとも分かりやすい例がスカイラインでした。6気筒NAとしては世界最強を誇るVQ37エンジン。高性能なサスペンションと4WSによるハンドリング。ドイツ車の全てに打ち勝つ車体剛性。どれをとっても超一級品でしかも300万円台で買えるという決定版がこのクルマでした。

  もちろん北米価格はBMW3<メルセデスC<スカイラインという正しいクルマの性能順になっていますが、日本価格ではスカイライン3.7LがBMW3やメルセデスCのどのグレードよりも安いのです。クルマ好きならば3やCを買うくらいならスカイラインだろ!という当然の思考が働いたわけです。しかしこの決定版のグレードが廃止になりました。レクサスIS350では3やCの価格を上回ってしまいます。今この瞬間に国産車セダンは絶対的な存在が空位になってしまいました。日産にはもっとこのクルマにポリシーを持って頑張ってほしかったです。確かにまだスカイラインクーペが残されていますけども・・・。


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2014年2月14日金曜日

テスラみたいな高級車を日産はなぜ作らないの?

  テスラXという7人乗りクロスオーバーEVがアメリカで公開されました。アメリカンな王道SUVなのですが、見た目はまったくゴツくなく、シトロエンDS5のようなボディの大きさにも関わらず隙がない見事なデザインには驚かされました。華やかなショーのようなワールドプレミアで徹底的にアピールされていたのが、EVとしての環境性能ではなく、リチウムイオン電池を山ほど積んでいるにも関わらず、パッケージに優れる日本のSUVを上回るかのような、人員と荷物の積載量。「アップル降臨」以降のアメリカの工業デザインは確実に異次元のレベルですね・・・。

  最近では復活したGMの急先鋒としてキャデラックに装備されるインターフェイスがもの凄いレベルになっていて、車線から逸脱すると日本車みたいにピーピー鳴るのではなく、運転席のシートが震える装置が付いているのだとか・・・。峠道でセンターラインに乗るとタイヤが震える仕組みになってたりしますが、あの振動による警告は五感をうまく分散する人間工学に叶ったナイスなものだと思うので、それをクルマの装備に取込んでしまうアメリカ車は日本車やドイツ車よりもある意味で進んでいます。

  EV、FCV、フルHVの次世代動力ユニットの研究で世界をリードしている日本メーカー。プリウス発売後の10年間で世界生産を500万台から2倍の1000万台へと成長させたトヨタは大成功を収めましたが、EVを先行させた三菱のiミーブや日産のリーフを見ると、果たしてこの両社はせっかくの研究開発を自社の発展に役立てようという計画性がまったくないのでは?という気がしてしまいます。わざと変なデザインに仕立てて、利幅の大きいガソリン車のシェアが大きく減らないようにしたとしか思えないです。そりゃ赤字覚悟のリーフよりも、タイで組み立てた利益率抜群のマーチを売った方が儲かるのでしょうけど、そんな消極的な姿勢なら最初から巨額の開発費を投入してまでEVを作る必要があったのか?

  それに引きかえ新興EVメーカーのテスラは、ひたすらに売れるEVを作るだけですから、最初から「テスラ・ロードスター」をぶち込んで話題性で勝負してくるわけです。そして主力セダンの「テスラモデルS」は最初からメルセデスの最上級を狙い撃ちしたかのような高級感が明らかにコンセプトの柱です。テスラモデルSの子供2人分を後ろ向きに座らせるという斬新なシート設計の7人乗り。もしかしたら何らかの制約があったのかもしれませんが、日本メーカーが15年前にセダン派生の5ドアハッチバックでこのスタイルと取り入れていたら、セダンの不人気にも一定の歯止めがかかったんじゃないかという気が・・・。

  今のところテスラは800万円前後の高額モデルのみとなっていますが、今後は300万円台のモデルをセダンとSUVに投入すると発表されています。高級モデルでブランドイメージを築いてから、販売競争力のある廉価モデルを世界の市場に一気に投入するというテスラの野望が成功するかはわかりませんが、発売されている製品の完成度を見ると、アップルを上回る勢いで日本中を駆け巡るかもしれません。テスラはトヨタと提携していますし、テスラ車には日本の部品メーカーもたくさん噛んでいるので、日本の工業にはそれほど影響はないかもしれませんが、自動車メーカーが家電メーカーのような苦境に立たされる可能性はあります。


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