2014年2月14日金曜日

テスラみたいな高級車を日産はなぜ作らないの?

  テスラXという7人乗りクロスオーバーEVがアメリカで公開されました。アメリカンな王道SUVなのですが、見た目はまったくゴツくなく、シトロエンDS5のようなボディの大きさにも関わらず隙がない見事なデザインには驚かされました。華やかなショーのようなワールドプレミアで徹底的にアピールされていたのが、EVとしての環境性能ではなく、リチウムイオン電池を山ほど積んでいるにも関わらず、パッケージに優れる日本のSUVを上回るかのような、人員と荷物の積載量。「アップル降臨」以降のアメリカの工業デザインは確実に異次元のレベルですね・・・。

  最近では復活したGMの急先鋒としてキャデラックに装備されるインターフェイスがもの凄いレベルになっていて、車線から逸脱すると日本車みたいにピーピー鳴るのではなく、運転席のシートが震える装置が付いているのだとか・・・。峠道でセンターラインに乗るとタイヤが震える仕組みになってたりしますが、あの振動による警告は五感をうまく分散する人間工学に叶ったナイスなものだと思うので、それをクルマの装備に取込んでしまうアメリカ車は日本車やドイツ車よりもある意味で進んでいます。

  EV、FCV、フルHVの次世代動力ユニットの研究で世界をリードしている日本メーカー。プリウス発売後の10年間で世界生産を500万台から2倍の1000万台へと成長させたトヨタは大成功を収めましたが、EVを先行させた三菱のiミーブや日産のリーフを見ると、果たしてこの両社はせっかくの研究開発を自社の発展に役立てようという計画性がまったくないのでは?という気がしてしまいます。わざと変なデザインに仕立てて、利幅の大きいガソリン車のシェアが大きく減らないようにしたとしか思えないです。そりゃ赤字覚悟のリーフよりも、タイで組み立てた利益率抜群のマーチを売った方が儲かるのでしょうけど、そんな消極的な姿勢なら最初から巨額の開発費を投入してまでEVを作る必要があったのか?

  それに引きかえ新興EVメーカーのテスラは、ひたすらに売れるEVを作るだけですから、最初から「テスラ・ロードスター」をぶち込んで話題性で勝負してくるわけです。そして主力セダンの「テスラモデルS」は最初からメルセデスの最上級を狙い撃ちしたかのような高級感が明らかにコンセプトの柱です。テスラモデルSの子供2人分を後ろ向きに座らせるという斬新なシート設計の7人乗り。もしかしたら何らかの制約があったのかもしれませんが、日本メーカーが15年前にセダン派生の5ドアハッチバックでこのスタイルと取り入れていたら、セダンの不人気にも一定の歯止めがかかったんじゃないかという気が・・・。

  今のところテスラは800万円前後の高額モデルのみとなっていますが、今後は300万円台のモデルをセダンとSUVに投入すると発表されています。高級モデルでブランドイメージを築いてから、販売競争力のある廉価モデルを世界の市場に一気に投入するというテスラの野望が成功するかはわかりませんが、発売されている製品の完成度を見ると、アップルを上回る勢いで日本中を駆け巡るかもしれません。テスラはトヨタと提携していますし、テスラ車には日本の部品メーカーもたくさん噛んでいるので、日本の工業にはそれほど影響はないかもしれませんが、自動車メーカーが家電メーカーのような苦境に立たされる可能性はあります。


「最新投稿まとめブログ」へのリンク


0 件のコメント:

コメントを投稿