2013年12月31日火曜日

トヨタ86とメルセデスCLA・・・。

  暮れも差し迫ってお正月直前モードになったようで、東京西部の街中を走るクルマが様変わりしてきました。メルセデスが相次いで発売したAクラスとCLAクラスがやたらと多く感じます。私のクルマセンサーにはミニバン、SUV、軽、プリウス、アクア、インサイトなどはトラックやバスと同じ扱いで全く引っかからないので、普段は街中の9割のクルマには関知していないのですが、12月30日はその割合が7割くらいまで下がった印象でした。

  東京の人はクルマに関心が薄いのは確かなのですが、1300万人以上の母集団ですから少数派のクルマ愛好家が休みの日にコこぞとばかりに繰り出せば、道路はなかなか華やかになります。100円ショップから出てくるボクスターなんてのもお茶目なオッサンが普段着で乗ってればなぜか許せてしまいます。きっと「外国製品」がとってもお好きなんでしょうね。

  前々から気がついていたことなのですが、マクドナルドのドライブスルーには高級セダンが結構並びますが、スターバックスのドライブスルーにはミニバンやSUVが多かったりします。単純にお年寄りはマクドナルドが大好きというだけなのですが、まあイメージとは逆のクルマが集まってしまうようです。

  さて本題ですが、やはり日本人はとても慈愛の精神に富んでいて、恩を受けたら必ず返そうという懐の深さを年の瀬にまざまざと感じました。トヨタ86が欧州でも大反響を持って迎えられました。マジメに作った日本車がキチンと受け入れられたことは、これまで日本メーカーが築いて来た信頼の賜物なんでしょうけど、日本人として密かに世界に対して持っていた不信感が薄れると同時にとても喜ばしいことだと思います。

  クルマが売れないご時世にあえて日本車を歓迎してくれた欧州メーカーのボス的存在のメルセデスは、86とは全く別のアプローチながら同じような目的で使えるCLAを「86へのレスポンス」かどうかは分かりませんが、導入してきました。ベースグレードならば価格帯もほぼ同じで、これにマツダのアテンザもほぼ同じ価格で発売されていますから、この3台が目下のところよく売れているようです。

  86とアテンザのパッケージはどのクラスのクルマと比べてもかなり説得力があり、トヨタとマツダがそれぞれに魂を込めて作った感じが伝わってくるスピリッチュアルさも魅力です。それにくらべてメルセデスとはいえブランド最底辺のAクラスと共通設計でありながら、どこか貴族趣味を感じさせる滑稽さが鼻に付くCLAは、恥ずかしながら偏狭な私の心には当初は全く響きませんでした。

  まあ今でも響いているわけではないのですが、実際に初老の男性が笑顔でCLAを運転している姿を見て、「86を認めてくれたのだから、我々もCLAを受け入れようではないか!」といった博愛でリベラルな戦前の日本人的世界観が頭にふと浮かび清々しい気持ちになりました。もちろん笑顔に深みがある好々爺が乗ってこそのCLAであり、私などの未熟者が乗るのはやはり憚られるクルマだとは思いますが・・・。


2013年12月27日金曜日

スバル・レヴォーグは何にロックオンしているか?

 消費税8%が目前に迫り、空前の新車発売ラッシュの様相を示しています。当初は自動車取得税廃止で帳尻を合わせるなんて言われていましたが、10%になるまで見送りだそうです。そもそもクラウンマジェスタといったどこがエコなのか分からないようなクルマにも免税が適用されているのが実情で、取得税自体にはそもそもあまり意味がなくなっているというのもあるのでしょうか? どう考えてもフィアット500なんかエコな感じがしますけど適用外です。その一方でエコではない大衆メーカーのBMWは主要ラインナップほぼ全てが免税・減税です。もちろん真の高級車ランドローバー、ジャガー、ポルシェなどは全ラインナップ適用外。

  とりあえず高級車を買う人は2年待ったほうがお得になりそうですけど、実際にはそんなこと考えて買う人は少ないのかも。それ以外の大衆ブランドは4月の前までの滑り込み需要が最大のチャンスで、ここを逃すようだと致命的です。そして4月を過ぎればマクドナルドのように次々と店舗が閉鎖していくブランドも出てくるでしょうか・・・。

  スバルもこの最大のチャンスに期待の新型車レヴォーグをギリギリ間に合わせてきました。レガシィTWの後継モデルなのでどうやら半年ほど前倒しでの登場に努力の痕が伺えます。しかし目下のところ北米向け輸出が絶好調でレガシィ生産ラインはフル稼働状態で、余剰生産能力を使い切っている状況です。こうなってくると売上が落ち着いてきている86/BRZの生産効率の悪さがちょっと恨めしところでしょうか。

  よって購入予定者は1月4日の予約開始に合わせてスバルに殺到しない限り、消費税増税分の約10万円程度の負担増になります。どうせ8%になったらその分値引きするんでしょ?それ前提の価格設定になっているんでしょ?という見方もあるでしょうが、受注が好調ならば本体値引はなく、ディーラーオプション10万円くらいのキャンペーンになるでしょう。ちなみにスバルのアイサイトはディーラーオプションではなく、本体価格に組み込まれています。

  いよいよレヴォーグの価格が発表され、1.6Lターボと2.0Lターボの価格が公表されました。税抜きで247万円〜でレガシィTWとほぼ同じになっています。とりあえず特別なお値打ち感はなく、クルマの魅力で売っていかなければいけない価格帯と言えます。現行のレガシィは全く魅力が打ち出せずに日本市場では見事な惨敗を続け、アイサイトが登場したモデル末期の方がむしろ好調だったという黒歴史を刻みました。

  価格設定を見る限りはアテンザワゴン(252万円〜)に対抗意識がメラメラのようです。ワゴンという共通点以外はNA&FWDのアテンザとターボ&AWDのレヴォーグとキャラクターが見事に分かれていて、どちらに分があるのか興味深いです。現行アテンザワゴンは3代目にして過去最高のデザインとの評判が高いです。セダンよりもワゴンの方がドイツ車に対して優位な立場といってもいいかも。スバルとしてはこの強敵に対して、価格とターボやAWDの魅力で十分に勝てると考えているようですが・・・。

  アテンザに対してやや古典的なデザインが特徴と言われているレヴォーグには、おそらくアテンザ以外にロックオンしたライバルが存在しています。それがレヴォーグより一足早く発売を開始した新型ゴルフ・ヴァリアントです。スバルはトヨタ陣営の世界戦略の一員として、最大のライバルであるVWグループを最も意識したクルマ作りをトヨタに指示されているはずです。レヴォーグはゴルフのような質実剛健をアピールするデザインを始め、ゴルフヴォアリアントと比較するとほぼ互角の価格帯での展開に持ち込んだ上で、クルマの中身で堂々と勝負しようという姿勢が見られます。果たしてゴルフWGとレヴォーグの真っ向からの戦いはどちらの勝利となるのでしょうか?


「最新投稿まとめブログ」へのリンク



  

2013年12月20日金曜日

350psにパワーアップした「トヨタ86」はどっかにないかな?

  先日、実家に帰った時にプレミオを手に入れて上機嫌な母親が、仲の良い昔からの友人の旦那さんがロータスを買ったと言っていた。クルマには全く詳しくない母親は、ロータスはメルセデスやBMWのような高級車メーカーだと思っていたらしく、ロータスってどうなの?って訊いてくるので、トヨタのエンジン積んだ軽くて2人乗りの小型のスポーツカーを作るメーカーだよと教えてあげた。

  母親は2人乗りという点に驚きをみせ、4人乗りのクルマで今度ドライブに行こうねとか言っていたらしい。それならばエリーゼとかいうプレミオと同じエンジン積んでいる入門モデルではなく、エヴォーラっていうちょっと高級な方だろうか。それでも女性にしては大柄な部類に入る母親が後部座席に乗るにはさすがに狭過ぎるだろうに・・・。

  4座という利便性がウケて見事に売り切れたと聞いていたエヴォーラですが、60過ぎたオッサンに愛されていたようですね。確かに事あるごとにセダンの重量が嵩む現状を嘆いている立場として、4座でV6搭載で車重が1300kg台のクルマは夢のようなスペックです。より現実的な価格でクルマを選ぶなら中古のRX-8がありますし、900万円以上出せるならばGT-Rを買えばいい気もするので、なかなか気がつきにくい存在です。そもそも4座でロータスには目が行かない・・・。

  トヨタ86に3.5Lのクラウンアスリートのエンジンを載せたクルマが900万円。並行輸入なら800万円を切るくらいで購入可能なのだそうです。なかなか悩ましい価格設定ですね。トヨタも近々スープラだかソアラだかの復活を予定しているそうですが、マジェスタ用の3.5L+HVをミッドシップに積んだスポーツクーペだったらやはり900万円になっちゃいそうですね。これじゃまったく売れないでしょうから、カムリの直4+HVで600万円ですかね。これではミッドシップの意味がないな・・・。

  トヨタ86/スバルBRZはご丁寧にもそのままスバルの水平6気筒へ容易に換装できるようですが、FRなので単純にエンジンパワーを上げてもその分重量が増えるので、せっかくのハンドリング性能が低下するのは容易に想像できます。まあ落とし所が難しい問題ですね。

 

2013年12月18日水曜日

トヨタ86ってやはり凄いらしい・・・

  レクサスRCのデザインはいろいろとイメージを掻き立ててくれます。新型レクサスISもそうですが、レクサスの最新のクルマは親近感を持ちやすいです。2005年の日本でのブランド立ち上げ以降、ラインナップは増え続けていて、生涯レクサス宣言してもいいほどのバラエティに富んだ陣容になってきました。しかしいずれの初号機も・・・やや保守的というか、そのまんまじゃないかと・・・。トヨタブランドに人一倍愛着があるならば良いのかもしれませんが。

  導入時は賛否両論ありましたが、スピンドルグリルはほぼ完璧に成功したと思います。少なくともLS・GS・ISの3台に関してはレクサス車としてのオリジナリティを確立できたのではないでしょうか。トヨタ風味のデザインが良かったのにというコンサバな意見もあるようですが、トヨタブランドは今後も健在でさらなる魅力的なモデルの追加に全力を注ぐという前向きな意思表明だと思うべきでしょう。

  そもそもレクサスは少数派であることが価値であり、レクサスが日本車の標準になっては絶対にマズいのです。レクサス愛好家にとっても一般ユーザーにとってもそれが幸せな環境です。よってレクサスを所有している人に出会ったら、とりあえず「かっこいいですね」と心を込めて伝えるべきです。間違っても欠点など挙げ連ねてはいけません。

  レクサスは日本のマスコミなどにはやや過小評価されていますが、世界的にも非常に影響力のあるブランドであることは間違いありません。レクサスの成長の前に危機感を感じる代表的な高級車ブランドである独メルセデスは、ラインナップの大幅な見直し&拡大に加えて、今後はさらなるクオリティの向上(回復?)を目指して改革を行っています。日本でもすでに新型Sクラス(W222)や新たに追加されたハッチバックのスポーツモデル・A45AMGが、レクサスを遥かに超える水準の価格設定にも関わらず、好調に受注を伸ばしているようです。

  レクサスよりも高級なブランドのスポーツカーなんてため息しか出ないかもしれないですが、クルマの基本性能となると見方も全く変わってきます。イギリスの権威あるモーター誌がハンドリングに定評があるモデルを10台集めて比較するという企画では意外な結果が出ていました。なんとトヨタ86のハンドリングは、A45AMG、ジャガーFタイプ、ポルシェケイマンSといった日本で今、脚光を浴びている輸入スポーツ3台よりも上位にランクインしていました。

  AWDのA45AMGがFRの86に負けるのは想像できますが、断トツの最下位でフォード・フィエスタ(マツダデミオの兄弟車)にも負けるというショッキングな結果です。パワーに足がついていかず、コーナーを攻めると内輪が接地しなくなりハンドリング性能が大きく低下するのだとか・・・怖いな。Fタイプは車重がネックだと思いますが、ケイマンSが86に負けるのは意外ですね・・・。

  まあレクサスも素晴らしいですが、トヨタブランドもまだまだ捨てたもんじゃないですよ! 86を上回ったクルマはポルシェ911GT3と12気筒のフェラーリベルリネッタとアストンマーティンヴァンテージSの両雄。そしてサーキット専用モデルのラディカルRXCでした。あくまでサーキットでの極限コーナリングでの話ですけどね・・・。しかも10台の中で最高にに楽しいのは審査員全員一致で86なんだそうです。これって凄くないですか?


2013年12月12日木曜日

ト◯タのセダンには「芯」がない・・・

  なんだかんだ言ってもセダンが好きですね。なぜかというと4隅に十分余裕を持ってタイヤを配置できるので、安定感がありクルマの味付けの幅が大きく広がるからです。SUVやミニバン、コンパクトカーと違い、フロントやリアのオーバーハングの上に人が乗ることはないので、とことん踏ん張れるクルマを作ることができます。それでいてスポーツカーのように「羽交い締め」にされることもないです。

  しかし現代のセダンはそういった特徴を忘れ、いくらでも作り込めるはずの「走り」をスポイルしていたりする。某メーカーなどは、なんでそんなエンジンのレスポンスで、そんな甘いブレーキで、そんな鈍いハンドリング・・・どれもユルユルに設定するのだろうか?とあれこれ疑問に思ってしまうほどです。

  「ミニバンやコンパクトカーと共通設定のCPUを使っているせいです」というのが、バレバレのようなクルマ作りです。こんなクルマに仕上げるくらいならセダンなんて軽々しく作らないでほしいくらいですね。SUVかバスを運転しているかのようなハンドリングは切り始めてから、軽く2テンポは遅く曲り始める(マツダと比べると)。アクセルもブレーキも利き始めまでにやはり2テンポは違うでしょうか・・・。

  ハンドルにもブレーキにもアクセルにも泥が詰まったような乗り味。このクルマを国産車の基準にしてドイツ車と比較する輩が多いようです。プロ・アマ問わずまあ言いたい放題なわけですよ。それでもクラ◯ンは売れます。一番ハンドリングも加速も制動も悪いハイブリッドから売れていきます。もはやセダンじゃなくてよいのでは? アルファードかエスティマのハイブリッドにでも乗っておけばいいんじゃないですかね。

  クラ◯ンの開発者が言っていました。どれだけ本気なのかわからないですが、VWゴルフに負けないような乗り味にしたいのだと。凍結路面での安定感で負けているのだそうです。本気かよ・・・、それならばさっさとFRをやめることじゃないですかね。なんでトヨタほどの巨大メーカーがこんなに能天気な発言を許しているのだろうか。

  そもそもV8エンジン積むためのFRのはずなのに、もはや何がなんだか分からなくなっているのでしょうか? どう作っても一定数は売れてしまうという進化の余地がない環境も災いしてか、とくにコストギリギリのハイブリッドの遮音が著しく悪いという噂です。売れるのは確実だから遮音材を削ってしまおうという露骨なやり方ですね。気に入らないならレクサス買ってくださいと言わんばかりの態度・・・。

  やはりトヨタブランドがより魅力的にならないと、レクサスのイメージはなかなか上がらないと思います。トヨタブランドにあれこれケチが付くだけでなく、フラッグシップモデルが全世界で販売している大衆車に負けているという事実を自ら公表してしまうというポリシーのなさ、もっとコストが使えればがいつも口癖になっているトヨタの開発者を横目に、自らコスト削減策を次々と打ち出してGT-Rを作ってしまった水野さんはやはり眩しいですね。

  やはり何百万円もお金を払って買うものですから、開発者が自信を持って「これが最高なんです!」と言ってくれるクルマを買いたいと思うのが、まともな心情なんじゃないでしょうか。「日本を走るのにそんな性能は要らない」なんてのは買う側のセリフであって開発者が口にするべきではないです。どう考えても不必要な機械式腕時計が高価格で売れるという事実をしっかり見据えない限り、このブランドはどんどんダメになっていくでしょう。 最近のト◯タ開発者のコメントの揚げ足を取ってみました・・・。

  

2013年12月10日火曜日

アテンザは日本車の新たなアイコン!

  京都・滋賀にドライブに行ってきました。遠くまで旅すると同じ日本でもいろいろな事が少しずつ違っているのに気がつく年齢になってきたなとしみじみ感じます(まあ勘違いもあるでしょうが)。都道府県ごとに好まれるクルマもだいぶ違っているようです。軽自動車とミニバンとプリ&アクと輸入車が多いと言ってしまえばそれまでなんですが、それ以外の「こだわりを見せるクルマ」部門においては、関東と関西では大きく異なります。

  関東のトレンドは完全に86/BRZだと思います。東京MSの駐車場にもやたらと多くの86を見かけました。なぜ関東の人が86を好むのかはまったくもって不明です。交通機関が発達した地域ほどクルマに対して趣味的なものを求めるのでしょうか。関東と大きく括りましたが、私の活動エリアは東京西部を中心に埼玉西部と神奈川西部です。それぞれ東部よりクルマの所有率が高まりクルマが今も一定のステータスを持っている地域です。東京西部はさらに北部と南部に分かれ、北部は埼玉の影響が強くスバルブルーのWRXが多く目に付きます。一方南部は神奈川西部の影響からシルビアが多い気がします。

  そんな東京北西部と南西部どちらにも急激に増加しているのが86/BRZです。今では2車線道路で並列している姿もざらに見かけます。スポーツカーが道に溢れていた時代が20年くらい前にもあったようですが、ここ数年の傾向でははっきりレアな存在でした。そこからわずか1年あまりで日本の景色に溶け込んでいる「適応力」はなかなかのものがあるように感じます。

  一方で京都を中心とした地域を土日に渡って走りましたが、こちらでは86はあまり見かけませんでした。日曜日の昼に滋賀県の栗東ICから名神に乗ろうとしたら一番右の車線を20~30台のポルシェやフェラーリが次々と疾駆していき追い越し車線を完全にジャックしているのを見かけました。関東ではなかなか見ない光景で、日本のクルマ文化の中心は完全に関西なんだなと改めて感じました。そしてこんな一団が毎週末に高速を我がもの顏で走っているわけですから、86を買ってもちょっと引け目を感じてしまうのかもしれません。

  京都の街中にも東京で見かけるのと同程度にポルシェなどが散見されますが、東京の景色とまるで違うのが、マツダ・アテンザの存在感です。東京では1台も見かけたことがない「ブルーリフレックスマイカ」という絶妙な色使いのクルマがよく走っています。東京には似合わない変な色ですが、京都の景色には不思議とマッチしています。京都リーガロイヤルホテルのロビーで30分ほど人を待っていたのですが、まるでメルセデスかレクサスの上級モデルのようなオーラで正面玄関前に現れました。

  ちょうどホテルを出るタイミングでしたので近くで見ました。アイドリングのディーゼル音もメルセデスやBMWのような下品で不快なトラックを連想させるものではなく、色・形・音と外部に与える印象においては、どんな高級車よりも考えて作られている「逸品」なんだなと改めて感じました。ホンダの新型アコードも同じようなコンセプトを追求していて、技術的にも新しいものを使って「上質なクルマ」へと進化していますが、残念ながらアテンザほど迫真の世界観は表現できていないです。そして日産の新型ティアナに至ってはもはやスカイラインの引き立て役でしかなく、日産から近い将来日本に本格導入されるであろうインフィニティブランドへ顧客を追い込む「戦略車」にしか感じません。

  これまで新型アテンザに対してネガティブな印象を持ってきましたが、中型のスポーティセダンから「おもてなし」「和の心」の大型セダンへと着実に脱皮するという意味では、とても高いレベルでそれを実現しているクルマだと、伝統の古都京都に来て実感しました。日本カーオブザイヤーの選考委員はクルマの基本性能ばかりに注目してアテンザに票を入れなかったと思うのですが、このクルマの社会的な価値を考えると、ゴルフ、フィット、Sクラス、V40といった全体にチャラチャラしたクルマよりも、やや感覚的ではありますが深淵で堅実な世界観へと踏み込んだ素晴らしさは、やはり無視すべきではなかったように思います。服装や時計などの持ち物にこだわる人にはもってこいのクルマじゃないでしょうか。


  

2013年12月5日木曜日

アコードとティアナ 米2万ドル車を高級車として売る手口・・・

  今年発売されたホンダアコードHVは北米ですでに3万ドルで発売されているモデルを、本国であるはずの日本に後から投入するという形になりました。日本価格は365万円〜でまるでドイツ車の北米と日本での価格を見ているような違和感を少なからず感じます。北米価格が安いのはアコードが現地生産モデルなので納得できますが、日本向けは国内生産であまりやる気のない価格設定ということのようです。

  国内で全量を生産しているフーガやスカイラインは北米ではインフィニティ・チャンネルということもあり、北米よりも日本の価格が安く設定されています。一方でアテンザやレガシィに関しては輸出モデルでも、現地生産を前提に北米価格が設定されているので日本の方が高くなっています。

  日本メーカーのセダンの価格は今後もある程度は流動的なものになるようですが、北米での価格と比較してもかなり高価な設定が続く傾向にあるようです。そんななか発売が決定してクルマも公開されている新型ティアナ(アルティマ)は、日産が現在値踏みをして日本での価格を決めようとしているようです。通常ならばおおよその価格の情報も伝わってくるはずですが、今回はかなり難航が予想されます。一体どれくらいに収まるのでしょうか?

  新型ティアナはまだ北米では発表されておらず、日本で発売するハイブリッドは北米でもまだ設定されていません。カムリ、アコードに加えてフュージョン、ソナタといったライバル車にはことごとく設定されている中で最後発になります。日産は最近北米での不当廉売疑惑が挙がるほど、やや硬直気味の北米シェアを押し上げようとしていますが、一般的にはインフィニティはジャーマン3・レクサス・アキュラよりも、日産ブランドはトヨタやホンダよりも高価な設定にする傾向があります。

  日本での価格も強気で、おそらくカムリHVやアコードHVよりも高い設定を考えているようですが、ブランド内の地位の関係で450万円程度と言われるスカイラインHVよりはハッキリ(100万円程度)安くする必要があります。つまりアコードHV(365万円)<ティアナHV<スカイラインHV(450万円)の範囲での設定が難しくなっているようです。北米価格はガソリン車が22000ドルなのでHVは30000ドルでOKでしょうけど・・・。

  そして日産にとっての悩みの種になりそうなのが、300万円でも日本では売れそうにない、冴えないエクステリアです。日産は「人生最高の時間を・・・」なんてコピーを掲げていますが、そういうクルマにはまったく見えませんし、デザイン上のこだわりであるとか所有する喜びを見出せそうなポイントが皆無です。やや古くさいですが、まだ初代ティアナの方が圧倒的に高級感があるくらいです・・・。もしこのクルマが日本で売れるとしたら、北米価格を下回る278万円〜くらいの革命的な価格設定が必要じゃないかとすらおもいますが、いかがでしょうか?

 ↓本当は国内投入の予定はなかったが、スカイラインを売る為のダミー設定!という噂も・・・

2013年12月4日水曜日

レクサスRCには隠し球はないのか?

  噂によるとレクサスの首脳部がなかなか騒がしいことになっているようです。レクサスISの登場で完全にドイツプレミアムを追い詰めたはずですが、完全にドイツ車のフィールドで戦ってしまったので、国内市場ではそれほどインパクトが無かったといってもいいかもしれません。そもそも「車体剛性」とかドイツのクルマ用語で日本車をディスってきたバカメディアにトヨタや日産の開発者がぶち切れて、ユーザーを置き去りにしたままドイツ基準のクルマを作ってしまったことって実際はとても不幸なことだと思います・・・。

  日産はともかく、トヨタ(レクサス)にはドイツを意識する必要なんてないほどに、素晴らしいクルマ作りの哲学があったわけですから、ドイツ車を無理に捕える必要があったのかどうか疑問です。高級車が目指す方向性を見失ってしまっていて、ドイツ車に追随することが安易ではあるけどブレイクスルーに必要だったならば、まあ仕方がないことかもしれませんが・・・。しかしトヨタがメルセデスやBMWを意識している以上に、この2社はトヨタの動向を凝視してそのノウハウを必死で盗もうとしています。

  ドイツ車も高級セダンの新たなる展開を模索する時期にさしかかっているのですが、どうやらメルセデスもBMWもトヨタがかつて作った「アルテッツァ」をイメージしたような軽快な中型セダンへと、主力のCクラスや3シリーズを作り変えてくるようです。車体剛性でレクサスISやインフィニティQ50と争っていても利するものはなく、クルマもどんどんつまらなくなっていきます。結局は正しかったのはトヨタだったと言わんばかりの驚きの変身を次のFMCでは見せるようです。

  そして高性能セダンのMシリーズやAMGなどが目指す先もどうやら、かつての日本車のコンセプトで、ずばり「スカイラインGT-R」と「アリストターボ」です。いまでもこの頃のセダンが最高に官能的だったと多くの日本のファンも言っていますが、それほどのクルマはやはりドイツでも十分に通用するのです。2000年頃には世界でもっともセクシーなスポーツセダンを作っていた日本メーカーですが、バカなジャーナリストに揚げ足を取られて、自らを見失いました。当時はNSXやRX-7など世界最高水準のクルマが日本車に集中していたため、そこまで際立った魅力を発揮できなかったようです。

  トヨタも日産も血迷ったかのようにドイツ車のコピーへと走りだしました。いろいろな見方があると思いますが、アリストの持つ切れ味をゼロクラウンに落とし込んでしまったあたりで、ある意味でのマンネリ気質になっていたのかもしれません。それでもなお、BMWやメルセデスが対等なブランドレベルの提携を結ぶほどに、トヨタや日産の高級車は日本人の思っている以上に海外で評価されているわけです。

  日産はGT-Rで自らを取り戻したようですが、トヨタはまだまだ迷走が続いています。かつてアルテッツァやアリストを作ったころの自信をレクサスRCにぶつけて、再びドイツメーカーを唖然とさせるような「魅惑」のGTカーを作ってほしいと思います。

  

2013年12月2日月曜日

F30アルピナB3が青梅街道でその実力を見せた!

  東京モーターショーなどもあって、ここ2週ばかりの週末は普段とは違って逆の都心へ出掛けました。いつも一緒に峠を走るMR-Sやロードスターなどのスポーツカーは、全く見られずミニバンやクラウン、セルシオ、BMW、ボルボなどつまんないクルマばかりでウンザリでした・・・。ミニバンはともかく高級セダンやワゴンを売りにしているはずのクルマがダラダラと走っているのを見ると、なんだか複雑な思いがします。

  そういうクルマに乗っている人はプリウスみたいなエコカーを少なからずバカにしてんだろうな・・・。でも端から見ていて走りはプリウスと大差ないですよ。BMWやボルボなんて車内は狭苦しいだろうし、外観は暑苦しいし、ドライバーの下手さもプリウスと同次元なので、周囲から見れば「ほぼ」同じクルマです。

  そんなことを思いながら、青梅街道を家路に向かって走っていると、エメラルドに輝くシックな車体がやや混雑した流れに乗ってゆったりと走っていました。ほかのクルマがブレーキランプをピカピカさせる中で絶妙にタイミングを測っているそのクルマのドライバーは微動をだにせずに追従していきます。車体はもちろん3シリーズですが、やはり運転している人が3シリーズとは全然違ってムダな動きをしません。

  わざわざ1000万円以上払って新車で現行アルピナB3を買う人は、走りも洗練されているようですね。南アフリカ製3シリーズのオーナーはホンダ車オーナーみたいにチャカチャカとムダな車線変更を繰り返し、そのぎこちなさゆえにクルマが不必要に低い性能に見えてしまったりすることが多いです。一体このアルピナB3で同じことをするとどうなるのか?には興味があったのですが、筋金入りのBMWファンはさすがでそんな日本のターボ・スポーツカーのように走らせたりは決してしません。

  BMWはスバルや三菱とは根本的に違うわけで、レーンチェンジでの軽快な挙動では絶対にランエボには勝てません。しかしこのアルピナB3ならば、3シリーズの貧弱なトランスミッションから専用のものへ換装してありますので、凄い動きをするのではないか? しかし60kg・m超の最大トルクで立ち上がっても0-100km/hがやっと5秒を切る程度だそうなので、日本のAWDには逆立ちしても適わないレベルかなという気もします。

  期待して後ろを追従していると、こちらの願いが通じたのか、前が開けたところでスムーズに1台パスして突抜けました。運転が想像以上に上手いのかもしれませんが、加速から2度のレーンチェンジをこなして定速走行に落ち着くまでの流れがしなやかです。ハイパワーモデルってもっとカクカク&バタバタと動くんじゃないの?と思いきや、横の入力やその反動を完全に足腰(高性能サス)で吸収しています。これが1000万円のDセグセダンの実力か・・・いや〜ため息ものでしたね・・・。ほしいな・・・。

  

2013年11月29日金曜日

スバル・レヴォーグを保守的デザインと切り捨てるのは愚かだ!

  日本人というのは大絶賛が苦手なようで、良さそうなクルマが出てもなかなか素直に評価できなかったりします。特にクルマにこだわりがある人やプロのライターさんほど、そういう傾向が強いです。カッコいいものをカッコいいと言えない・・・だからそんなにダサいクルマに乗ってんだよ!ってツッコミたくなる人って結構いますよね。アウディに乗ってる人が他ブランドのデザインを批判するのって完全に勘違いですよね・・・。

  スバルっていうだけで完全に下に見てる人もいるかもしれませんが、スバル渾身の新型車レヴォーグのデザインはかなりの「出世作」になるんじゃないでしょうか。スバルのデザインの基準はこれまであまり評価されてこなかったですが、レヴォーグのフロントマスクには完全に新しい魂が宿っているように見えます。あとはスバルがこのクルマを安売りせずに乗り出しできっちり300万円取れば完璧だと思います(もちろんクルマは価格じゃないですが・・・)。

  VWゴルフよりも全てにおいて価値が高いクルマなのだから、ヘタにゴルフ・ハイラインよりも安い設定にしてしまうことで、買い手を逃すこともあるんじゃないかなと思います。もしレヴォーグが150万円で買えるクルマだったら、クルマにあまり詳しくない人は敬遠すると思います。そして価格が安過ぎると街中でプリウスのように増殖し、モデルの寿命を極端に縮める可能性もあります。そういう状況は中型車ブランドのスバルとしては歓迎すべきではないでしょう。

  ちょっと前まではフロントデザインに力が無いと言われた日本メーカーですが、瞬く間にマツダ・日産・レクサス・スバルとそれぞれに一目で分かるような個性を持つようになりました。ちょっと気になるのが、どれもこれも遠くから見ると日本車なのかドイツ車なのか分からないです(結構入り乱れて似ている点があるかも・・・)。アウディ・メルセデス・BMWは夜に見るとそれぞれ同じようにワイド&ローのスタイルということもあり、見分けが付きづらかったりします。マツダ・日産・レクサスの"日本3大ブランド"のほうがそれぞれにキャラが起っていて、デザインの"ツボ"は分かれているように思います。そしてスバルもいよいよこのグループに仲間入りするクルマになって来たと思いますね。

 

2013年11月28日木曜日

メルセデスCクラスの新型がなかなかいいかも、発売は来年以降?

  このクルマは将来的にはスカイラインに統合されることが決まっているようですが、来年あたりに登場する新型CクラスはCLAとほぼ同等のボディサイズでFRなのにCLAよりもさらに軽くなるようです。同じガソリンの直4モデルで比較すると、軽量セダンの代名詞とも言えるマツダ・アテンザと互角に渡り合うほどの1400kg台前半の数値になるのだとか。最近のメルセデスの新型モデルはやること成す事が素早くなってきて、再び業界の最先端を走り始めたと言われてますが、このクラスでもガンガンやって来るらしいです。

  メルセデスも今回のCクラスには相当に気合が入っているようで、いろいろと新機構の情報を開示しているようで、発売も意外と早いのかもしれません(来年の夏か?)。なにより驚きなのが、現行モデルに対してこれまでいろいろとブログで批判を加えてきたところが、ことごとく改良されていてビックリですね。私のような素人でもすぐに分かる明らかな欠点をメルセデスが放置するわけないのですが・・・。もしこの事前情報通りのクルマを作ってきたならば、これまでボロクソに言ってきたメルセデスさんにお詫びの意味を込めてぜひ購入させてもらいたいです(予算が折り合えばですが・・・)。

  簡単に言うとSクラスの基本設計をDセグに落としこんだもののようです。日本のレクサスISやクラウンそしてスカイラインなどに使われているサスと比べて、現行はあまりにも貧弱なものが使われています。それがSクラスのものに変わると前輪・後輪ともにワンランク上になり、さらにSクラスに設定されているエア・サスもCクラスのオプションに盛り込まれるのだとか。このクラスではシトロエンC5の専売特許といえるラグジュアリー・ダンパーを装備するとなれば、日本ではかなり人気のオプションになりそうです。

  内装なども早くも公開されていて、現行モデルは一体何なんだ?というくらいに質感が上がっていて、良化というよりもコンセプトそのものが変わっています。これで500万円ならば、まだまだ重量が嵩んだままの新型シャシーを投入しているレクサスにとっては絶望的な状況かもしれません。それにしても日産メルセデス連合はなかなか巧妙です。1800kg台に突入したスカイラインHVと、1400kg台に突入したメルセデスCクラスの作り分けがこのクラスの基本方針のようです。見事なレクサス・BMW包囲網ですね・・・。


2013年11月27日水曜日

E39M5らしいBMWを求めて・・・

  いよいよBMW2シリーズの記事がメディアを賑わせ始めました。とりあえずZ4の4座ハードトップ版でしかない4シリーズは完全無視でいいと思うけど、この2シリーズはいろいろ期待できる点が多いようです。日本仕様がどうなるかというアバウトな点もまだ残していますが、もしこの2シリーズのMTモデルが日本に入ってこないと言うならば、BMWジャパンは何も分かってねーな・・・なんですが。

  それともいちいち注文が多いカーエンスーなオッサン達を寄せ付けないために、ATのみの販売になるのでしょうか? まあクルマのこと何も分かってない人でもBMWを買いにきてくれるほど東アジアではブランドイメージが強く浸透しているようです。東京MSではBMWブースもアウディブースも中国語ばかりが飛び交っている不思議な空間で、テンションがガタ落ちでしたが・・・。

  M5/M6だけが本当のBMWで、あとは女性のためのオシャレカーですよ!という展開でも全然構わないとは思いますが、もしもう少しブランドとして頑張ってくれるなら、この2シリーズに直6ターボ(45kg・m)&MTの刺激的なパッケージの「M235i」のままで日本に持ってきてほしいです。噂によると車重1300kg台!とのことで、このクルマでマツダや日産のお尻をチクチク刺してくれれば、日本のスポーツカーファンが待望するRX-8後継やシルビアターボ後継が実現に向けて動き出すのではという気がします。

  さらにパワーアップしてなお脅威の軽量化に邁進していると言われる新型M3/M4も、車両価格(約1000万円)を考えるとあまりリアリティも無かったりしますが、日産やポルシェを相手に回して十分に立ち回れるような高性能GTカーとしてコンセプトを切り替えて登場するようです。やはりBMWを名乗るならこうじゃなきゃダメですよね。BMWジャパンが導入するモデルラインナップは本国のBMWの実態に即したものでないですし、その歪曲っぷりに失望している日本のファンも多いはずです。

  ちょっと嫌みになりますが、カムリやティアナみたいな「無味なBMW」(320iなど)はハッキリ言って日本に持ってこなくていいと思いますし、多少価格が高くてもBMWを買うならば、例えば12年前のE39M5のような、日本メーカーが国土交通省に封じ込められて作れない領域のクルマを買って楽しむのが正しい姿なんじゃないかと思うのです。


    ↓独アウトカタログの日本語版 本国では330i(MT)とかあります!直6NA!
  

2013年11月26日火曜日

BMW M5を買ってしまおう!と月1くらいで頭を過る・・・

  もちろん中古ですけどね。・・・というか中古じゃないと意味が無いのです。何でかというと、クルマに対する憧れの原体験が大学の頃に読みあさっていたロッキンオン社の「SIGHT」という雑誌のクルマ企画だったことに由来します。当時は憧れのクルマはそこに取り上げられている20台の日独伊英米のスポーツモデルという狭い世界でしか選択肢がなかったのですね・・・。ネットのサイトなんて全然整備されて無かったのでクルマの情報を受け取る手段がなかったですし。

  その20台の中で当時の私の心をガッチリと掴んでいたのが、BMW M5だったのです。まあ価格なんて野暮なことは一切書いてなくて、純粋にスタイルだけを見てこのクルマに将来乗りたいなと思っていたような気がするので、そういうクルマは実際に所有するととても感慨深くて満足できそうだなと思ったりします。それがE39という形式だと分かったのはずっと後のことで日本人デザイナーがデザインしたのも頷けます。アウディA6もそうですが日本人デザイナーのドイツセダンには自然と反応してしまう良さを感じます。

  現行のF10M5は560馬力をDCT制御で駆動させる、完全に今時のスーパースポーツにありがちのパッケージになって、E39M5の頃とは意味合いが違うクルマになってしまったようです。それでも現行の560馬力&DCTよりも400馬力をMTで引っ張って走らせるほうがよっぽど官能的なんじゃないかと思うので、1500万円のF10M5よりも断然に200万円のE39M5じゃないかと・・・。そして200万円か・・・と一瞬色めき立つのですが、満足できるコンディションまでリカバリーすると500万円だろうなと冷静に思い返して、なんとか暴走を食い止めています。

  そういえばパワーが出るエンジンにMTって最近マツダがディーゼル使って発売してますね。アテンザディーゼルの40kg・mオーバーのトルクならE39M5にも少しは近づけているのでしょうか(なわけないかけど)? 似たような企画のクルマで先代レガシィB4には2.0GTスペックBというターボのMTモデルがありましたが、大型化してエレガントになって来年登場すると言われる新型レガシィにも300ps&MTを設定してくれたら、まあターボですけども楽しいクルマになるんじゃないかなと思います。


 

2013年11月25日月曜日

アクセラ・セダンはやはりCセグセダンでしかなかった・・・残念。

  欧州プレミアムハッチバックを蹴散らすとか評判のマツダ・アクセラを見てきました。ハッチバックはなるほどの出来でしたが、密かに期待していたセダンにはちょっとガッカリでした。マツダ車はボディタイプが複数あると、一つのタイプにのみ特化してデザインが良くなる傾向がありますが、今回の3代目アクセラはやはりハッチバック優先のデザインになっています。アクセラに関しては初代からずっとハッチバック優先というのは変わらないですね。

  セダンのデザインも初代から「なかなか」と思わせる部分もあって、初代アクセラはなかなか見かけませんが、10年経ったいまも古さを感じさせないし、前後のライトが印象的で「良いもの」感をしっかり出している逸品です。強いて言えばセダン3代で一番「日本車らしい」デザインなので、カペラを彷彿とさせてしまうらしく、年配の人には人気が無いようですが・・・。

  3代目はいよいよプレミアムカーを強く意識したデザインはいよいよクラスにおける「絶対的」な存在への飛躍をマツダが画策していることが明らかで、ハッチバックはもちろんゴルフやAクラスを超越した存在感がたしかに宿っています。セダンも独自に3BOX車の美学を追求しているのだろうと写真を見る限りは感じていたのですが、実車を見るとリアのオーバーハング部分のデザインに迫力がないです。真後ろからのデザインはなかなかですが、斜め後ろからのシルエットは歴代のアクセラ・セダン、さらには歴代カローラのセダンモデルのイメージがダブります。

  まだ先代モデルの方がリアに個性があったように感じるほどで、トランク部の独立性が希薄です。どうやらフロントのノーズを長く見せるデザインのしわ寄せを受けてキャビンが後方に下がった結果ボディと一体化したトランクのデザインになったようです。Cセグの3BOXデザインは旧BMW1クーペのように、ある程度はキャビンを犠牲にしないとなかなかプロポーションを保つのは難しいようで、スペシャリティカーではないアクセラにとってはなかなか高いハードルになっています。

  それでもマツダが本気でプレミアムブランドへと邁進するつもりならば、アクセラの「見た目」のラインナップを増やすことが不可欠だと思います。Cセグスペシャリティモデルは予想以上に人気が高いらしく、土曜日にはA45AMGを2台も見かけました。どちらも白に青のラインが入り派手なウイングを付けた限定コンプリートモデルでした。アテンザ同様に輸入車からの乗り換えを呼び込むには、常時なんらかの限定モデルが買えるようなワークスブランドとしての「温もり」がほしいところです。



  

2013年11月22日金曜日

テスラが日本でブレイクする日は?

  いよいよテスラが日本でも発売目前となりました。ガソリン車の実績のないアメリカのEVメーカーが幾多の困難を乗り越えて、世界のテッペンと言っても過言ではない日本市場に自慢の初号機を送り込んできます。アメリカを代表するGMやフォードでも全く手をつけられないほどに閉鎖的と言われる日本市場で、アメリカのEVベンチャーに勝算があるのか? と常識的には思うのですが、さすがは全世界にマーケティング手法を輸出するアメリカの超一流コンサルのサポートの元、これならばいきなり売れるのではないかと思える出来映えです。

  このEV事業には連邦政府から多額の資金援助が行われており、道義的にアメリカ市場ではなく、アメリカ車が浸透していなくてEVの普及の余地を多く持つ海外市場をメインターゲットに開発されているようです。よって必然的に欧州と東アジアそして西アジアの富裕層への売り込みが今後活発化していくようです。特にアメリカ車の普及率が異常に低い日本は最重要ターゲットと言えます。

  肝心のデザインですが、次世代EVを売るために最大に戦略的な選択がされていて、なんとフォード・フュージョンに似た4ドアセダンになっています。デザインもすばらしく新型インフィニティQ50やマツダアテンザに匹敵する艶やかなボディラインでクーペのようなラインが魅力的です。

  この選択はおそらく、ガソリン車からEV車へのハードルを超える顧客にとって、EVらしい未来的なデザインはそのハードルをさらに高くしてしまうという判断があったはずです。デザインだけでも心配なく選べる、やや保守的なものにすることで市場への浸透のスピードを早めて開発費を早期に回収しビジネスを軌道に乗せるという青写真があるようです。

  ハイブリッドが出た時のプリウスやインサイトのデザインには、実際に腰が引けてしまった人も多かったようです。トヨタが後から比較的、保守的なデザインのアクアを出した時の市場の反応もそれを如実に表しています。VWも次世代EVを既存のブランドラインにあるクルマのデザイン(ゴルフやup!)をそのまま使って今後導入するようですが、今やそれが常識なのかもしれません。クラウンやISにHVを設定すれば80%を占める人気になるのも頷けます。逆にプリウスがあの奇抜なデザインのままハイブリッド車として市場を納得させていったトヨタの営業力には凄まじいものがあります。

  テスラ「モデルS」は0-100km/hが4.4秒という世界最速レベルのセダンになっていて、しかも発電機を搭載していて航続距離が500kmなのだとか。補助金がたっぷり付いて導入コストもかなり下がってくればとりあえず良さそうな気がしますが・・・。 確か技術のホンダがEVよりもガソリンエンジンがエネルギー効率で勝る速度域が確実に存在すると言っていたので、実際に90km/h以上で日本の高速道路を走るともはやエコじゃない気がしますが・・・どうなのでしょうか? まあカッコイイですけどね。

「テスラ モデルS 動画はこちら」


    ↓社会派ドキュメンタリー映画にトム=ハンクス。自動車メーカーに臆しないハリウッドがアメリカのクルマ文化を支えてる?
 

2013年11月21日木曜日

GS300h HVなら輸入車に負けない・・・という段階ですでに負けてる気がする。

  メルセデスもポルシェ/アウディも上級も上級モデルを中心にハイブリッドの搭載が進んでいますが、そのシステム数値を見るとS400HVでモーター出力がわずかに27psだったりします。クラウンやIS用のハイブリッドはモーター出力が143psなので、これらをひとくくりにハイブリッドのセダンと呼ぶのには違和感があります。

  もちろんメルセデスにも言い分があって、ドイツでの使用環境を考えるとトヨタのような178:143(ps)の比率では、150km/h超の高速域では逆に燃費が悪くなるという判断もあるようです。308:27(ps)でもエンジン負荷の軽減に役立っていてその恩恵は図り知れないほどです。信号がほとんどない区間を90km/h程度で走るテストでは、レクサスISハイブリッド・アコードHV・スバルXVハイブリッド・フィットHVのいずれもが60km/h走行時よちも燃費がわずかながら悪化する傾向にあり、従来のガソリンエンジン車が90km/hの定速走行でカタログ燃費を軒並み超えていたのと比べると、クルマの特性が変わってきたと言えます(それでも新型HVは従来のプリウスやアクアのタイプと比べると高速燃費も良くなってきている)。

  そういう大事なテスト結果はマイナーな技術系雑誌に掲載されていますが、あくまで細かい数字が並ぶデータを細かくみるとわかることで、雑誌本文には決して「高速燃費が悪い」などとは書かれていません。テストや取材に協力してくれるメーカーへの配慮が当然ながらあると思われます。年明け頃にはアクセラHVやスカイラインHVのデータも乗るでしょうが、グローバル戦略モデルの両者のデータはなかなか興味深いです。

  トヨタに幾つもあるハイブリッドシステムの中で、LS600hのものとGS450h/クラウンマジェスタ/先代クラウンHVに使われているものは、海外での販売を意識した設計で、それぞれV8とV6のガソリンエンジン単体で300ps超の馬力を確保しているので、高速燃費は大きく落ちません。しかしカムリHVのシステムを流用したFR用の2.5L直4HVはエンジン単体で178psですので、車重が1700kg程度まで嵩むと明らかに高速での燃費は悪化します。

  エンジンが160psのカムリはFFでトラクションが確保しやすい上、車重も1540kg程度なので、その優れた加速性能が評判となりセダン人気の復活に貢献しましたが、その後に登場したクラウン・IS300hは車重が1680kgと増えました(FRですから当然ですが)。さらにGS300hに至っては1760kgとついに大台を超えてしまいました。絶賛発売中のクルマに横槍をいれるのは不本意ですが・・・。

  メルセデスやBMW、あるいはLSやマジェスタのようにV6以上のエンジンを使ってFRのハイブリッドを作る、もしくはアウディのように直4ハイブリッドはFF専用と割り切るのが、高級セダン用ハイブリッドの正しい道ではないかと思うのですがいかがでしょう。

  
   ↓このハイブリッドも本当に人馬一体なのか?
  

2013年11月20日水曜日

夜の街にLEDを照らしクラウン・アスリートは鮮やかに・・・

  東京MSに持ち込まれる欧州各社のラインナップを見ていると、Sクラスやパナメーラといったトップエンドのラグジュアリーセダンを除き、4ドアセダンを個人ユーザーに買ってもらおうという意識がとても低いのを感じます。もはやプレミアムジャーマン3以外のメーカーはプロパーで中型セダンを設定しておこうという意識はもはやなくなっているかのようです。

  ボルボがS60をけなげに日本に納車しているようですが、開発力の差というべきか日本とドイツの有力メーカーと比べるとクルマのキャラが見えてこないです。。ボルボS60が誇る車体のクラッシュ耐性などは、日本市場で一定の支持を受ける中型セダンならどれもほぼ同水準を達成してしまっています。

  セダンの人気が復活と言われていますが、クラウン以外のセダンが月に5000台とか売れちゃうわけでもなく、アテンザもアコードも「予想よりは売れた」の範疇に過ぎません。いずれも中型セダンとしての使い勝手であるとか、そのものの魅力を徹底的に追求していて、非常に良いパッケージングを達成しているのですが、世の中のクルマのあり方そのものを変えるまでには至っていません。

  レガシィの国内セダン撤退疑惑?が渦巻くなかで、日産が発表した新型ティアナは、各社が神経を尖らして活路を見出そうとしている中型セダンの「緊張感」とは全く無縁に「あっけらかん」に登場しました。全く目新しくないですし、燃費を稼ぐタイプのHVを搭載しただけであとは全て「キープコンセプト」のこの新型車は、もはや中型セダンとして大事な部分が取れてしまって魂が抜けているようにすら見えるのは私だけでしょうか?とにかく期待ハズレ感がハンパないです。

  そんな自動車メーカーのやる気の無さにやや嫌気が差してきて、浮かない気持ちで日々過ごしてきました。そんなある日私の眼前に、鮮やかなLEDを輝かせた中型セダンが夜の闇を裂いて華麗に現れて走り去っていきました。遠目には現行のメルセデスかアウディかなと思ったのですが、横にダラっとだらしなく広がるライトのデザインではなく、どこまでもシャープなライト配置で、薄暗がりの中に大きなグリルがかすかに見えました。

  その優雅にライティングされたシルエットの持ち主は現行のクラウンアスリートでした。パールホワイトを青白く光らせ、月夜に妖艶な車体・・・。このクルマの真の姿を初めて思い知らされました。ドイツ車には絶対に出せない「美しさ」だと思います。メルセデスのようなくどさもなく、アウディのような大陸系の乾燥感もなくLEDライトのデザインはまさに日本の美を象徴するような「陰影」でした。主役不在の現行中型セダンにおいて真打ちはコレだ!と妙に納得してしまいましたね・・・。


  ↓アフターパーツもいいけれど、イヤーモデル制を導入し、よりシルエットにこだわったデザインを目指してほしいです。
 

2013年11月19日火曜日

スバル・レガシィは日本撤退になっちゃうようです

  いよいよ次のレガシィはデザインが良くなって、現実的な選択肢になるのかな・・・なんて悠長なことを考えていたら、いよいよコンセプトモデルが出てきました。しかし東京モーターショーはスキップしてロサンゼルスMSに出されるのだとか・・・。あれれ、良く見ると車幅1900mm!!! これにはたまげてしまいましたね。どうやら日本で売る気は無いようです。

  なんで旧中島飛行機が米国にスリスリしちゃうんでしょうか? なんてしょうもないこと言うつもりはありませんが、三菱のように「技術の高さだけで米国をねじ伏せる」くらいの気概を期待していたのですが、なんかいよいよトヨタの北米部門の立て直しの切り札みたいになっちゃってますね。カムリとカローラが今なお「屋台骨」で、車種の刷新がなかなか進まないトヨタは、GMとフォードの復活の前に苦戦を強いられています。スバルとマツダを傘下に収めた「日本連合」を形成してシェアの低下を抑えたいところでしょうか。

  それにしてもスバルの陣容の変化が目覚ましいです。まったくスパイショットも出回っていない国内専用ワゴンが「レヴォーグ」が東京MSで発表後に時間を置かずに発売になると言われています。このクルマはレガシィワゴンの後継で、北米専用となるレガシィB4の後継がこの「2015レガシィ・コンセプト」なのですが、このクルマの狙いは一体? AWD⇒大型化⇒3.6LV6エンジン搭載⇒ターボ付けて450psオーバー⇒カマロやチャージャーの市場を狙う? といったことが考えられます。

  たしかにトヨタグループは北米でそれなりの数字を持っている「マッスルカー」に関しては、有力な車種を開発してこなかったわけですが、レガシィB4を日本から撤退させレクサスの市場を潰さないようにしつつ、北米の未着手のジャンルへと転用させて一石二鳥といったところでしょうか。それにしても見事なデザインが目を惹きますね。見た目から想像するに、ニッサンGT-Rのようなポジションまで考えた高性能AWDセダンになるような気がします。1860mmくらいまで縮めてくれたら日本で乗りたいですね。



2013年11月18日月曜日

2013東京モーターショー 今回は「何が」始まるのか?

  いよいよ今週に迫った東京モーターショーですが、出品されるクルマがなかなかの粒ぞろいで注目のクルマだけでも軽く10台以上!実際に次のクルマの品定めに行く人も多いのではないでしょうか? 私も次のクルマは「絶対にコレにする」くらいのインスピレーションが得られたらいいなとワクワクしているんですが、果たしてどのクルマが「その気」にさせてくれるのか・・・。

  日産スカイラインとレクサスRC、マツダアクセラ(セダン)の3台はどれも真剣に考えてしまうほどすでに評価が高いですが、これ以外にもさらなる「伏兵」がいろいろありそうです。スバルやスズキといった「デザイン後進メーカー」の追い上げが実はスゴいことになってます。ワゴンや軽自動車なんてどう弄っても限界があるだろうとタカを括っていたのですが、そんな私の矮小な「偏見」を打ち破ってくれそうなクルマがスバル「レヴォーグ」とスズキ「ハスラー」ですね。スバルの最近のコンセプトモデルはどれも完全に「殻を破って」いますので、デザイン未公開のレヴォーグもよほど自信があるんだと思います。

  さらに完全なるアウトサイダーだったスズキの「ハスラー」はいいですね。軽自動車もSUVもほとんど興味はないんですけど・・・。トヨタの「東京都製造」で知られるFJクルーザーがかわいいサイズになった感じなんでしょうか。ホンダ「Nワン」が軽自動車業界に与えた衝撃は予想以上に大きいようでスズキもダイハツもかなり力が入っています。さらに増税が控えている中で軽自動車も魅力を最大限に引き上げないと売れない時代に近づいているようです。増税の良い効果とか言ったら怒られてしまいそうですが・・・。

  「スカイライン」「レクサスRC」「アクセラ」と街中に溢れるドイツ車を鼻で笑えてしまうくらいに3BOXカーのデザインの出来もいいのですが、ドイツ車がダサいなんてのはアメリカ・フランス・イタリアなどでは昔からの常識でした。そんな「カス」デザインのクルマと同じ土俵の上でどっこいどっこいしていたのが、セダン不人気時代のクルマ達でたしかにV35スカイラインやのデザインなど古くささしか感じないですよね。現在のトヨタ・日産・マツダ・スバルは「デザイン」だけを考えて作っているようですが、確かに今や小さくてダサいクルマに成り下がったE90辺りから無理矢理に乗り換えさせるには効果的な戦術かもしれません。


  何はともあれ前回の東京MSで最大の注目を集めたマツダの「あの」コンセプトから日本車の逆襲が始まったわけですが・・・。ただ実際に今回の東京MSに行って、一番印象に残ったクルマになりそうなのが「メルセデスSクラスクーペ」になってしまうのかな。もはやメルセデスのプライドの塊みたいに売る気もそんなにないのに、日本に見せつけておこうというブランド戦略ですね。日本車にはなかなか到達できない世界観にまで突き抜けたドイツ車となるとやはり別格で、安易にレクサスがLSクーペなんて作っても車幅2mなんてとても真似できないです・・・。


  

2013年11月14日木曜日

新型スカイラインはなぜインフィニティマークなの?

  V36に乗っている知り合いが、「NISSAN」から「INFINITY」にマークを変更するとどうか?という相談を受けたことがある。いやダサいでしょ、それは止めた方がいいと即答したのですが、結果的にそのアドバイスが正しかったことが証明され、ちょっとホッとしました。次期スカイラインはあの富士山みたいな「INFINITY」マークが全車標準で付くようです。まあマークなんて気軽(ってほどではないが)に付け替えることができるので大した問題ではないでしょうが・・・。

  ここでちょっと疑問に思ったのですが、2月に発売される次期スカイラインを購入し、あえて「NISSAN」マークを付けるというのもなかなかオシャレじゃないかと・・・。レクサスを買って「TOYOTA」マークに付け替えるみたいなのですね。レクサスもいよいよ欲しいと思えるようなクルマ(GSとIS)を作ってきたので、もしこれを買った暁には「TOYOTA」マークを付けてやろうかなと密かに思っています。

  その意図はというと・・・、1つは日本国内にレクサスなんていらねえという「意思表示」ですね。もう1つはレクサスブランドに憧れたクソ野郎と思われたくない、私はこのクルマの価値が解っていますアピールでしょうか。ホンダやマツダユーザーから路上で余計なプレッシングと軽蔑のを受けることを避ける狙いといったところでしょうか。

  実際にレクサスISがかなり気に入っているけど、レクサスブランドだから買うのいやだ。トヨタかトヨペットから同じ価格で発売してくれるなら買う。そういう人は決してあまのじゃくではなく、まともな感性の人だと思いますよ。なんでもかんでもプレミアムブランドのマークが付いていればいいってもんじゃないです。私の母や彼女はどうしても「スズキ」のマークの付いたクルマには乗りたくないそうですが、それと同じくらいのに「レクサス」マークを敬遠する人もいるはずです。私もその一人ですが・・・。


  

2013年11月8日金曜日

レクサスIS350であれこれ妄想・・・

  今年発売された「レクサスIS350」は、レクサスというかトヨタの本気がかなり詰まっていて、多少は無理しても新車で購入したいと思わせてくれる「ホット」なクルマです。Fスポで乗り出し600万円オーバーですが、まだまだBMWやメルセデスの6気筒モデルと比べれば100万円以上も安いバーゲン価格です。しかもトヨタが本気でマーケティングしてライバルを総合的に上回るクルマです。

  もともとは共通設計の2代目GSが最初に本気で欧州市場を狙ったようですが、なんといっても欧州のお金持ちはとても保守的なので、なかなか思うように欧州の高級車からシェアを奪うことが出来ませんでした。もちろんこの「レクサスGS350」も絶賛されているクルマなんですが、どうも大事なところが「抜けて」います。トヨタの傑作デザインには必ずといっていいほどある「個性的なポイント」がないです。全体的に「キレイ過ぎ」ます。まあどんなデザイン持ってきても欧州の「最も高い壁」を超えるのは難しいというのもありますが・・・。

  やはり頭カチカチでレイシストな「貴族」を相手にするのではなく、日本車に理解があるより柔軟な「スポーティ好き」から攻略したほうがいいだろうということで作られたのが、このレクサスIS350なんじゃないかな・・・と思います。新プラットフォームで送り出したGSが反響無しだったので、今度はかなりの「決断」が入ったデザインになりました。ただレクサス自体がそもそも「スポーティ」を売りにしたブランドではないので、いきなり新型ISを発売して「F30より断然にいいですよ!」だけじゃいくらなんでも全ては伝わらないのでしょうけど・・・。

  欧州に於ける日本のスポーツセダンのイメージはひたすらに「過激」で、スカイラインGT-Rやランエボが日本以上に愛されているということを考えると、新型ISのどこがスポーティなんじゃ!ということになります。日本で見てる限りは馬鹿みたいにオーバースペックなV8搭載のAMGやアルピナと互角以上に渡り合って初めて「メイド・イン・ジャパン」のスポーツセダンとして欧州で「選ばれる」存在になれるのでしょう。しかしこの新型ISには「日本的なデザイン」と「日本的なスペック」でどこまでも勝負するというトヨタの信念を感じます。この点が日本車好きにとっては一番「心地よい」わけです。

  「Dセグセダン」ってやっぱり売れにくくなってますよね。中途半端に作っても絶対に売れないです。特に欧州と日本ではDセグセダンだけを選択肢にする人は少数派で、スポーツカーやSUV、ハッチバック、ワゴン、ミニバンとあらゆる車種と比べられてしまいます。その中から選ばれるのは並大抵のことじゃないです。何もアイディアがなければ「撤退」しかないですよね。プジョー・シトロエン・アルファロメオ・ヒュンダイ・VW 錚々たるブランドがDセグセダンで日本シェアをとる事はできませんでした。

  アコード・カムリ・ティアナは北米市場でまだまだ売れるのでいいですけどね。それ以外の高級モデルは真剣そのものですね。「アテンザ」も「スカイライン」も真剣さがひしひしと伝わってきます。もちろん「レクサスIS」も期待以上の出来だと思いますよ。あの「野暮ったい」だけの先代モデルから、かなり高く跳んだデザインになってます。

  「アテンザ」も「新型IS」も順調に売れていて、おそらく「新型スカイライン」も売れるでしょう。これほど売れにくいクルマを自信満々に作って売ってしまう日本メーカーの底力は凄まじいです。2012-2013は「セダン・ルネサンス」とでも記憶されるはずです。もう完全にドイツメーカーがどれだけデザイン頑張っても太刀打ちできないレベルです。スバルやホンダはここまで「成熟」したトレンドに新型セダンで乗っかれるのか?「レガシィ」はフェイドアウトではなく、次も日本で勝負するそうなので期待したいです。



  

2013年11月7日木曜日

見ているだけで退屈なマークX・・・

  トヨタが「お買い得サルーン」として絶賛発売中のマークXもいよいよ次期モデルではカムリと統合されてしまうと言われています。FRの「スポーツセダン」としてトヨタは売り出したようですが、結局はさらなる熟成を目指すことなく、最後まで「無頓着な人の為の”適当セダン”」で終わってしまうのは、残念ですが仕方の無いことのようです。

  先日も夜中に前を走るマークXを後ろから見ていました。高速コーナーが連続するコースで、コーナーを一つ抜ける度にリアがズルズルと流れて道路幅の左右に目一杯振られています。その度に対向車線にはみ出していて、まあとてもヒドい有様でした。やはり現行のライバル車種と比べて、トレッドの狭さとサス剛性の低さ、そして車重が大きく影響しているのがわかります。トヨタがスポーツセダンとしてではなく、重厚な乗り味のサルーンとして仕上げてしまっているようです。

  マークXなどよりも、ヴィッツやデミオの方が車線をはみ出すこともなく、ある程度のスピードでもラインをきっちりとトレース出来そうな気がします。マークXがこの2台よりも乗って楽しいクルマと断言するのは、すこし難しいところです。高級車としての風格も、スポーツセダンとしての走りもどちらも中途半端で「気持ちの悪い」ところでまとまってしまったクルマと評されているのを見て、いくらなんでもヒドいなと思っていましたが、その意味がなんとなくわかりました・・・。

  確かに箱根に行ってもなかなか居そうで居ないクルマがマークXです。結局はトヨタに営業掛けられた「無頓着な層」が主なユーザーなので、トヨタもクルマをブラッシュアップするには張り合いが無いのかもしれません。クラウンを安くコピーして、さんざんに「お買い得」であることを全面に打ち出していて、トヨペットのセールスマンにとっては最高のクルマです。さらにユーザーを欺くような「スポーツセダン」という煽り文句も付けています。これこそがトヨタの最大の闇だと感じます。

 

2013年11月5日火曜日

ちょっと待て!オデッセイ・アブソリュートだけかよ!


  ホンダの日本市場ラインナップは大変失礼ながら、数年前から「カオス」の状態になっているので、いまさら何とも思わないですが、新型オディッセイが発売されて改めて「なんじゃこりゃ」と思ってしまいました。ミニバンにはなかなか興味が向かず、そのパッケージには全く疎いので、良し悪しはなかなか解らないのですが、トヨタの2代目アルファード/ヴェルファイアがかなり熱狂的に支持されるのは解る気がします。そしてホンダもこの流れに便乗して、自慢の「BMWのような走りの・・・ミニバン」ことオディッセイをアルファードにぶつけてきました。なるほどそっくりですね・・・。

  ライバルのトヨタ勢の主力となっている「中国製」の2.4L直4エンジンに狙いを定めて、日本では未発売となっていたホンダ渾身の新型エンジンを乗せてきました。トヨタはベースグレードのエンジンは「テキトー」に作る主義なので、ブレイドなどにも使われた「汎用」直4エンジンの出来はお世辞にも褒められたものではありません。安さとパッケージの良さだけでクルマは売れてしまっていますが・・・。

  ホンダは最新鋭エンジンを投入して、走行性能でアルファードを圧倒しようという狙いが見えます。トヨタもノア/ヴォクシーのハイブリッド化で対抗することが予想されますが、オディッセイにはアコード用のHVを積もうなどとは考えていないようです。なかなかの「猪突猛進」っぷりで、ホンダらしさというべきなんでしょうか。

  ホンダがこのオディッセイの最大の売りにしているのが、2.4L直4の同排気量ながらエンジンのメカチューンによって2種類のスペックを作っていることです。「アブソリュート」と呼ばれるグレードに搭載される190ps発生のエンジンは、北米でセダンの頂点に返り咲いた現行アコードに搭載されているものです。北米でも直4エンジンが載るミドルセダンが燃費ではなく、フロントの「軽快さ」から選ばれるようになってきました。

  いわゆる、「欧州化」といわれる現象で、GM・クライスラー・フォードが欧州セダンの技術を持ち込んだミドルセダンで売上を伸ばしています。フォードのフュージョンやキャデラックのATSなどが高い評価を受けていて、その先頭を走るのがアコードなんですが、日本で生産しているくせに、なぜか日本で発売しないという「残念」なことをホンダはしてくれています。なんでオディッセイだけにしか、その優秀なエンジンを積まないのか?まったく理解できません・・・。


2013年10月29日火曜日

新型スカイラインはトヨタ86よりもスポーティだ。

  日産にとってなかなかイラッとくる新型車がトヨタ86じゃないでしょうか? それほど目くじらを立てるということはないようですが、日産がGT-Rで必死に取り戻したといっていい「国産スポーツカー」人気再燃の絶好機を、ライバルのトヨタに全部「オイシイ所」を持って行かれてしまったわけですから・・・。

  日産がGT-Rの最初の企画の段階で世界の富裕層をメインの商売としたことは明らかです。けれどもあらゆる手段を講じて、価格の上昇を抑えることで、中産階級にも十分に手の届くクルマという日産の説明も十分に納得できます。おそらく世界でGT-Rに手が届く人は数億人の規模に達していることでしょう。フェラーリと比べれば100~1000倍は多い数だと思われます。世界のそれだけの人々に対して「最高」のマシンを所有する機会を与えたことは、他のどんなブランドも成し遂げていない「金字塔」と言えます。

  世界中のクルマファンに大きなインパクトをもたらしたと同時に、特に日本人にスポーツカーのみならずクルマ全般への興味を再燃させたのは間違いないでしょう。そんな崇高な理念で「日本のクルマ作り」を活性化させようとしたGT-Rに対して、トヨタがそれを受けて開発したスポーツカー「86」はGT-Rとはまったく逆のアプローチだったにもかかわらず、結果的にGT-Rが掘り起こした「ニーズを」見事に刈り取っていきました。

  トヨタがどんなクルマを作ろうとも日産が知ったことでしょうが、トヨタが名乗る「スポーツ」の言葉の軽さと、日産が「スポーツ」に込めるストイック過ぎる想いはあまりにも対象的です。「相対的」なトヨタと「絶対的」な日産のクルマ作りの価値基準を比べてもあまり意味はないですが、そういう前提を理解することなく、場当たり的な評論がカーメディアに蔓延っていてムカつくことがあります。もっともっと開発者の意図を汲んでほしいものです。

  トヨタは社内に「世界一厳格」な乗用車の設計に関する規定があり、その中で「相対的」にパワーウエイトレイシオに優れるモデルが「スポーツ」と規定しているようです。一方で日産は「絶対的」な運動性能こそがスポーツの原点と考えているようで、常に「クラス最強」を意識した設計をします。運動性能で世界の頂点に立つためにポルシェのスポーツカー(911ターボとケイマン)をベンチマークして、GT-Rと現行Zを開発しています。

  スカイラインにしても6気筒NAの究極のフィールとパワーを最大の売りにしていて、さらに4WSを装備するなど、セダンとしては異例のだけれども「額面通り」の高性能モデルになっています。この「絶対的」運動性能の前では、トヨタの専用設計のスポーツカーが「スポーツ」と名乗るのが憚れるほどです。もちろんトヨタにはトヨタの考えが、日産には日産の考えがあって、どちらも「秩序」に基づいています。

  同じ「秩序」だったり「哲学」を他の輸入車メーカーから少しでも感じることができるでしょうか? ポルシェ以外の輸入車メーカーに対してある種の「嫌悪感」を抱き、思わず批判したくなってしまう最大のポイントがこの「欠如」です。評論家は挙って日本メーカーを叩きますが、どう考えても「クズ」なのはBMWやメルセデスだろうと思うのですが・・・。

まあどう考えても
GT86>>>>>>>BMW Z4=メルセデスSLK
スカイライン>>>>>>>BMW3=メルセデスC
なのです・・・。

(BMWやメルセデスがどう「クズ」なのかは別の機会に・・・)



2013年10月26日土曜日

「ハイブリッドセダン」というプレッシャー

  ホリ◯モンが逮捕されて以降からでしょうか、日本全体に「負」の空気が満ちあふれ、社会で起こっている事に全く関心が持てなくなりました。テレビも新聞も見るのがとても苦痛で、政治家などちょっと有名になった人を、浅ましいメディアが「小馬鹿」にしたような表現で報道するのを見てもまったく笑えませんでした。マツコデ◯ックスとか宮◯哲弥とか池◯彰とか・・・何が面白いんだか全くわかりません。30分見ていて何一つ心に残る発言なんて無いんですよね。

  クイズ番組とか見続けてたら本当にバカになると思いますよ。やく◯つる程度の知識頭って言ったら失礼ですが、そんなサラリーマンがいくらいても会社の業績は上がらないし、社会は良くならないはずです。全員がスティーブ=ジョブスや水野和敏氏のようなスピリッチュアルなイノベーター&スーパーエクゼクティブになればいいとは思いませんが、そういうクリエイティブな世界と今の日本の現状があまりにもかけ離れている気がするのです。

  いま生きてて楽しいなと心の底から思える瞬間は、ドライブに出掛けたり、クルマのこと考えたり・・・それくらいなんですよね。職場の何人かの同僚、美容師、MAZDAの担当者、いつも行くGSの気さくな店員さんといった顔なじみと話をするのはハッピーですね。たまには面白い人に出会ったり、面白い本を見つけたりすることもありますが、それ以外は正直言って知らない人と関わるのは面倒だし、時間のムダだなと思います。

  まあクルマが無かったら人生相当につまらないなというのが実感です。けど日本政府は金持ち以外はエコカーに乗れという方針を持っているようですね。消費税はある程度見通しがありますが、自動車税やガソリン税に道路インフラ使用料も含めて、クルマの存在の根幹の部分を、見るだけで吐き気がしそうな政治家や官僚のさじ加減で決まっていくのには、つくづく嫌気がさします。

  10年後のガソリンエンジン車の税金がどうなっているかなんて全く解らないのに、6.2Lのシボレーカマロが500万円は安いななんて思えないですよね。ガソリン価格も300円を超えているかもしれません。とりあえずエコカー以外は手が出しにくいと感じる空気感が息苦しいです。エコカーは徹底的に減税しますけど、高級車は増税しますっていう方針は決まっているそうですが、今後売れるのはほとんどがエコカーなんだから、高級車はどれだけ増税されても追いつかないのでは?なんて思ってしまいます。

  レクサスRC-Fが5LのV8で登場しても、自動車税と保険の大幅値上げで合わせて年間100万円超えてしまっては全然楽しくないです。それじゃあRC350Fスポなら・・・こちらも年間50万円以上かかりそうですし、これに150円のガソリンがさらに値上がりして200円超えたら、よっぽどの金持ちじゃないと楽しくドライブできないクルマになってしまうでしょう。

  こんな世の中で若い人達が頑張って仕事しようと思わないですよね・・・。頑張って起業してもちょっと目立つと、クイズ番組知能の税務署や検察がイチャモンつけてきて、ホリ◯モンみたいに捕まってしまいます。なんせ知能がクイズ番組レベルですから、自分達がやっている愚かなことの善悪の区別なんてなく、気に入らないヤツがいたら「死刑でいいよ」みたいな感覚なんでしょうね・・・。やたらめったら増税してその使い道はというと、「社会保障(のための人件費)」とやらに使われるわけです。90兆やら100兆やらの予算の内訳は半分以上が「人件費」です。亡国の「クイズ番組知能」どもに使われる人件費です・・・。


  
↓こういう本が売れるのは、たぶん私と同じようなことを感じている人が多いからだと思います。現代日本人にとっての「解毒剤」ですね・・・
  

2013年10月14日月曜日

クルマにコダワル人々の必死な言い分・・・

  「クルマなんてどれでも一緒だろ」って思っている人に、自分のクルマ選びがいかに的を得ているかを説明するのはそんなに難しくないのですが、「大きいクルマに乗って見栄張りたいだけだろ・・・」って思ってそうな人を納得させるのはちょっと厄介ですよね。まあ住んでいる地域によって感覚はだいぶ違うとは思いますが・・・。

  なんでアテンザに乗っているの?って訊かれたら細かいごちゃごちゃとしたことを省くと、結局のところ「フラッグシップ車だから」が答えです。今後もフラッグシップ車しか買わないつもりです。現状での選択肢は実質的にアテンザ・レガシィ・スカイライン・レジェンド(未発売)の4台だけです(1stカーは絶対に新車です)。まあそれだけあればいいと思います。あれこれ悩むのも面倒ですし。よってレクサスへ行くときはLSを買うときで、メルセデスへ行くときはSクラスを買えるようになった時です。

  なんでフラッグシップ車かと言うと、単純に「気分がいいから」です。マツダのディーラーでもサービスの質が違います。電話で「オイル交換の予約を取りたいのですが・・・」と訊くと、最初は面倒くさそうに対応しますが、「おクルマはアテンザですね」のあとはテンションがやや上がって「いつでもOKですよ!」みたいな感じになります。マツダですらこれですから、他のディーラーは推して知るべしです。なんで客なのに嫌な想いをしなきゃいけないのか?ってのは極々当たり前の言い分です。結局、世の中のあらゆる会社が提供するサービスなんてのは、「どれだけ気分がいいか」が全てであって、そうじゃなければ利用しないのが基本だと思います。

    BMWのディーラーが最低だとか、レクサスが最低だとか良くネットで見かけますが、失礼を承知で言わせてもらうと、1や3、CTやHSを買おうと思った段階で「ブランド詐欺」に引っかかっています(みなさん最後には自分=「カモ」だと気づくようですが・・・)。彼らは最終的には7やLSを買わない人間を徹底的に見下してきます。これは高額商品の営業マンをやった経験がある人にとっては常識です。1000万円のクルマを買わせるにはマジックが必要なのです(これが直感的に解らない人には営業はできません)。よっぽどの金持ち相手で無い限り、徹底的に追い込まないとあんなものは売れません。つまりフラッグシップを買わない限り、ディーラーとの付き合いは苦痛になることが多いです。

  フラッグシップといってもレクサス以外の国産メーカーならば、それほど高額でもなく、付け加えるならば他のクルマと比べて価格差が少ない割に満足度は非常に高くなるように作られています。これも商売のイロハで、「上」・「中」・「下」の三段階で商品があったら、たいていは消費者に解らないように、「中」の利益率が高くなるように設定されています。よって「上」のほうが「中」よりお得だと言えます。「上」がどれほどの満足感があるかはその商材によっても違うでしょうが、クルマに関して言えば絶対的に「上」はお得です。実際にレガシィやスカイラインってほとんど欠点らしい欠点がない素晴らしいクルマなんです。オーナーでこのクルマを悪く言う人はとても少ないです。

  「最高に気分がいい」+「最高のクルマ」がフラッグシップです。東京に住んでいてクルマなんて無くても全然困らない生活をしているのもありますが、「気分が良くない」「最高でないクルマ」なんて絶対に要らないしお金と時間をムダにするだけとすら思います。クルマなんてなんでもいいと言って軽自動車に乗る人の気持ちはまるで理解できません。あんなクルマに150万円の価値があるのか!?
 
  私にとってクルマの主な用途は週末にドライブに行くくらいです(とても重要な「用途」ですが・・・)。せっかくの休みに片道3時間くらいかけて出掛けるわけです。往復6時間ものドライブの間、車内で過ごさなくてはいけません。もし車内が狭くてオーディオも騒音に掻き消されてしまうような環境だったら? 気分転換どころか逆にストレスが溜まってしまいます。 一般にフラッグシップ車は居住性には最大限の配慮がなされています。アクセラやインプレッサより50万円ほど高いだけで、アテンザやレガシィの遮音性はまったく別次元です。

  さらにドライブには事故のリスクが少なからずあります。小さい2BOXカーで、高速道路で事故ったら即死するようなクルマに大切な人を乗せてドライブしたいと思いますか?なぜフラッグシップ車は全て3BOXなのか?当たり前のことですが、それは前後にクラッシャブルゾーンを設ける事で乗員の生存率を上げるためです。日本メーカーのフラッグシップ車は衝突安全基準において世界の「テッペン」です。もちろんブレーキやコーナー安定性においても、ドイツ車に一切負けていません。BMWやメルセデスのどのクルマを持ってきても、アテンザ・レガシィ・スカイラインと「ゴッツン」すれば、グチャグチャになります。それでも日本の軽やコンパクトカーに比べれば断然にマシですが・・・。

  VWにゴルフという快適性を謳った「ゴキゲン」なクルマがあります。実際は全然「ゴキゲン」じゃないです。とくにGTIとか言うスポーツカーを気取ったグレードは最低です。後ろから追突されれば無事じゃ済まないし、高出力モデルなのに日本向けノーマル仕様と変わらない貧弱なブレーキしか備えていません。制動距離もライバル車と比べて最低の水準です。こんなクルマをデートカーにしているヤツは「最低」だと思います。


  そんな訳で、一人では絶対にドライブに行かない私にとっては、同乗者のことを考えると、国産フラッグシップのセダンしか選択肢になりません。みなさんにも是非オススメしたいと思います。こんな最高のドライブカーであるはずなのに、昨日のドライブでは旧型のレガシィとアテンザしか見かけませんでした。現行のレガシィやアテンザは日本を走るGTカーとしては、少々サイズが大きくなり過ぎてしまったという意見もあるようです。しかしマツダ・スバル・日産の世界最高レベルのハンドリングを持ってすれば、「通行注意」の林道だって余裕で走れますよ。


関連記事
「アテンザとBMW3シリーズ〜彼と彼女のクルマ選び・その1」
「アテンザの社会的機能性・その1」

2013年10月11日金曜日

カムリHVのMCキャンペーンが・・・

  とりあえずウケればなんでもいい!全てのメディアコンテンツとコラボしてでもイメージを叩き直せ!ということなのでしょうか? 大前研一が「末期企業的な症状」とか言っていた日経新聞朝刊の全面広告で「島耕作」とコラボを敢行したカムリHVが出ていました。去年の86のキャンペーンで味をしめたトヨタが再び「中高年をその気にさせる」戦略と採ってきたようです。

  先日のSAIのMCも同じような戦略で「モテオヤジ」のクルマとしてさかんにアピールがされていましたが、今度は「ジェントルマン・クラブ」だそうです・・・。一昨年に登場したカムリHVはなかなか話題を呼びました。ハイブリッドのイメージを変えた歴史的名車として記憶されるでしょうが、かなり多くの良識的な方々が買いに走ったおかげで、バックオーダーが相当に発生しトヨタも嬉しい悲鳴だったとか。ただここにきて悲鳴を上げているのは、デビュー当時にこのクルマのポテンシャルを信じた買った人々ではないでしょうか?「なんだよ・・・ジェントルマン・クラブって・・・。そんなクラブに入った覚えはね〜ぞ!」ってぼやきたくなるのでは。

  まあ他人事ではありますが、これは極めて深刻な背信行為です。レクサスISやマツダアテンザを購入して乗っていたら突然にポケモンとコラボし始めたらどうしますか? 世間から「ポケモンセダン」とあだ名され、中古車価格も無惨に暴落して、売るに売れずに10年もの間、周囲の嘲笑を受けながら乗り続けるのは辛いものがあります。トヨタがポケモンはダメだけど島耕作はOKだという感覚なのだとするなら、もうこのメーカーに一流のクルマのコンセプトなんて望むべくもありませんし、語ってほしくないですね・・・。

  本物のジェントルマンならトヨタに乗らないだろ!って野暮なことを言うつもりはないですが、リチャード=ギアとカムリHVがそんなにも易々と繋がってしまうものでしょうか。まったく方向性が違うとも言いきれないとは言え、そういう無理矢理なイメージを押し付けるのはまったくもって蛇足だと思います。そんなことを続けてもブランドイメージの向上どころか悪化する一方だと思います。現代人てトヨタにとってそんなにバカに見えるのでしょうか? それはともかく「86」「SAI」「カムリHV」はトヨタが余計なことをやらなければもっと評価できるクルマなのですが・・・。


 

2013年10月9日水曜日

つまらないD/EセグセダンがCセグに負ける日

  同じブランド内での競争で一番多いのが中型車のD/EセグとCセグの争いだと思います。スバルのレガシィとインプレッサ、マツダのアテンザとアクセラ、BMWの3と1、メルセデスのCLAとAさらに番外編としてトヨタのSAIとプリウスあるいはカムリとオーリスといったところでしょうか。価格面で有利なCセグに対し、D/Eセグがどれだけ魅力で上回れるかという「綱引き」なのですが、最近では競争が激化しているCセグの方が優勢というケースが多くなっています。

  D/Eセグが威厳を示せているのがスバルのレガシィくらいであとは、Cセグの方が走りも良くて・・・なんていう状況に陥っているようです。アテンザはとりあえずテコ入れを待たないとアクセラには対抗できない!とは言い過ぎかもしれませんが、価格差はわずかにもかかわらず、軽量な1.5Lと楽しみなHVを持つアクセラに現状では大きなアドバンテージがあります。D/Eセグの中ではひと際光る存在感を持っていたはずのアテンザが、Cセグのアクセラに歯が立たないとなると、いよいよD/Eセグって何なの?という気もしてしまいます。

  「ラグジュアリーでない、走れない、古くさい」こそがD/Eセグだと言われてしまったら否定できないですね。「コストを掛けないで作る一番大きいクルマ」というのも当たっていると思います。ゆえにマツダ、スバル、VWといった大衆ブランドはこれより大きいクルマを作らないのでしょう。こんなクルマは一度地獄に堕ちろ!

  そんな深刻な状況に陥っているD/Eセグの中で「ラグジュアリーで、走れて、新しい」という異端的な存在と言えるのがレクサスIS350じゃないかと思うのですが、乗り出しで600万円を超える価格設定からしてそもそもこのクラスの「異端」ではあります。もしアテンザもレガシィも600万円という価格が許されるなら、どれほど進化できるのか?という興味はありますが、おそらく実現はしないでしょう。

  一方でCセグはというと、「宣伝費をかけずに売ることができる一番小さいクルマ」と言えます。メルセデスやBMWなどのプレミアムブランドが参入したことで、クルマの作りの良さが厳しく見られるようになりました。世界市場で流通するCセグを比較した特集などを見ると、メルセデスが一番騒音が酷いという結果が出たりしています。それでも各社アイドリングで60デシベル前半に収まっていて、これはクラウンとほぼ同水準です。また各ブランドはできるだけ性能に影響しないように、上手にコスト削減を図っている様子が伺えます。

  FF車はD/Eセグになると旋回半径が大きくなるなどのデメリットが目立ちますが、Cセグでは大勢に影響はなく、ハンドリングも同等に作り込めば、Cセグの方が有利になります。結局のところD/Eセグがはっきりと有利な点は、「キャビン容積が大きい、サイドのデザインが美しい、直進安定性が高い」の3点くらいになってしまいます。この中でさらなる付加価値が出せるとすれば、サイドデザインかな?という気がします。ショートストロークボクサー4気筒にDITターボの高性能ユニットとともにハイレベルなハンドリングとブレーキを備えるレガシィに抜群のサイドデザインが加われば、とても良いクルマになりそうではありますが・・・。

  
   ↓ゴルフ7の長所は「静粛性」で短所は「ブレーキ」だそうです。
  

2013年10月3日木曜日

これからのセダンは「普通」と「高級」の2パターン

  世界のセダン、と言っても日米独韓の4カ国のメーカーが製造するセダンですが、にあった「暗黙」の基準が完全に変わってしまったようです。以前はメルセデスが打ち立てたDセグ/Eセグ/Fセグの3グレード体制が主流でしたが、欧州と日本でのセダン人気の後退によりDセグの販売が世界的に低迷した結果、北米向けに新たに開発されたDとEの中間のような「DEセグ」とラグジュアリーセダンとしての「Fセグ」の2グレードに変わりつつあります。

  簡単に言うと「DEセグ」が普通のセダンで、「Fセグ」が高級なセダンです。普通のセダンといっても乗用車としては十分に高級な部類に入ります。イメージとしてはBMW5やメルセデスEと比較対象になるようなクルマです。最近ではカムリHVやアコードHV、アテンザなども十分にこのクラスで戦えるだけの「重厚感」をテーマに開発が行われていて、以前は「プレミアム」と「大衆」を隔てていた垣根がなくなりました。

  レクサスISやインフィニティQ50(スカイライン)など、上のクラス(GSやフーガ)と共通のプラットホームなので、クルマの性格が多少変わる程度で多くの機能を共用しています。GSとISの違いは細かいところを見ればいろいろあるのですが、根本的なものとしてはハイブリッドモデルのシステムくらいじゃないでしょうか。もはやユーザーの好みの問題です。ちょっと厳しい言い方をすると、GSに「特別な高級感」はなく、ISに「スポーツの要素」はないです。どちらも「普通のセダン」の範疇を出ていません。

  高級なセダンは一般の感覚からいうと「超高級」と言える1000万円クラスのセダンです。レクサスLS、Sクラス、7シリーズ、A8、パナメーラ、クワトロポルテ、ジャガーXJといったところです。一般的にV8エンジンを載せていそうなクラスなのですが、全グレードがV8という格式を保っているのは、意外なことに欧州車にはなく、レクサスLSのみです。最近ではV6ターボが多くなっていて、このクラスもいつまで「特別な地位」を保つことができるかは不透明です。

  日本メーカーのセダンは、生き残りを懸けての大きな動きを世界に先駆けて見せています。アコードとアテンザが北米サイズになり、国内専用モデルであるはずのクラウンも釣られて大型化しました。そして今年新たにスカイラインも大型化するようで、実質的にフーガに近いクルマになるようです。レガシィも来年のFMCで晴れてDEセグメントの仲間入りをする見通しです。ドイツメーカーの動きはやや不透明です。Eセグに関してはサイズは同じかやや小さくなる傾向があり、Dセグ(3シリーズ・Cクラス)は大型化しているので、今後3と5あるいはCとEはどのように差別化が図られるのか、あるいは統合されるのかはまだ予想が付きません。

  「普通のセダン」へと収束する動きは、やや思い込みもあるかもしれませんが、一般的に動きがモッサリしていて、ハンドリングはやや緩くなる傾向にあります。セダンの皮を被ったミニバンみたいな冴えないドライブフィールに堕することが、「普通のセダン」の宿命と思いたくはありませんが、ライバルとのコスト競争の中で、特に「運転補助システム」の開発に力が入れられてしまっていて、足回りやハンドリングの開発が不十分と評されるクルマが多くなっている印象です。新型アテンザも新型メルセデスEクラスもこの点が特に指摘されています。

  BMWやマツダといったセダンに「ハンドリング」を最大の付加価値として与えてきたメーカーも、このサイズになってしまうとクルマの意味合いがどうしても変わってしまうようです。確かに車幅が増えてもハンドリングの精度と信頼性のおかげで、狭い道でもしっかりと「寄せる」ことができるBMWやマツダのクルマはアドバンテージがあります。ただ今後は北米市場に迎合する姿勢から「味」を失って、さらにバランスも失っていくのが想像できます。

  FF車に平気でV6を積んでしまうという、まったくデリカシーの無い設計(失礼!)がまかり通ってしまう北米市場は、アルファロメオやスバル、マツダ、BMWのような中型スポーツセダンの得意なメーカーにとってはまさに「鬼門」です。スポーティとは真逆の「日産ティアナ」のようなクルマが幅を利かせる世界が、唯一の巨大セダンマーケットになってしまった悲劇的な状況を受け入れなければなりません。

  

  
  
  

2013年9月23日月曜日

スポーツセダンはもはや死語か?

  セダンが史上最高に「スポーツ」だった時期はいつだったでしょうか? 2000年頃のホンダ・アコードやトヨタ・アルテッツァはセダンとスポーツカーの2つの魅力を備えた名車だったように思います。相反する2つの要素を両立させると当然に、スポーツカーでもないし、セダンでもないという手厳しい意見が評論家からも当然出ました。それでもアコードは海外では「ファミリーカーの枠を超えた走り」と絶賛されました。

  私の周りにいる人々に聞く限りだと、当時のアコードはカッコ良くて、速くて最高の入門車だったいう意見が大勢です。5ナンバーサイズで峠も市街地も楽々で、エンジングレードも細かく分かれて1.8L、2.0L、2.2Lと直4にとってベストなサイズに3グレード設定!さらに「ユーロR」という高出力モデルもある!このクルマのコンセプトを維持したまま、今の水準に叩き直して発売すれば大ヒットしそうな予感です。

  なんでこういう魅力的なクルマが現行モデルに無いのか? 当時はFRのドリ車が大人気でFFなんて興味ないという人が多くて、ホンダとしては目論み通りのヒットとはいかなかったようです。このアコードはどうも世に出るのが早過ぎたようです。それにしてもホンダの日本市場における中型車の出し渋りぶりは異様です。なんでシビックを売らないのかも理由がわかりません。アコード・シビック・インテグラが築いてきた輝かしい中型車の栄光は今のホンダのラインアップには全くと言っていいほど残っていません。

  トヨタのアルテッツァの系譜はレクサスISへと受け継がれました。ただスポーツと言えるグレードは最上級のIS350のみで、未だにスポーツセダンと称されることがありますが、「高級サルーン」にスポーツグレードが設定されているといった方がしっくりきます。「Fスポーツ」という紛らわしいグレード名がありますが、これは外装以外で主な付加装備は「可変ダンパー」です。これは簡単に言うと、「トヨタ=ジャーマン」切り替えスイッチと言えるもので、日本において絶対的な地位になってしまった感のあるドイツ車の足回りをスイッチ一つで体験できますよ!という機能です。

  この機能を「ノーマル(トヨタ=モード)」にしておけば、静粛で突き上げを極限まで吸収した滑らかなトヨタが誇る乗り味が得られます。これを「スポーツ(ジャーマン=モード)」にすると、サスの剛性が上がり突き上げのショックは多くなりますが、安定性が飛躍的に向上し高速走行での恐怖感が減ります。まあ「どっちもいいでしょう?」ってのがトヨタの言い分なのでしょうが・・・。

  結局のところ現行のISのスポーツ性を追求したIS350は、アルテッツアというよりアリストに近いという意味で、「スポーツセダン」と称されるのだと思います。スポーツセダンには大きく分けて、コーナーリング性能に優れるタイプと、最高速に優れるタイプの2種類あります。前者がアルテッツァで後者がアリストです。どちらも4ドアセダンという不利な条件を背負ってもなお、ファミリーカーを超越したスポーツ性を誇っていました。それでも悪意溢れる評論家によってアルテッツァは「パワー不足」などと断罪されるという愚かな歴史の上に出来上がったのが、今の日本のクルマ文化だったりします。

  スポーツセダンに対する二種類の定義を曖昧にしたまま、評論家の都合に合わせてスポーツセダンを論じてきた結果が、日本車の価値を著しく毀損していきました。その一方で「速くもなければ曲がれもしない」「重くてガッチリしただけの」ワケのわからないドイツ車が「スポーツセダン」としての理想に近いという「風潮」「風説」が成立したことは日本のカージャーナリズムにおける最大の不祥事だったと思います。

  2000年当時はアコードは「ファミリーカー」でしたがその枠を超えた「走りのクルマ」と評されました。しかし現在ではSUVやミニバン、コンパクトカーが溢れる中でアコードの属する中型セダンは「速くて当たり前のクルマ」と見做されています。ファミリーカーの枠を走りで超えられないセダンなんてとっくに絶滅してしまいました。よって現在ではあえて「スポーツセダン」と呼称することに違和感を感じます。BMWもメルセデスもさりげなく1.8Lや2LのNAモデルを日本に持ち込むのを止めました。ホンダやマツダの中型車向けNAエンジンに比べたら、「ウルサくて回らないガラクタ」に過ぎないドイツのエンジンでは、もはや日本でセダンとして販売することは事実上不可能になりました。

  「セダン」は日本や欧州ではもはや「ファミリーカー」ではなく「高性能車」であり、その評価はGTカーとしてどれだけ高いレベルにあるか?に一元化されつつあるように思います。スポーツセダンと呼称されるレクサスGS・ISですが、LS460より走行性能が優れるかというとそうではありません。トヨタの「スポーツ」って何なの?という気がしなくもないです。ホンダはそういう状況をシニカルに見ているようで、新たなる分野の「ファミリーカー」の「スポーツ化」に熱心に取り組んでいるようです。オディッセイ、ストリーム、フィットといったクルマこそ「スポーツ」の名が相応しいのかもしれません。

  

  


  


  

  

2013年9月18日水曜日

日本のセダンのイメージを歪める存在

  セダンが日本で売れなくなった理由は、誰も公には発言しようとしないが、多くのクルマ愛好者はその理由がはっきり解っている。V.I.Pカーだ。中古のセダンに下品極まりない改造を施し、その多くは無理な改造によって、トヨタや日産の先端技術を集約した高級セダンの乗り味は失われ、真っ直ぐ走れないなど高級車とは思えない悲惨な状態になっていたりする。そういうクルマを夜中の甲州街道や青梅街道で見かけるが、心が張り裂けそうになる・・・。いやもうそんな気持ちなんて持ち合わせていない。セルシオ・マークⅡ・セドリック・グロリアといった旧型のセダンには「軽蔑」の念しか湧かない。

  クラウンもマークⅡもかつては毎月10000台以上売れていた。景気が良かったというのもあるが、170万円くらいでそれらのフラッグシップカーが買えたのだから、今のアクアやノートを買う感覚でみんなセダンを買っていたのだ。もちろん今より平均月収が高かったりする。当時にクルマ文化にどっぷり浸かっていた世代が今のセダンを「高すぎる」と批判しているようだが、むしろ高くなってよかったとすら思う。今の新型セダンを乗り回している若者は昔の若者より数段イケているのかな?

  とにかく、セダンのイメージをぶち壊した旧型車と、今の新型車が同じセダンという括りに違和感を感じる。コイツらは「V.I.Pカー」として隔離しておきたい気分だ。人気が急落したセダンは車種が極めて少なくなり、販売数の低迷から細かいグレード分けも行われず、パワーユニットも1種類のみというモデルも多くなっている。

  現行モデルではカムリHV・アコードHV・キザシ・レクサスHS・SAIがこの「1グレードエンジン」制だ。それぞれにブランドの上級車種として売られているが、日本にイマイチ浸透しないFFのせいかメーカーが及び腰になっているのが解る。作っている側の人間は専ら北米市場を考えていて、そのついでに日本にも投入しただけなので、売れようが売れまいがあまり重要ではなさそうだ。メーカーがやる気がない様子が、そのままユーザーにも伝わってしまい、どうしてもクルマの魅力が乏しいと感じてしまう。

  この点に関してはドイツのプレミアムブランドは完全に正しいと思う。エンジンが選択できるというのはセダンの魅力の根幹だという意識が日本メーカーには希薄なのか? 少なくともこの5台の日本での販売に於いて、ドイツプレミアムの同クラスをまったく意識してはいないのだろう。結局のところ旧型のクラウンやマークⅡからの乗り換え需要を取込めれば十分なのかもしれない。いずれのクルマもハンドリングはユルユルで、バスを運転している感覚すらある。大型車(いずれも中型車だが・・・)を動かしているという実感があればそれでいいということか?

  同じカテゴリーのクルマにFFで6気筒を積んでいるティアナも放り込んでいいかもしれない。車格と高級感が備わっていればそれでいいという設計思想には、私は強烈な違和感を感じる。ただこの日産の「方法論」はそのままシルフィへと受け継がれている。断っておくが日産が作るだけあって、「悪」と断定できるクルマではなくて、電子デバイスでクルマの挙動をモニアリングしつつトラクションを制御するシステムの優秀さは世界一かもしれない。しかしクルマの初期設計で「BMWを殺るのはスカイラインの役割」というメーカーの明確な意志もあったのだろう、それ以上の乗り味を追求しようという意志は感じられない。そもそもティアナのフロントヘビーなFF6気筒や、シルフィの安価なサス(トーションビーム)では、どう頑張ってみたところでBMWの影すら踏めないだろう。

  もちろんFF設計を生かして、キャビンやトランクを広く取れるレイアウトや、静音・遮音設計に関しては、ドイツ車に完勝している。さらに内装の上質感なら性能に関係なくいくらでも高められるのできっちり「仕事」がされている。重ね重ね申し上げるがティアナもシルフィも、日本市場で高齢者が乗るクルマとしては極めて洗練された設計だ。後席にお客を乗せるというフォーマルなニーズにも十分に応えられる。少なくとも突き上げのキツいBMWの後席に比べれば抜群の乗り心地だ。

  それでもこれらのクルマに人気が出ない理由は、普通に考えて運転していて楽しくないだろうと感じさせてしまうからだ。ティアナやシルフィに乗っている人に感想を訊くと、みな一様に高級車に見えるかどうか?という基準で判断して購入しているようだ。「高級かどうか?」おそらくこの手の判断基準こそが、筋金入りのドイツ車愛好家の皆様が一番嫌う考え方で、日本車のイメージを失墜させている最大の「癌」なのだろう(ドイツ車ユーザーにも同じような考えの人はたくさんいるが・・・)。ティアナ・シルフィのユーザーの方には大変失礼だが、このクルマが持つ価値観・評価基準は悪名高きV.I.Pカーのそれと全く同種のものだ。

  BMWもポルシェも昔から「高級車」として意識されて作られたクルマではなかった。現行モデルに至るまで、この両ブランドが「高級さ」を前面に押し出して作ったクルマがあるだろうか(※)?BMWやポルシェの内装を見て高級だと思ったことは一度もない。駐車場で隣りに止まったBMWの内装のヒドさを見て呆れたことは何度となくあるけど。BMWやポルシェが高級車だというのはバブル以降の日本人の頭になんとなく構築された幻想に過ぎない。けど多くのファンに支持されて歴史を刻んだ結果、クルマそのものに「付加価値」が認められて、後付けで「高級車」に区分されるようになっただけだ。

  レクサスや日産の「高級」モデルはそれこそクラス世界トップくらいの勢いで、スゴい作り込みがされている。どちらも趣味が悪いということもなく私はとても感心しているし、両ブランドの最大の武器と言ってもいいほどの長所だと思う。それでもドイツ車好きの皆様から見れば、そのいうクルマの作り方こそが「邪道」なのだろう。ポルシェやBMWの美学に心酔しきっている本物のファンから見れば「唾棄」すべき存在なんじゃないだろうか? その気持ちはとてもよく分かる・・・。しかし同時に日本ではレクサスからBMWに乗り換えたり、あるいはその反対に乗り換えたりといったポリシーが無さそうな人々も残念ながら多い。これではトヨタや日産もまともなクルマを作ろうなんて、さらさら思わなくなるのも無理もない・・・。


(※)・・・カイエンとパナメーラを除く。この2台はポルシェの尊厳を汚している!


↓「良いクルマ、悪いクルマ、最低のクルマ」日本語版/原版は英誌「Car」
  

  

  

  

  

  

2013年9月10日火曜日

「峠セダン」で塩沢峠を超えてみた・・・

  この夏は軽井沢まで2回ドライブしてきました。なんでわざわざ2回かというと、埼玉や群馬の有名な峠道をDセグセダンでどれだけ快適に走るかの検証が主な目的でした。お盆真っ盛りの軽井沢の渋滞にはほとほと困りましたが、東京から軽井沢まで7つの峠を超えるアップダウンの激しいルートでしたが、燃費は意外と悪くないので驚きました。やはり燃費の悪化を招くのは信号とエコカーの多さなのだなと改めて思いました。

  長期の旅行に出ている母に頼まれて、早朝から東京都西端部にある実家の庭で「水まき」をしてから軽井沢へ向かいました、東京西部〜軽井沢へ・・・超えた峠は以下の通りです。

(1)埼玉県道53号線・山伏峠  
(2)国道299号線旧道・正丸峠  
(3)埼玉県道11号線・定峰峠  
(4)群馬県道71号線・土坂峠  
(5)群馬県道46号線・塩沢峠 
(6)群馬県道196号線・妙義山 
(7)国道18号線・碓氷峠

結論を先に言うと、全ての峠で車幅1795mmのセダンでも余裕で走ることができました。正丸峠・定峰峠・土坂峠・妙義山・碓氷峠はイニシャルDのコースとして登場するほどなので、事前に特に心配はしていませんでした。ややビビっていた山伏峠と塩沢峠も交通量が少ないこともあり、かなりスイスイと走って行けました。

  青梅市から埼玉県名栗村へ向かう途中にある山伏峠は前後の区間が直線的だったこともあり、やや元気に走ってしまった結果、途中でフォレスターに前を譲ってもらうという申し訳ない体験をしました。しかし早朝からこんな場所でフォレスターを乗り回す初老の男性が「普通」のドライバーなはずはなく、猛烈な追撃が正丸峠の入り口まで続きました。初コースもなんのその、振り切ってやろうと奮闘しましたが、せっかく引き離しても1.5車線区間のすれ違いで減速する度に追いつかれ、最後は旧道の正丸峠にゆっくりと右折して入っていくところを、お返しとばかりにブォンと高速ですり抜けていきました。スバル族は怖い怖い・・・。

  路面が荒れ放題でトラクションに苦闘するだけの正丸峠を抜けて、定峰峠までは大自然の中を駆け抜ける林道になっています。すれ違うクルマもなく長い距離を誰にも邪魔されずに単独で走れる「至高の」ドライブ区間です。ただ林道がなかなか複雑に枝分かれしていて、事前に用意した林道マップ(ナビは全く使えません)を頭に入れての走行でしたが、2度ほど間違えました。とにかく解りづらいのが難点ですね・・・。定峰峠に出ると沿線に民家やお店なども見られる区間もちらほらあって、あまり無謀な運転ができないルートです。正丸峠に比べたら路面状況は良好でストレスなく走れます。

  秩父盆地の北方を横断して埼玉〜群馬の県境を超える土坂峠に入ります。両県側ともとてもよく道路が整備されていて、7つの峠では最速のステージだったかなと思います。ほぼ全然に渡って余裕を持って中央線が引かれています。高低差があって良好な路面なので、高出力車でヒルクライムを楽しむ絶好のステージです。榛名山や妙義山に負けないほどのダイナミックなコースになっていますが、近くに有名な観光地がないこともあって、交通量はまばらでした。

  土坂峠のとなりの塩沢峠はバイク・自転車の聖地になっているようで、4輪はややお呼びでない感じもあります。多くのバイカーが惹き付けるのは恐らく近隣では類を見ないほどの「絶景スポット」がルートに点在するからだと思います。土坂峠まではすんなり通れてしまったので、だいぶ油断していましたが、4輪だとすれ違いができるポイントがかなり限られています。交通量がほとんどなかったので後退して待避するシーンなどは1度も無かったですが、頂上付近の道はかなりの難所になっています。5mクラスのセダンでは通行が困難だと思います。私の4.7mのDセグセダンが単独で走行するにはなにも問題はなかったです。

  妙義山は頂上に駐車場が整備されていることもあり、安中方面からスポーツカーが爆音でかなり登ってきます。NSX、インテR、エボといったヒルクライム向けの車種が多かったです。さすがは名高い上毛三山の1つだけあって、いまでも多くの走り屋を惹き付けて止まないようです。一方で富岡市側から登る人は少ないようです。

  妙義山を超えて国道18号に合流し、横川を過ぎると碓氷峠が始まります。夏休みの土日ということもあり、観光バスが旧道を登っていきます。後ろにはミニバンやスポーツカーが数珠つなぎになっていて、もはや楽しいドライブは望むべくもありません。さすがに一大観光地の軽井沢への主要ルートになっているので、他の峠とは賑わいが違います。この峠はこの8月に2回訪れていて、そのときは平日だったので、日中もクルマはまばらでロードスターやセリカで楽しむ人がチラホラいてそこそこ快適に走ることができました。

  目的地・軽井沢は案の定の大混雑で、信号知らずの峠を7つをノンストップで超えてきたあとにこの渋滞はなかなか辛いものがありました。軽井沢駅前の渋滞にハマりながら、そもそも1日で7峠を超える意味があったのか?とか考えちゃいました。帰りは18号〜254号線の自動車専用道化している幹線国道を突っ走りました。夜になれば混雑もなくこれはこれで楽しいですね。日中はエコカー渋滞地獄なのでしょうけど・・・。
  

2013年8月14日水曜日

日本車と言えば「峠セダン」

  日本メーカーで開発を手がける人々はどんなことを考えてクルマを設計しているのか? ちょっと偉そうだが、これが感じられなければ日本車の良さなんて一生解らないだろう。日本の自動車評論家の全部とは言わないが、多くは日本の新型車が出れば必死で粗捜しをし、輸入新型車には諸手を挙げて大絶賛する傾向が見られる。これは彼らの多くが日本の「流儀」というものにまったく疎いからじゃないかと思う。

  多くの評論家の文章を読むと、そこには根本的な勘違いがあるように感じるのだ。彼らにとって日本の公道を法定速度で走ることよりも、クローズドなコース(サーキットなど)で走ることの方が大前提として価値が高いと決まっているような気がする。自動車ユーザーの多くはサーキットなんて行かないのだから、ニュルブリックリンクのタイムがどうだとこれ見よがしに書くことに何の意味があるのだろうか?

  その一方で日本の開発者はバカではないから、日本の「流儀」でクルマを粛々と作り続ける。それを勘違いした評論家(プロアマ問わず)がドイツの基準であれこれ批評するという悲しい構図がそこにはある。それでも開発者の想いは、そのクルマに脈々と受け継がれ、多くの日本車ファンへ届いている。評論家など媒介せずともスカイラインにもレガシィにもアテンザにもファンはたくさん生まれる。

  レクサスLSや日産GT-Rは素晴らしいクルマだ。この2台はそれぞれのジャンルで間違いなく世界最高のクルマだ。トヨタと日産は評論家による「ドイツ式ルール」に負けることなく、ドイツの流儀で最高のクルマを作ってしまったのだから。ここまで完璧なクルマを作られたらどれだけ無知蒙昧な評論家達もグウの音も出ない。

  日本の道をこよなく愛し多くの国道を次々と走破していくクルマ愛好家からみれば、この2台は「異形」の日本車として戸惑いを持って受け止められる。こんなヘビーなクルマじゃ日本の峠は下れないからだ・・・。あくまでGT-Rはドイツ的なアウトバーン&サーキット文化のクルマであり、LSはアメリカ的なハイクラス「応接間」カーでしかない。

  日本メーカーは他国の流儀でも最高のクルマを作ることができるわけだが、果たしてドイツ車やアメリカ車の中で日本の流儀で高い評価が得られるクルマがあるのか? 今のところそれに該当するようなクルマは見当たらない。ただ今後出てくる可能性は否定できない。

  今ドイツ車は大きく変革の時を迎えている。かつてはアウトバーンを250km/hで疾走できる高性能車がドイツの代名詞であったが、今ではBMW320iやゴルフハイラインなどの最高速度は200km/h台前半に抑えられている。アウトバーンはかつてのような速度無制限区間が大幅に減少していて、その区間であっても混雑で250km/hで走る機会はほとんど無くなっているからだ。

  最新のドイツ車の最大のキーワードは「日本車のように軽く」のようだ。その為にBMWもメルセデスもFR設計に拘らなくなり、軽量でパワーが出る直4ターボの高出力化に血道を挙げている。車重も1500kgを下回るものが次々と現れていている。ハンドリングやサスがさらに日本車のレベルに迫ってくれば、いよいよドイツ版の峠セダンが完成する日も近いだろう。メルセデス・BMW・アウディの目線の先には、日本を代表するスポーツセダンの「ランエボ」があるようだ。

  改めていう必要もないが、ランエボもまた日本車の「宝」だ。日本的な価値観のまま欧州にその存在を認めさせたクルマで、その地位はポルシェのスポーツカーに勝るとも劣らないほどだ。ドイツ人の価値判断は実利に大きく基づいているようで、アウトバーンでポルシェと同等の走りをするランエボが評価されるのは当然と言える。ポルシェもまたアウトバーンのみならず、日本の峠でも大活躍できるポテンシャルを持った希有なドイツ車だ。BMWやメルセデスのように家の前に置いておくくらいしか使い道がないクルマとは違うのだ。     (長くなったので次回に続けます)



  

  

  

2013年7月27日土曜日

前評判がいまいちなアコードHVも好調な滑り出し!


  ホンダーカーズの担当者も最初からほとんど期待していなかったようですが、アコードHVが好調なスタートを切ったようです。アテンザ・クラウン・ISに先を越され、発売前からカムリHVの二番煎じと揶揄され、評論家からの評判も今ひとつだったのですが、フタを開けてみれば・・・と言ったところでしょうか。

  「絶対に売れる」と言われたゴルフと「絶対に苦戦する」と言われたアコードHVですが、それはあくまで専門家の「ミクロ」な分析に過ぎなかったようです。結局はお金を持っている都市部の人々にとっては、ゴルフやアコードといった車名よりも、ハッチバックとセダンのどちらに希少性を感じるかといった「マクロ」な判断がアコードHVの予想外の健闘の大きな要因になっているように感じます。

  ちょっと言葉が悪いですが、服装も髪型もメチャクチャで、センスの悪そうな中年のカーライターが熱心に特定のクルマをゴリ押しすればするほど、クルマの魅力なんて剥がれていってしまうのではという気さえします。若い世代からしてみたら、バブル期のノリだけでライターになってしまったイタいオッサン達が「君たちにはこのクルマがピッタリだよ!」なんて言ってきたら、気味が悪くて逃げ出したくなるはずです・・・。

  別にオッサンライターに限ったことでなく、そもそも「クルマを奨める」って行為は相当に信頼関係がないと成立しないのかなという気がします。私がブログでインプレッサやアテンザをいくら褒めたところで、それを読んでに買いたいと思う人はやはり稀だと思います。

  ちょっと話がそれましたが、要は評論家がゴリ押しするクルマはろくでもないものが多いということです。そして始末が悪いことに、本当に良いクルマが登場するとなぜか多くの評論家は不思議とアンチに回ります(ライバルメーカーにお金貰ってるのかも?)。実際に新型アテンザや新型レクサスISに対しては非常に辛辣な意見が多かったです。この2台は日本車の印象を根こそぎ変えてしまうほどのインパクトがありどちらも歴史的な1台になる予感があるのですが・・・。そして同様にこの新型アコードHVもデビュー前からなぜかやたらと冴えないレビューが多いようです(トヨタの圧力か?)

  写真やホンダカーズに停まっている実車を見る限りだと、内装・外装ともに非常に魅力的に見えます。こんな呑気なことを書いていると「乗らなきゃわからねーよ」といったコメントを頂戴したりします。確かに中古車を買う時はそうかもしれませんが、アコードのようなフラッグシップモデルを新車で買うならば、同クラスのセダンの経験があるならば試乗はあまり重要ではないと思います。確実に言えることは、ホンダのこのクラスのクルマなら「酷い」ということはないはずです。同時にスポーツカーではないので、「最高」ということもないです。

  プロライターのレビューなんて基準は極めて曖昧なものでほとんど参考になりません。それ以上に自ら短時間の試乗をしたところで相当な経験値がない限りは良し悪しは皆目検討もつかないでしょう。一番確実な方法は、自分の頭で考えることだと思います。休日に楽しくドライブしたいならドライバーズカーとして定評のあるメーカー(スバル・マツダ・ポルシェ・BMW)を念頭に、峠を走るなら軽いクルマ、高速を走るなら馬力のあるクルマといった要領で選べばいいのではないでしょうか?

  

2013年7月17日水曜日

「トヨタ3.5Lのセダンを買おう!」 レクサスGS・IS・トヨタクラウン・マークX

  
  ホンダと日産は尻尾を巻いて日本市場から逃げ出してしまった。3.5Lや3.7Lのセダンはアメリカ市場ではまだまだ主役だが、どうやら日本では完全に「過去の遺物」と判断されているようだ。カタログ燃費で10km/Lのクルマを買うのはなかなか勇気がいる気がする。それなのになぜ「燃費」推進派のトヨタが新型車にもこの3.5Lエンジンを載せ続けるのか?セダン4種だけでなく、ミニバンやSUVにも万遍なく使われていてこのエンジンのグレードがあるクルマはトヨタの上級車種ということになる。

  ハイブリッドを戦略的に拡げているトヨタは、どうやら同時にHV車が持つ致命的な欠点も十分に知り尽くしているらしい。世界で一番研究開発にお金を注ぎ込んでいるトヨタなのだから、当然ながらライバルメーカーのクルマも全て分析している。その上で販売の8割がハイブリッドに集中しようとも、クラウンアスリートやレクサスISに3.5Lガソリン搭載モデルを残すのだからよっぽどの事情があるのだろう。トヨタの開発者のスポーツセダンに対する熱い想いがまだまだ強く残っているからだけでなく、セダンとしてのプライドみたいなものかもしれない。

  そんなことは知ってか知らずか、カーメディアは「ハイブリッドによるセダンの復権」をさんざん煽っている。確かにクラウンもISも予想以上にハイブリッドが売れているそうだが、それでも「復権」という言葉にはとてつもない違和感を感じてしまう。従来のセダンの良さを言うならば「安全・快適・高性能」だったが、ハイブリッドセダンは「燃費」を追求するあまり乗り心地や高性能への意識が低い。さらに重量増による操舵感の変化や、高速旋回や制動時における安全性も脅かされてしまう。もちろんこんなことをプロのメディアが書いたらクルマ会社から袋叩きにされてしまうから、雑誌や新聞で目にすることはまず無いけど。

  燃費が良くなったのはもちろん歓迎すべきことだけども、それが理由で売れているとなるともはや「セダンの復権」とは言えなくなってくる。セダンとは似て非なるものがヒットしているに過ぎない。多くの人はハイブリッドになって下取り価格が上昇すると考えているようだが、これだけ売れてしまうともはや飽和状態になるのも時間の問題だ。ちょっと時代が変われば、3.5Lのモデルの方が楽しいと評価されて、希少感もあって下取りが上昇しそうな気がする(それでもカッコよくないとダメだろうが・・・)。

  このまま行くとおそらく、アルファード・ヴェルファイアの二の舞になるだろう。私自身は下取りなど全く考えずにクルマを選ぶ方なのでかなり疎いのだが、それでもこのセダンのHVが一気に暴落するのは予想がつく。なんとなく良さそうだからと話題になって、過去にもワゴンだったりミニバンだったりが代わる代わるヒットしてきたが、結局は何かしらの欠点が露呈して流行が去っていった。トヨタ・日産・ホンダのビッグ3が争って作っているハイブリッドのセダンもヒットからブームの兆しを見せているが、もうすでにトヨタの開発者が「3.5Lのガソリンのほうが楽しい」と宣言しているくらいだから、やがてブームも潮が引くように止んでいくような気がしてならない。

  やはりセダンは「安全・快適・高性能」を軸に人気を取り戻してほしいものだと思う。トヨタが意地で主力セダンに乗せ続ける3.5Lエンジンは、トヨタらしからぬスポーティさを売りにしていて、メルセデスの3.5Lエンジンに匹敵する高回転型エンジンだ。これを贅沢に使ったトヨタのセダンの良さが、再び広く認識されて人気になるのはなかなか想像がつかない。それでもこれが売れてこそ本当の意味での「セダンの復権」だと思う。



  

  

  

  

2013年7月5日金曜日

「ドイツ車に足りないものを持った秀逸・中級車」 アウディA6/S6

    はじめに・・・本ブログ記事では、
「入門車」⇒2~2.5LのNAのDセグセダン 
「中級車」⇒3.0~3.7LのNA/ターボのD/Eセグセダン 
「上級車」⇒V8以上のエンジンを搭載した高級モデル
と独自の(勝手な)クラス分けを用いています。ご了承ください。

  高級車としてのセダンは今でも街中で目立つ存在ではある。しかしレクサスGS&LS、BMW5&7、メルセデスE&Sといった日本でもおなじみの高級セダンのデザインを「相対的」ではなく「絶対的」に評価するならば、果たしてどれほど胸がときめくだろうか? あくまでフォーマルな状況で使われることを想定されているから、スポーツカーのような華美な意匠は御法度なのだろうが、それでもちょっと値段なりのドキドキ感があってもいいのではないかという気がする(私がガキすぎるだけかもしれないが・・・)。

  それでもこのアウディA6に関しては、他とはひと味違う高級車のフォルムを感じる。「中級車」に分類されるクルマは一般に車体の大きさに比してランプ類やキャラクターラインが小振りで、やや無機質な「間延び」を感じるデザインに陥ることが多い。しかしこのアウディA6は大きめに採られたグリルが車体の雄大さに良くマッチしていて、ライバル車と比べてかなりダイナミックで統一感のあるデザインに仕上がっている。このA6が2004年に登場したとき以来、高級セダンのデザインは突如として進化を始めた。その後に登場したメルセデスEクラスやレクサス各車、トヨタクラウンなどが一生懸命にフォローしているが、いまだにアウディを超えるグリルデザインは登場していないようだ。

  このアウディA6/S6の実力として高く評価したいのは、エンジンの設定がとても絶妙で乗り手のニーズに真摯に応えようといている姿勢だ。燃費重視のハイブリッドのFFモデルもあるが、とりあえずアウディ本来の楽しさを味わうにはAWDの「クワトロ」を選びたい気がする。日本公式発売のA6に設定されているガソリンエンジンは2.8LのNAと3.0Lターボの2種類のV6だ。この2グレードはなんと価格が200万円以上も違うからちょっとびっくりしてしまう。当然にこれだけ価格の高い3Lターボモデルはアクセルを踏み込んだ瞬間に「全能の神」になったようなトルクが味わえるので、一度乗ってしまったらもうヤミツキになるほどだ。

  廉価の2.8Lモデルも決してパワー不足なんて感じさせないだけの実力を「隠し持って」いる。こちらはアウディには珍しいNAエンジンでこれがメルセデスの3.5Lに負けないくらいによく回る。3Lターボに使われているエンジンとは特性が違っていて、完全に作り分けられている。廉価モデルにも関わらず、MTモードで低速ギアに抑えて加速していけば相当にパワフルだ。トラクション全開のAWDにNAのレスポンスが染み渡っていく「快感」はターボモデルには無い良さがある。アウディ車に何を求めるかにもよるだろうが、このベースグレードのエンジンも相当に楽しめる。

  ちょっと野暮だが、A6のこのガソリン2グレードの設定はスバル・レガシィのNAとDITターボモデルの関係に近い。「入門車」のレガシィにとって「中級車」のA6は上位互換車といってもいいかもしれない。「入門車」であるアウディA4は2Lターボの超ロングストロークというトルク重視の設定で、スポーティさに欠けるのであまりオススメはできないが・・・。

  3Lターボは燃費さえ気にしなければ、「GTカー」としての実力を全方向的に発揮できる「抜群」なクルマで、その実力は並みいるFRのライバル車を多くの面で上回る実力を持っている。なによりAWDの直進安定性とトルクが出やすいエンジンの組み合わせこそが、ガソリンエンジン時代の最後を飾る最高の「GTカー」のパッケージなのではないかと思える。こういうクルマをレガシィ以外にも「ターボ本家」の三菱や日産にも期待したかったがどうやらどちらも全く作る気はなさそうだ。このA6のデザインが若くして日産を辞めてアウディに活路を求めた日本人デザイナーによって生み出されたことを考えると、国産車好きとしては非常に残念に感じてしまうのだが・・・。

         ↓A6のデザイナー和田智さん。やはりこのデザインは日本人に響く。
  

   

  

2013年7月2日火曜日

妥協なき完成度。インプレッサG4とは全く別モノ。 「スバル・レガシィB4」

  はじめに・・・本ブログ記事では、
「入門車」⇒2~2.5LのNAのDセグセダン 
「中級車」⇒3.0~3.7LのNA/ターボのD/Eセグセダン 
「上級車」⇒V8以上のエンジンを搭載した高級モデル
と独自の(勝手な)クラス分けを用いています。ご了承ください。


  スバルの業績が回復し、今や日本で一番勢いがあるブランドと言ってもいいほど好調だ。北米でもスバルは日産とともに直近で好業績を修めていて、早くもアメリカからの「警告」ともとれる警戒論がメディアを賑わせている。VWのクルマを絶賛するだけで何も文句を言わない日本市場とはだいぶスタンスが違うようだ。現地生産比率が高い日産に対してスバルは輸出が多いので、今後さらに激しいバッシングを受けるかもしれない。

  アメリカの論理というのは、時にかなりヘンなものがあり、ある商品が定期的に輸入されている場合に、その生産国でその産業が「過度」に保護されていることが証明されれば、即座に「セーフガード」を発動する習慣がある。トヨタやホンダにも昔から厳しい現地生産基準量を要求してきていたりと、かなり神経を尖らしてきている。もしスバルの輸出量がアメリカ産業にとって無視できない基準に達した場合に、「とんでも」な言いがかりもありうる。

  例えばトヨタは日本政府が定める「エコカー減税」と「補助金」の恩恵を一番受けて来たメーカーである。そのトヨタが数年前からスバルと業務提携と資本関係に突入していて、具体的な協業として、トヨタ86/スバルBRZを共同開発していることは広く知られている。つまり日本政府から実質的に多額の支援を受けているトヨタが、スバルにカネを出して新しいクルマを開発させたわけだ。これによってスバルは新型エンジンとして従来の「EJ型」に代わる新しい「FA型」と「FB型」のエンジンを開発している。見方によってはトヨタがアメリカとの現地生産の協定の抜け穴として、スバルを支援しているともとれるが・・・。

  スバルの規模のメーカーでは通常は排気量ごとに1種類のエンジンを複数の車種で使い回すことが多い。しかし今回スバルはなんと2Lのエンジンに関しては2種類用意することができた。とてもじゃないがスバル単独ではできない芸当だ。これはスバルにとっては商品開発を最適化する上で最重要な方針だったようで、実行の為にこれまでは多少「軽蔑の念」すらあったであろうトヨタと手を組む事に同意したようだ。

  この2種類のエンジン(FA20型とFB20型)を使ってそれぞれ作られたのが、「トルク&燃費」重視のFB20型エンジンを搭載する新型インプレッサ2Lモデルと、「スポーツレスポンス」重視のFA20型エンジンを搭載するBRZだ。どちらもスバルの狙い通り国内外で好調なセールスを記録している。この2Lエンジンを併用する体制は顧客ニーズに上手く合致している。同規模のBMWやマツダが「燃費&トルク」重視の新型2Lエンジンへ大半のモデルを切り替えているので、スバルのパワーユニットに関する優位は今後も続いていくだろう。

  スバルの強みは、FB20型搭載の2Lのインプレッサが強豪ひしめくCセグライバルに「総合性能」で睨みを利かせておいて、さらに「差別化」された3つのエンジングレードを持っていることだ。1つは先ほどのBRZであり、繰り返しになるが「レスポンス」に優れたスポーツモデルだ。2つ目は2.5LのFB25型を搭載したNAのレガシィだ。FB25型は従来のスバルらしいショートストロークエンジンで、ロングストロークエンジン(FB20型)のインプレッサよりも高級感のある乗り味を目指して作られている。

  3つ目はレガシィとフォレスターのターボモデルに使用されるFA20型をターボ化したDITエンジンだ。このエンジンはBRZの「スポーツレスポンス」に加えて、ターボによる幅広い回転域でのトルクが得られる。ドイツ車の直4ターボはロングストロークなので、それらよりもレスポンスに優れていて、ゴルフGTIなどの2Lターボとはモノが違う。それと同時にスバルが従来から作っているWRX STIに使われている「尖った」スポーツ仕様ではなく、ある程度燃費も確保されていて、あくまで乗用車の一般ユーズに合ったターボエンジンだ(WRX STIにはまだ投入されていない)。

  現行のレガシィは「FB25」と「FA20DIT」の2種類のエンジンが使われていてどちらも高級セダンにふさわしい実力を兼ね備えている(FB25DITモデルは生産終了らしい)。インプレッサG4が発売した当初は、内外装のクオリティがレガシィB4とほとんど同じだったことから、評論家筋が盛んにインプレッサをもて囃し、人気に火が付いたようだが、実際にはドライブフィールは全くの別物で、価格に見合った差別化が施されている。フラッグシップセダンにふさわしい乗り味という意味では、話題の新型アテンザ(2.5L直4のPY-VPRエンジンが???)よりもレガシィの方が優れているという見方もできる。

  レガシィをインプやアテンザと比較するレビューが多かったりするが、結論としてはレガシィがクルマの基本性能では数段上であり、同時にもっともスポーティな設定になっている。もちろん燃費を重視すればインプやアテンザの方が上回る。まあデザインについては、間違いなくアテンザなので、レガシィのデザインが許容できるかという問題がありますが・・・。


2013年6月29日土曜日

レクサスの安売りは見苦しい限りだが・・・、それでもいいクルマ 「レクサスGS」

    はじめに・・・本ブログ記事では、
「入門車」⇒2~2.5LのNAのDセグセダン 
「中級車」⇒3.0~3.7LのNA/ターボのD/Eセグセダン 
「上級車」⇒V8以上のエンジンを搭載した高級モデル
と独自の(勝手な)クラス分けを用いています。ご了承ください。


  好き勝手にブログを書いているただのクルマ好きと違って、新型車の企画・設計を行う開発者にとってその仕事とは「石橋を叩いて渡る」ようなものなのだろう。2代目レクサスGSが発売されるに際して、ブランド内でその存在意義がやや霞みつつあるこのクルマは、本体価格が510万円まで下げられた2.5Lモデルが新たに追加された。

  このクルマは元々はトヨタが世界に誇る俊足スポーツセダン「アリスト・ターボ」の後継モデルとして登場したが、NAの3.5Lのみという設定もあり、アリストの成功をそのまま引き継ぐことが出来なかった。クラウンとのパワーユニットの差別化(3L直6ターボ)で俄に成功したアリストの良い点をあっさり捨て、クラウンアスリートの3.5Lモデルと共通のパワートレーンで価格はワンランク上のV8のマジェスタ並みとあっては、アリストの乗り換えはこの2つのモデルへと流れていくのも自然だったように思う。さらに極めつけは、トヨタの役員がGSではなくアリストターボでスピード違反の取締を受ける事態が発生し、世間にレクサスGSは「身内」も乗らないほどの冴えないクルマというイメージが強くなってしまった。

  この「緊急事態」を受けて、トヨタはクラウン用の新型シャシー開発資源(14代は新型シャシーの予定だったのだが・・・)をレクサスGSに投入してテコ入れを図った。しかしここでも「余計な事」を積み重ねてしまい、そのFMCもやや不発に終わった。余計なこととは、1つはレクサスが新たに設定した「新型グリル」の初の設定車種になったことだ。このインパクトが「ありすぎる」グリルによって、せっかくの新型シャシー投入よりもデザインばかりが独り歩きしてしまった。

  もう1つは、冒頭に言及したように販売量を確保するために2.5Lモデルを追加したことだ。3.5LのNAモデルのセダンは、中古車市場での不人気ぶりがとても目立つ。現在では新車と3年落ち中古の価格差は2倍以上にも広がっていて、ただでさえ少ない新車販売をさらに押し下げてしまっている(中古車がお買い得すぎる)。新車にこだわるユーザーにとっても下取り価格の下落幅まで考えると、1000万円クラスの輸入車に乗るのと負担が変わらないケースもあり、かなり敬遠されてしまうようだ(MBやジャガーの方がむしろお得)。トヨタよりもさらに販売数が少ない日産やホンダは、すでに3.5LのNAのみのグレード設定は今後は成立しないと考えているようで、FMCではことごとく低燃費なパワーユニットを使ったグレードを前面に出している。

  この流れにからレクサスGSも2.5Lモデルを設定することは一見とても自然に思えるので、評論家筋もこのことについて面立って批判する人はほとんどいないように思う。しかしレクサスGSは先代からすでにハイブリッドが設定されていて、ほぼ2.5LのNAと同じくらいの燃費は達成されているので、燃費だけが理由の2.5Lモデルを設定する必然性はハッキリ言ってなかった。結局はその真意は価格の圧縮になるようだ。レクサスの言い分としては、ライバルの「Eクラス」や「5シリーズ」に直4ターボがあるのだから、2.5LのV6NAを設定しても違和感はないといったところだろうが・・・。

  しかしレクサスはまだまだメルセデスやBMWと比べてプレミアムブランドとしての歴史が浅い。例えばアリストに乗っていて、レクサス立ち上げに際して、値上げを受け入れて先代のレクサスGSに乗り換えた人にとってみたら、どういう気持ちがするだろうか? 700万円近く払って先代GSを購入したが、新型GSは2.5Lが中心になりお金に余裕のある高齢者や中高年が乗り回す「普通のクルマ」に成り下がり、しかも先代GSの下取りは5年落ちで確実に100万円を切るレベルだ・・・。新車購入はあくまで自己責任だが、ここまで酷い仕打ちを受けたら二度とレクサスなんて購入したいと思わないだろう。

  レクサスGSと同じように2.5Lモデルの投入で日産フーガも一気に不人気車種になった。やはり3.5Lモデルを買いたいというユーザーにとっては、2.5Lモデルは忌み嫌う「凡庸」なグレードのイメージが強い。やはり2.5Lは「入門車」であり、3.5Lは「中級車」なのだ。2.5Lを導入してしまったら、GSやフーガはもはや300万円で買えるアテンザやレガシィと同じ「入門車」にでしかない、600〜700万円出して乗りたいクルマとは到底思えなくなってしまう・・・。



  

  

2013年6月26日水曜日

喰わず嫌いも多いけど、良く見ると素晴らしい出来映えの中級車 「キャデラックCTS」

  はじめに・・・本ブログ記事では、
「入門車」⇒2~2.5LのNAのDセグセダン 
「中級車」⇒3.0~3.7LのNA/ターボのD/Eセグセダン 
「上級車」⇒V8以上のエンジンを搭載した高級モデル
と独自の(勝手な)クラス分けを用いています。ご了承ください。


  話題の新型車「キャデラックATS」はプロモーションがだいぶ下手くそなせいもあって、日本ではまだまだ火がつきません。どのクルマ雑誌も扱いこそはありますが、縁の薄いGM車ということもあり、どこかレビューに力が入っていなくて、読んでいても全く様子が分かりません。そろそろ街中で1台くらい見かけるかなと思っているのですが、まったく見当たりません。本当に日本で販売しているのか?という感じがします(納車はまだ先なのか?)。

  入門車の「ATS」の中級車バージョンが「CTS」でこちらは近所に住んでいるおじいさんが乗り回していて、よくすれ違います。そのフロントグリルはとても迫力があり、絶壁のようにそびえていて、まるで北陸地方の除雪車のようです・・・。冗談はさておき、一目見て感じるこのクルマの素晴らしいところは、ドイツ・日本の高級車が目指す安易な「曲線」スタイルとは完全に別の「多面的」で「ソリッド」かつ「ハードボイルド」な外観です。まるでスチールの塊から削り出したかのようなボディラインには独特の上質感が備わっています。

  CTSには中級車の「CTSシリーズ」と上級車の「Vシリーズ」があるのですが、フロントグリルの形状がきっちり差別化されています。それによってブランドコンセプトを存分に発揮しつつ、それぞれのクルマが意味する「社会性」を見事に体現しています。中級車グループは「セダン」「ワゴン」「クーペ」と3つのボディタイプがありますが、なぜかセダン好きの私の心を鷲掴みにしたのは「ワゴン」でした。ワゴンのリアデザインはドイツ車も日本車もあまり得意としないようで、なかなか良いものに巡りあわないのですが、現在のドイツで最良と言える「オペル」のデザイン力が見事に反映されています。このCTSスポーツワゴンのリアはオペルのオシャレなハッチバックをそのまま大きくしたかのような、抜かりのない「緻密」で「大胆」なデザインに目を奪われます。

  経営危機(というより破産)に陥ったGMがそれでも絶対に離さなかったオペルは、まさに「ドイツのマツダ」といえるメーカーで、ブランド売却&存亡の危機という逆境の中で、「インシグニア」「アダム」などのデザインに優れたモデルを次々に発表しています。そしてそのオペルの「逆境のデザイン力」が上手くキャデラックにフィードバックされているようです。

  キャデラックCTSはデザインだけでなく、足回りもオペル主導の開発により、ドイツプレミアムにも対抗できる仕上がりになっています。これもちょうどフォードの「フュージョン/モンデオ」を仕上げたマツダのような働きをしていると言えます。またビッグ3のもう一つであるクライスラーも主力セダンの「300C」はメルセデスEクラスの設計を使っているので、今やアメリカ車のセダンは限りなくドイツ車や日本車と同じ方向性(硬い足回り)を持って設計される時代になったようです。北米COTYのベスト3は「キャデラックATS」「ホンダアコード」「フォードフュージョン」でしたが、まさにオペル・ホンダ・マツダがそれぞれBMWを「仮想ライバル」として鍛え上げた足回り使っている「同系列」の3台の争いでした。

  このキャデラックCTSは都心では比較的低価格な設定がウケているようで、渋谷駅周辺では、ポルシェパナメーラと並んで人気の1台になっているのか、停まっているのを良く見かけます。ただほとんどはセダンで、もっとも他のブランドと比べてデザイン的に優れているであろうワゴンはまだまだ評価されていないようです。ただメルセデスCLSシューティングブレークを「撃ち落とす」ような出来映えなので、これから日本でも火がつくのではないかと思っています。



 ↓いろいろ興味を持って調べてみると、この価格でこれだけの豪華装備、しかも右ハンドル車も用意されていて、いよいよ次期購入候補でもいいかも・・・ 

2013年6月20日木曜日

フォルクスワーゲンが作った入門車  フォルクスワーゲン CC

   はじめに・・・本ブログ記事では、
「入門車」⇒2~2.5LのNAのDセグセダン 
「中級車」⇒3.0~3.7LのNA/ターボのD/Eセグセダン 
「上級車」⇒V8以上のエンジンを搭載した高級モデル
と独自の(勝手な)クラス分けを用いています。ご了承ください。


  フォルクスワーゲンはハッキリ言って「嫌い」なブランドだ。大衆メーカーなのに異常なほどの収益体制を誇っていて、主戦場の欧州がいくら不況で危機的状況を迎えようとも必ず黒字だ。このVWの「健全経営」の秘訣は、「脱メーカー」「外交重視」「ステマ」の3つではないかと私は思っている。いずれの戦略もいまではトヨタやGMが追従の動きを見せるなど、経営理論としては極めて優秀なものらしい。しかし実際にクルマを使うユーザーにどういう影響があるのかというと、一概に良い悪いでは判断できないところもある。

  よってVW車を調べるときにはついつい「儲けのカラクリ」を勘ぐってしまう。日本市場におけるVWの基本的な販売戦術は「値引き」だと言われている。ただこの値引きは「安くない」値引きである。いまやインターネットが普及しているので、ちょっと時間があれば、簡単に日本価格と北米価格を比較することもできる。よって北米と日本で共通して売られているクルマの価格差の割合を見れば、どのメーカーの日本価格がお得なのか分かる。VWは残念ながらドイツメーカーとしてはワーストと言っていいレベルだ。ドイツメーカーの中ではブランド全体として価格差が少ないのが、意外にもメルセデスだ(北米では別格と言っていいほど高価)。

  フォルクスワーゲンはカタログ価格だけを見ると、MBやBMWよりも不利なのだが、それでもVWがそこそこ売れるのは、値引きで台数を確保しているからだ。この「CC」も北米$30000〜で、日本価格は499万円とちょっとした驚きだ。3シリーズとISが$32000〜、Cクラスが$35000〜、スカイライン(3.7L)が$37000〜がそれぞれ、400万円程度の本体価格なので、「CC」がかなり高いのが分かると思う。それでも価格というのは「需要と供給」で決まるので、VWのディーラーを足しげく訪ねれば、このフラッグシップモデルの「CC」もそれなりの価格で手に入れられるかもしれない。

  価格の話はさておき、商売上手なイメージが先行してしまうVWだが、クルマを作る技術自体は豊富に持っている。そのVWが傘下のアウディA4(440万円〜)よりも高い価格設定をしているこの「CC」というクルマはなかなか興味深い。4ドアクーペとして設計されているので、そのスタイルはA4というよりA5スポーツバックに近い。A4とA5スポーツバックには約100万円の価格差が設定されているが、ちょうどこの「CC」がその中間の価格になっている。A4のスタイリングは正直言ってやや退屈なので、A5スポーツバックに惹かれる。しかしこちらは直4モデルにしてはやや高価すぎるので、A5とほぼ同じスタイリングを誇る「CC」で代替するというのも一つの方法だ。

  VWにはパサートという1.4Lターボ(TSI)を積んだセダンもある。しかし「入門車」として幅広い速度域での運転経験を高めるにはちょっと物足りないように思う。パサートを追いかけて走るとき、まるで軽ターボのような動きだと感じる。低速トルクが出ていて、出足はなかなかだが、その後の中速域の伸びはかなりかったるいようだ。そんなエンジンでは走っていても面白くない。一方で「CC」には1.8Lターボというアウディのようなエンジンが使われている。こちらのエンジンなら中速域でもしっかり伸びるし、メルセデスの1.8Lターボエンジンのような特性があるのではと想像できる。

  実はこの「CC」に関しては開発はアウディにある程度丸投げされているらしい。VWグループの新型モデルの開発はVW本体とアウディとポルシェによって手分けされている。アウディA3までのモデルはVWが作り、A4~A7とVWのCCをアウディが担当し、A8とパナメーラをポルシェが行っているそうだ。つまりA1やA3を買うと、VW車にアウディ料金を払っていてちょっと損した気分になり、CCやA8を買うと上級ブランドのクルマが手に入るちょっと得した気分になるということだ。

  しかもこの「CC」はブランドのフラッグシップモデルということで、内装はVW車の中では随一の高級感を誇っている。シートの配色も鮮やかで、ゴルフGTIの冴えないチェック柄のシートなどとは根本的に違ってセンスの良いものになっている。やはりフラッグシップモデルはどんなブランドでもとても気合が入っていて、「お買い得」だ。実際にどのくらい安くなるかはわからないが、乗り出しで450万円以下(BMW3より安い)になるならば、現実的な購入対象になるクルマだと思う。

 


2013年6月17日月曜日

トヨタが作った入門車 カムリHV

  はじめに・・・本ブログ記事では、
「入門車」⇒2~2.5LのNAのDセグセダン 
「中級車」⇒3.0~3.7LのNA/ターボのD/Eセグセダン 
「上級車」⇒V8以上のエンジンを搭載した高級モデル
と独自の(勝手な)クラス分けを用いています。ご了承ください。
 


 

  トヨタが「若者のクルマ離れ」を抑止するために、150万円で買えるスポーツカーを開発していると盛んに報じられています。別にそんなもの作らなくても、今年FMCを迎える北米版のカローラをそのまま持ってくれば、みんな満足して買ってくれるのではという気もします。トヨタがなんでそれをしないのかは、ハッキリは分かりませんが、恐らく「カッコいいカローラ」を出すと、若者ではなくてお年寄りが一気に群がってしまってしまって、トヨタの利益を押し下げてしまうことを危惧しているようです。

  じゃあなぜアメリカでなら発売できるのか? それは完全にトヨタの北米販売ではカローラより「カムリ」がたくさん売れるからだと思います。2011年に現行のカムリがハイブリッド仕様のみとなって日本に導入されたとき、トヨタブランドの大衆車のイメージを変えるほどの(違和感を感じるほどの)完成度の高さでした。当然ながら評論家は面食らったように絶賛の嵐で、ちょっととしたブームを巻き起こしていました。それももう遥か昔の話で、現在のトヨタの「押し」はクラウンやレクサスISにシフトしてしまっています。今思えば、2年前のカムリHVの投入は「日本のクルマ文化」を変えるほどのポテンシャルがあったのではという気がします(見事にそのチャンスを逃しました・・・)。

  当時、私は国産で新車(Dセグセダン)の購入を考えていたので、このクルマについてもいろいろと調べました。その結果「トヨタが大して値引きをしない」くらいしかネガティブな要素がなく、堂々の第2候補になっていました。トヨタのミドルサイズセダンは他にもいくつかありますが、マークXはクラウンゆずりのシャシーを使っているとはいえ、アピールできるポイントが見当たらない(クルマとしての魅力が乏しい)し、プレミオではスペック面で入門車にもならない(論外)と感じました。その中でカムリHVはマークXの2.5Lの「なんちゃってV6」エンジンを軽く上回る「加速性能」と「燃費性能」を持っていて、さらにスタイリングもいいし、居住性も高い。その段階で入門車としてのマークX(2.5LのNA)は消えてしまいます。

  日本よりもディーラーのしがらみがなく(?)、ユーザーの年齢層も低いアメリカで各国のライバルを押しのけて売れているトヨタ車なのだから、クルマとしての実力は世界トップレベルです(韓国COTY受賞という快挙もありました)。当然ながら様々な面で国内専用のマークXよりも合理的で優れているクルマになります。日本ではなぜかマイナーですが、北米では韓国車やドイツ車を寄せ付けない強さを誇っています。

  トヨタはもっとこのカムリHVを日本の若者にしっかり売る努力をしたらいいと思います。アメリカでも韓国でも絶賛されている、これだけの「いいクルマ」が日本ではマイナーな存在に留まっているから、結局のところトヨタ車の良さが伝わらないし、レクサスやクラウンの購買層の土壌も育たない気がします。私自身も最終的にはマツダのアテンザに軍配を挙げましたが、国産の2番手のクルマとしては「レガシィ」や「アコード」よりむしろ「カムリ」い強い魅力を感じていました。

  ただもう発売から2年が経過してしまい、日本市場にHV専用モデルとして売るというコンセプトは、ライバルの新型「アコード」や次期「ティアナ」にも完全にパクられています。さらに新型アテンザがディーゼルターボで大きく燃費を伸ばしたことで、このクラスの主役を奪いつつあります(シェアを考えるとマツダ車がトヨタ車に勝つのはよっぽどのことです)。このクラスの国産セダンの「突然変異」は国内市場の不人気というのもありますが、このカムリHVが「引き金を引いた」格好になっています(トヨタとしては珍しく先駆けましたが・・・)。

  もしかしたら、この状況はトヨタが望んだ展開なのかもしれません。2年前に発売してみたら予想外の大反響を呼び、そこで初めてカムリに使っている「直42.5LのHV」というシステムが「カネになる」ということを迅速に嗅ぎ分けて、プロモーションをトーンダウンさせた(?)。そしてクラウンとレクサスISの次期モデルの主力ユニットとして投入を決めたようです。ある程度のステータスを求める年配のトヨタユーザーにとってはカムリHVは「いいクルマだけど、もうちょっと高級に仕上げてほしい」という要望があったらしいです・・・。そこでトヨタは高齢者向けへの展開を第一に考えてしまったのでしょうか? 結局はバブル時代を忘れられない高年齢層の価値観が日本のクルマ文化の健全な発展の障害になっている気がします。

  アクアは北米価格と日本価格がほぼ同じ(日本の方が安い)に設定されていますが、カムリHVは50万円以上も日本の方が高く設定されています(だから日本ではアクアが売れるのは当然です)。トヨタにはぜひ、この傑作車「カムリHV」を北米価格で日本でも発売してほしいと心から思います。カムリHVが250万円〜になれば、「クルマ離れ」に対して強烈な特効薬になるはずなのですが・・・・。


↓「加速&燃費&スタイル&居住性」でマークXを一蹴。北米ベストセラーはさすがです。